夏から秋にかけての胃腸トラブル-便秘と下痢-
今年の夏は特に暑かったですね。しかし、まだまだ残暑は続きます。
暑い日が続くと、食欲不振や胃もたれなどの胃の不調があらわれることがあります。
さらに、便秘や下痢、不眠などの症状が同時にあらわれることもあります。
原因は、暑さによる夏バテに関係するもの(最近では秋になっても同様の不調が続くことを「秋バテ」というようです)から、食生活や睡眠などの生活習慣が原因なことなど、さまざまです。
原因からこの時期の生活習慣を見直して、胃腸のトラブル対策をしっかり行い、この残暑を乗り切りましょう。
★ 原因
暑さに身体がうまく適応できず、さまざまな体調不良が現れることを総称して「夏バテ」といいます。また、残暑が長く続く最近では、「秋バテ」にも注意が必要です。
夏バテ・秋バテで食生活や生活習慣が乱れると、胃腸のトラブルにつながり便秘や下痢を起こすことになります。
冷たい飲み物や食べ物
暑くなりすぎた身体を冷やし体温を下げるには、冷たい飲み物や食べ物は効果的です。
しかし、摂りすぎた場合は、胃腸を直接冷やしてしまいます。それによって、食欲不振、胃もたれなどから食事量が減り、運動不足が重なると胃腸の働きが鈍くなり、消化不良や便秘などの原因になります。冷たい飲み物を飲み過ぎれば下痢の原因になります。
また、冷たい飲み物や食べ物によって身体を冷やしすぎることは、血管を収縮させて血流が悪くなり、やはり胃腸の働きを鈍くします。それが食欲不振や胃もたれ、便秘や下痢などの胃腸の機能低下が生じやすくなる原因となるのです。
外気温と室温との温度差
夏バテ・秋バテの大きな原因の一つと考えられているのが、自律神経の乱れです。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、この2つの神経が寒暖にあわせて体温調節を働かせることで、体温を一定に保っています。
しかし、夏バテ・秋バテでは、この体温調節する自律神経が暑さのせいでうまく機能できず、働きが乱れてくることで、さまざまな体調不良を引き起こすと考えられています。
夏の暑い屋外と冷房の効いた涼しい屋内を行き来することは、身体の調節機能がその都度、温度や湿度の差に順応する必要があり、自律神経の乱れにつながります。暑すぎず冷やしすぎない快適な室温を保つようにしましょう。
また、温度・湿度が保たれた快適な環境に身体が慣れてしまうと、本来の体温調節機能がうまく働かなくなり身体が冷えやすくなります。もちろん冷房が効きすぎた環境も身体を冷やす原因になります。
このような「冷え」は、血管を収縮させて血流が悪くなり、胃腸の動きを鈍くします。その結果、胃酸や胃粘液の分泌量が低下したり、食欲不振や胃もたれ、便秘や下痢などの胃腸の機能低下が生じやすくなる原因となるのです。
生活習慣の乱れ
食事時間や飲食する物や量など不規則な食事習慣や睡眠不足などの生活習慣の乱れは、胃腸に負担がかかったり、自律神経のバランスも崩れやすくなります。
そうすると、そこから夏バテ・秋バテや胃もたれやなどの胃腸の機能低下が生じやすくなります。
★ 対策
夏場の胃腸の調子が悪い場合は、特定の疾患からくるものではなく、夏の暑さや夏ゆえの生活習慣が原因になっている場合が多くあります。
そのため、胃腸や身体を冷やさない、自律神経のバランスを保つなど、思い当たる原因から暑い時期の生活習慣を見直し、改善することが胃腸の不調の予防・対策につながります。
また、疲れがたまったままの状態では自律神経の乱れにつながるため、十分な睡眠をとり休息をとることが大切です。ただし、起床や就寝の時間が不規則だと、せっかく長く睡眠をとってもほかの生活習慣が整いにくくなり、総合的な生活習慣の改善にはつながりません。
できるだけ、規則的な起床や就寝を心がけて、睡眠リズムを整えましょう。
適度な運動
適度な運動は血流の促進につながり、胃腸の動きをよくしてくれます。
さらに、運動をして汗をかくことは、体温調節の機能を正常に保ち、自律神経のバランスも整いやすくなります。
涼しい時間帯でのウォーキング、室内でできるストレッチや軽い体操など、無理なくできる適度な運動をしましょう。
お風呂はぬるめのお湯で湯船につかる
お風呂は、38℃~40℃程度のぬるめのお湯にゆっくりつかって(目安は10分以上が良いようです)しっかり身体を温めると、血流促進につながり胃腸の働きをよくしてくれます。
さらに、副交感神経が優位に働きリラックス効果、入眠効果も期待できます。
胃腸に優しく消化に良い食べ物・飲み物
胃腸の調子が悪い場合や夏の暑さで、食が進まなかったり冷たいものばかり摂りがちになるかもしれません。しかし、胃腸の調子が悪いときは、胃腸に優しく消化の良い飲食物を摂るようにしましょう。
例えば、おかゆ 、うどん 、豆腐 、卵 、白身魚 、脂肪の少ない肉、じゃがいも、大根などは消化に良いとされています。柔らかく調理されたものを温かい状態で食べるようにしましょう。
トマトやきゅうり、ナス、ピーマン、スイカなどビタミンCやビタミンA、ビタミンE、カリウム、カロテンなどが豊富な夏野菜や夏の果物には、必要な栄養素がたくさん含まれていますから、それらを摂ることで、疲労回復や汗をかくことで不足しがちなミネラルの補給、紫外線によるダメージの軽減、むくみの解消などが期待できます。
また、これらの野菜や果物は水分をたくさん含んでいることから、身体を冷やす効果があるので、水分不足を補ったり身体にこもった熱を下げる効果も期待できます。
市販薬を使う
胃腸の調子が悪いときに関連したお薬としては、胃薬や整腸薬などがあり、時と場合によってうまく活用することも一つの方法です。
症状があらわれた初期のころや、症状が軽い場合などは、市販薬を活用してみるのもよいでしょう。その際は、薬剤師のいる薬局・薬店で相談しながら、自身の症状に適したものを選ぶようにしましょう。
なお、市販薬を2週間以上連続して使用しても症状が改善しないような場合は、別の原因がある可能性もあるので、その際には早めに医療機関を受診しましょう。
また、薬だけで治そうとせず、食事や睡眠をはじめとした生活習慣の見直しや改善も併せておこなうことが重要ですね。
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株式会社山崎帝国堂 薬剤師。
スポーツファーマシスト/日本薬剤師会、千葉県薬剤師会の会員。
中堅製薬企業にて医薬品開発に従事し、消化性潰瘍治療薬を2品目上市。
現在、専門学術領域は日本微量元素学会、日本微量栄養素学会、日本栄養・食糧学会を中心に活動。 日本微量元素学会の代議員を務める。