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便秘のはなし

便秘のはなし

お腹の調子が悪いときは、いつもどおりの活動ができなかったり、 お腹も気持ちもスッキリせず憂うつとなったり、 仕事や生活に影響を及ぼすことがあったりしますね。
とくに、つらい便秘は何とか解消したいものです。 便秘は、対処しないことが続くほど治りにくくなります。 便秘がおこるしくみや原因がわかれば便秘対策にも前向きに取り組めますね。 食べた物がどのようにして便になっていくのか、また排便のしくみを理解して便秘になりにくい体をつくりましょう。

 便秘とは?

便秘とは、どのような状態を指すのでしょうか。
便秘の定義は、「本来体外に排出すべき糞便を充分量かつ快適に排出できない状態」とされています。
2017年に「慢性便秘診療ガイドライン2017」が公表され、下記の6つの症状のうち、2つ以上当てはまれば便秘の可能性があると診断されます。
さらに、6か月以上前から便秘の症状があり、最近3か月間に下記の基準に当てはまると「慢性便秘」とされます。
見てお分かりの通り、便秘の診断は排便の回数だけではなく、本人が排便に苦痛を感じていたり不快と思ったりすることなど、「充分な量と快適さ」が診断のポイントです。

 次の症状のうち、2つ以上に当てはまれば便秘の可能性があります。

  • 排便する時、強くいきまないと出ない
  • 便がウサギの糞のようにコロコロ便だったり、硬かったりする
  • 排便してもスッキリしない(残便感)
  • 排便に時間がかかる
  • 排便するとき、「手で便を取り出す」、「肛門周囲を押す」などの介助が必要
  • 排便が1週間に3回未満

出典:日本消化器病学会関連研究会 慢性便秘の診断・治療研究会編
「慢性便秘診療ガイドライン2017」(南江堂)

 排便のメカニズム

排便のしくみとメカニズム

①胃と腸で食べ物は消化・吸収されて、大腸で便がつくられます。
口から入った食べ物は、胃・十二指腸で消化されてドロドロの状態で小腸に送られます。
小腸では、さらに消化と同時に体に必要な栄養素が吸収されていき、必要な栄養素のほとんどが吸収された後、ドロドロの状態となった内容物は大腸に送られます。
大腸はお腹の右下部分から始まり、上に向かって「上行結腸(じょうこうけっちょう)」、次いで左側に伸びる「横行結腸(おうこうけっちょう)」、そして下に伸びる「下行結腸(かこうけっちょう)」に分類されます。さらに、S字の形をした「S状結腸(えすじょうけっちょう)」、肛門へとつながる「直腸(ちょくちょう)」です。
この大腸に送られたドロドロの状態の内容物は、上行結腸、横行結腸、下行結腸を通る過程で体に必要な水分が吸収されていきます。
そして、この食べ物のカスや古くなった大腸粘膜のカスなどの内容物が固まり便となります。できた便は、S状結腸に溜まります。

②S状結腸に溜まった内容物は直腸に押し出されます。
大腸に送られたドロドロの状態の内容物は、「ぜんどう運動(大腸が伸びたり縮んだりすること)」によってS状結腸まで押し出され、さらにS状結腸に溜まった内容物がたまると直腸へ押し出します。

③直腸への刺激が脳に伝わり便意を感じて内容物が便として外に排出されます。
直腸に内容物が押し出されると、直腸壁や肛門周辺の神経センサーが感知して腸から脳に信号が送られて便意が起こり排便の指令(直腸・結腸反射)が出されます。
すると、肛門の周りの筋肉がゆるみ、直腸から便が体外に排出されます。

 理想的な便とは

理想的な便とはどんな便でしょうか。
1回に排泄される便の量は、バナナ1本位の量が理想的と言われています。
このような形の便は、水分を多く含んでいます。これは、食べた物に食物繊維が多く含まれているからです。食物繊維が水分を吸収することによって便に水分が多く含まれ、適度な硬さになるのです。
また、食物繊維が十分に含まれていると水分を吸収した食物繊維によって便のカサが増えます。便のカサが増えることによって大腸が刺激され、大腸の動きを高めます。
理想的な便をつくるためにも食生活、特に食物繊維を意識してとることが重要です。

 さまざまな原因が重なって起こる便秘

便秘の多くは、病気以外の原因で起こります。
偏った食事や食事を抜くこと、運動不足、ストレス、服用しているお薬等によって便秘になることもあります。また、排便習慣も非常に大切です。
腸の働きは、自律神経(自律的に働く神経で、主として活動時や昼間に活発になる交感神経と、安静時や夜に活発になる副交感神経を合わせた神経)によってコントロールされています。
睡眠中やリラックスした状態のときに副交感神経が優位に働くと、腸の活動は活発になります。そのため、快適な睡眠は便秘改善に効果があります。
一方、ストレスが過剰にかかった緊張状態にあると、交感神経が優位になり腸の働きは低下してしまいます。
また、便意を感じたときは、我慢しないことも大切です。

 偏った食事や水分不足が原因

食べ物にはいろいろな栄養素が含まれていますが、スッキリお通じのためには腸がよろこぶ食物繊維が充分にとれていることが大切です。そして、腸を活発に働かせるためには、朝・昼・夕の3食を欠かさず規則的に食事をとることも重要です。
睡眠中は腸の働きが活発になっています。起床後、朝食をとることで胃腸が刺激され、腸のぜんどう運動が起こり、便意を感じます。
便の水分量を保つために、水分をしっかりとることも心がけましょう。便が硬くならないように水やお茶などを小まめに飲むようにします。
また、朝起きて直ぐにコップ一杯の水を飲むことも腸にはいいことなのです。朝一番に水を飲むことは、「胃・結腸反射」を誘導します。水を飲むと空の胃に水が入ることで大腸が刺激され、大腸のぜんどう運動にスイッチが入り自然な便意を感じることができるのです。
朝は、副交感神経が優位の状態から交換神経が優位の状態へと切り替わるときです。このときに胃腸を動かすことで自律神経のバランスを整えて、一日のパフォーマンスを上げることにもなるのです。

 運動不足が原因

適度の運動をすると、体温は上昇して興奮状態になり交感神経が優位となって腸の活動が抑えられますが、運動後に休息するとリラックスして副交感神経が優位となり、腸の活動が活発になります。
また、運動によって腹筋などの排便にかかわる筋力向上も期待ができます。特に、いきむときに必要な体幹の筋肉が鍛えられれば、便を排出する力がアップします。
普段、運動はしていない人なら、まずはウォーキングなどリズムを持った適度な有酸素運動を始めてみましょう。有酸素運動は自律神経を安定させてくれますので、毎日少しずつ運動を続けることで自律神経のバランスが整い、腸も健康になることでしょう。

 ストレスが原因

ストレスが過剰にかかった状態が続くと、心や体は緊張して常に交感神経が優位になり、副交感神経がうまく働かなくなります。その結果、腸の働きが低下して便秘につながってしまいます。
ストレスは誰にでもあるものですから、ため込まないように時々発散することが大切です。

 クスリが原因

クスリの副作用として、便秘を引き起こすことがあります。便秘を引き起こすのは、腸のぜんどう運動を抑える作用があるからです。特に、うつ病やパーキンソン病などの病気や、それらの治療薬、高血圧の治療薬、がんの痛み止めの薬(オピオイド鎮痛薬)なども、腸のぜんどう運動を抑える作用を持つものがあります。
しかしながら、便秘になるからといって治療薬の使用を中断することはできません。基本的には、食事で食物繊維を多くとることや運動をとりいれることで対処していくことになります。

   便秘になりやすい人

便秘の悩みは女性と高齢者に多く見られます。

 女性

女性
女性が便秘になりやすい原因の一つに女性ホルモンの影響があります。生理前に分泌が増えるプロゲステロン(黄体ホルモン)には子宮の収縮をおさえる働きがありますが、それによって腸の動きまで鈍くさせるため、大腸のぜんどう運動が弱くなり、生理前になると便秘を起こしやすい状態になってしまうのです。
その他、外出先で便意を我慢したり、ダイエットで食事制限をしたりする女性が多いことも影響しています。

 高齢者

60歳を過ぎた頃
高齢者に便秘が多い原因として、加齢と共に排便に関係する神経や筋肉の働きが衰えて、大腸の動きが弱くなってきます。また、食事量や運動量の減少、ほかの病気で服用しているお薬の影響も原因となり、便秘になりやすくなってしまいます。

 子供

子供
子供にも便秘は起こります。
便秘の原因として、かたよった食事やゆっくりトイレに入る朝のトイレタイムがとれないといった生活習慣、学校でトイレに行くのをためらい我慢してしまうなども便秘と関係しています。
また、乳幼児では、食事の変化(母乳から人工乳、離乳食の開始)によっても便秘が起こりやすくなります。

もっと詳しく子供の便秘を知りたい方は、「こどものベンピ相談室 」をのぞいてみてください。

 便秘解消アドバイス

便秘を改善し、スムーズな排便をとり戻すための基本となるのは、食事や運動、正しい排便習慣と言った生活改善が一番です。中でも、食生活の改善は特に重要です。

 食生活の改善 スプーンとフォーク

食べた物は便の材料になりますし、その内容によって腸の働きも変わってきます。

  • 朝食をシッカリと食べる
    大腸は一日中活発に動いている訳ではありません。大腸のぜんどう運動が起こるのは、朝起きた直後や食事の後などです。
    朝食をとることで副交感神経が刺激され、それによって胃腸が動き始め便意が起こりやすくなります。
    快適な朝のトイレタイムのためにも朝食はキチンととるようにしましょう。
  • 朝、コップ一杯の水を飲む
    朝、目覚めた直後に水を飲むのも排便をもよおす効果があります。空の胃に水が入ることで大腸が刺激され、大腸のぜんどう運動が盛んになるからです。
    また、普段から便秘気味の人や便が硬い人は、水分不足になっていることがあります。
    水分をシッカリとって便をやわらかくすることで、スムーズな排便をもようしてくれます。便の水分量を保つために、水分をシッカリとることも心がけましょう。
  • 食物繊維の多い野菜や果物を食べる
    便秘解消のために食生活で心がけたいのは、食物繊維を充分にとることです。食物繊維は胃腸で消化されにくい成分で、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維があります。
    不溶性食物繊維は海藻類、豆類、キノコ類、イモ類、野菜や果物に多く含まれます。不溶性食物繊維は水を吸収してふくらみ、便のカサを増やしてくれます。
    一方、水溶性食物繊維は水に溶けてヌルヌルとしたゲル状になり、便が硬くなるのを防いでくれます。

食物繊維を多く含む食品

 腸内環境の改善 ヨーグルト

  • 腸内環境を整える
    腸内環境を整えるには発酵食品を毎日食べましょう。味噌、納豆やキムチ、チーズ、ヨーグルトなどの発酵食品は腸の善玉菌を増やして腸内細菌のバランスを整えてくれます。
    さらに、タマネギ、ニンニク、アスパラガス、キャベツなどのオリゴ糖を多く含む食品をいっしょにとることは効果的です。
    オリゴ糖は腸内の善玉菌のエサになるため、善玉菌を増やすのに役立ちます。
    これらの発酵食品とオリゴ糖を含む食品を毎日食べることが腸の調子を整えるのに効果的ですね。

 ★ 発酵食品 チーズ
ぬか漬け・納豆・キムチ・味噌・醸造酢・醤油・鰹節・塩麹・チーズ
 ★ オリゴ糖を多く含む食品 玉ねぎ
タマネギ・ニンニク・チコリ・アスパラガス・キャベツ・ハチミツ・ネギ・ゴボウ

 日常生活の改善 ウォーキング

  • 適度な運動を行う
    ウォーキングやストレッチなど体を動かすことによって腸が活発に動きます。筋力を鍛えることで、便を排出するときのいきむ力もアップします。特に、腹筋を鍛えることは腸を刺激し、腸のぜんどう運動が起こりやすくなります。
  • 排便を習慣化する
    日常生活の改善とは、規則正しく生活することが大切です。特に睡眠と朝食は排便習慣に大きな影響を与えます。睡眠中は副交感神経が優位となり腸が活発に働くため、睡眠中に便がつくられます。十分な睡眠がとれなかったり、睡眠が浅かったりすると副交感神経が優位にならず、腸の働きも悪くなります。
    また、朝起きて朝食を食べることも、便秘の予防・改善には大切です。胃腸に食べ物が入ることによって胃腸が刺激され、大腸のぜんどう運動が盛んになるからです。朝食をとらないと大腸のぜんどう運動が働かないため、便意が起こりにくくなります。
    さらに、毎日決まった時間にトイレに行く習慣も大切です。そして十分なトイレタイムをとること、便が出なくても数分間は便座に座るようにすること、便座に座る際はかかとを上げて上半身を前かがみにすること、併せてお腹のマッサージをすることも効果的です。
  • ストレスをためないようにする
    ストレスが溜まった状態が続くと、心と体は緊張して交感神経が優位となり、副交感神経がうまく働かなくなってしまうと腸の働きが低下してしまいます。
    自分がリラックスできて気分が楽になるような自分に合った「ストレス発散法」を見つけて、ストレスを取り除きましょう。

便秘の解消には、食事や運動、生活習慣の改善が基本ですが、いろいろ対処しても改善しないときは「便秘薬」をうまく使いましょう。
※ただし、「けいれん性便秘」の場合は、お医者さんに相談してください。

 

★ けいれん性便秘とは・・

腸のぜんどう運動が、活発すぎるために起こる便秘です。腸が何らかの原因でけいれんをおこし、ところどころくびれて狭くなってしまうため、便が通過しにくくなったしまったものです。原因は、ストレスや心理的なものが多く、腹痛を伴い下痢と便秘を繰り返すこともあります。

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