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初めて便秘薬を使う方の便秘薬の選び方

本格的な梅雨の時期をむかえていますが、気温や湿度、気圧など気象の大きな変化が原因で起こる体調不良をおこさないよう体調管理には気を付けてください。
特に、今年、進学や就職、異動など環境の変化があった皆さんは、春先から新しい環境に慣れるために無理をしてしまって、ストレスをかかえていませんでしょうか。
過剰なストレス反応が続くと、心や体は緊張して交感神経が優位となり、副交感神経がうまく働かなくなってしまいます。その結果、交感神経や副交感神経系の自律神経に変調をきたし、生活リズムが乱れることによって腸の働きが低下して便秘症状になってしまうことがあるのです。
便秘を改善してスムーズな排便をとり戻すための基本は、食事、運動、睡眠や排便習慣などの生活習慣の改善が先ず大事です。
しかし、生活習慣を見直してもなかなか改善しない場合は、早めの対策としてお薬の力を借りることも必要です。そこで、今回は初めてお薬を使う場合の便秘薬の種類と選び方などについてご紹介します。

・便秘の症状

便秘の症状としては、どのようなものがあるのでしょうか。
①排便が週3回未満
②排便の時に強くいきむ必要がある
③便が硬かったり、ウサギの糞のようなコロコロ便
④排便してもスッキリせず、残便感がある
⑤排便に時間がかかる
⑥排便するとき「手で便を取り出す」「肛門周囲を押す」などの介助が必要
上記、①~⑥の症状のうち、2つ以上当てはまれば便秘の可能性があるということです。
2017年に「慢性便秘症診療ガイドライン2017」が公表され、診療手段が示されました。
ガイドラインによると、「本来体外へ排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」を「便秘」と定義しています。排便の回数が少ないというだけでなく、不快感や残便感があるというところも含めて「便秘」とされています。したがって、毎日、便が出ているからといって便秘ではないとは言えないようです。

・慢性便秘を起こす主な原因

便秘を訴える人の割合は、年齢と共にますます増えていると言われています。令和元年に行われた国民生活基礎調査の結果では、便秘を訴える人の割合は男性よりも女性が多いですが、80歳以上になると男女差がなくなってきます。

 高齢者の便秘

高齢になるにつれて増加する理由としては、運動量の減少に伴う筋力の低下、食欲の低下や食事量の減少、病気の治療で服用している薬の副作用や便意の感じにくさなどがあるようです。
運動不足ですと腹筋の力が弱くなり便を押し出す力も弱くなるため、便意を感じてもうまく排便できなくなることもあるのです。
食欲の低下や食事量の減少で、必要な栄養素や食物繊維の量も少なくなり便秘になる場合があります。
病気で病院等からお薬が出されている場合は、そのお薬の副作用で便秘となることがあります。パーキンソン病や高血圧などのお薬の中には、副作用として「便秘」が挙げられているものがありますので、主治医とよくご相談してください。
高齢の方では、意外と1日の水分摂取量が不足していて、そのため便が硬くなって便が排便できなくなることもあるので注意が必要です。

 女性の便秘

若い女性が便秘になりやすい原因の1つが女性ホルモンの影響です。生理前に分泌量が増えるプロゲステロンという女性ホルモンには、腸の動きを鈍くする作用があるからです。その他、ダイエットで食事制限をしたり、外出先などで便意を我慢したりすることも影響しています。
ダイエットで食事制限をして食事量を減らすと、必要な栄養素が不足するばかりか便の量も少なくなり便秘になることもあります。ダイエット中で便秘に悩んでいる方は、まずは食事量や食事内容を見直してみてはいかがでしょうか。
外出先や仕事中で便意があるのにどうしても我慢してしまうことがあります。このように排便を我慢するといった行為を繰り返していると直腸の神経が鈍くなり 、便意を感じにくくなってしまいます。
また、女性は身体的に男性と比べると腹筋が弱いため、大腸での便を送り出す力が弱いことも便秘の原因となります。

 子供の便秘

子供には便秘になりやすい時期があるようです。離乳食などに食事の内容が変わった時期は消化のよいものを少しずつ与えることが多いので、それが便成分を少なくしている可能性もあります。また、便の水分量が不足するために便秘になったり、腸の機能が未熟であったりすることも考えられます。
幼児期のトイレトレーニングを始めた時期では、排便のときに痛い思いをしてしまい排便をがまんしてしまうようになることもあります。
小学生になると学校でトイレに行くのをためらい、排便をがまんしてしまうこともあるようです。

・便秘薬の種類について

 薬局やドラッグストアで買える便秘薬

ドラッグストア

薬局やドラッグストアで買える便秘薬は、その働きによって大きく2つに分けられます。1つは便を軟らかくすること、もう1つは大腸の動きを刺激することです。
腸内の浸透圧を高めて便の水分量を増やして便を軟らかくすることで便を出しやすくするお薬のことを「浸透圧性便秘薬」と呼びます。
また、大腸の動きを刺激して便を出しやすくする薬のことを「刺激性便秘薬」と呼びます。
大腸の動きが悪いと便が軟らかくても便が大腸の中を進んでいかないので、薬の力で大腸のぜんどう運動(腸が伸びたり縮んだりして便を押し出す働き)を刺激して腸を動かすのです。
「浸透圧性便秘薬」は、「酸化マグネシウム」が主成分で古くから広く使用されています。
酸化マグネシウムは胃に入ると胃酸と反応して炭酸マグネシウムに変わります。この炭酸マグネシウムの濃度が腸の中と外で異なることから、濃度差をなくそうと腸の外から中へ水分が移動してきて便を軟らかくするのです。
「刺激性便秘薬」には、「センナ」「ダイオウ」あるいは「ビサコジル」という成分が入っています。センナとダイオウにはセンノシドが含まれています。ビサコジルはセンノシドとは異なりますが、大腸のぜん動運動を直接刺激して腸を動かします。

 病院で処方される便秘薬

病院一方、病院で処方される便秘薬は、主に「浸透圧性便秘薬」「刺激性便秘薬」の2つのタイプに分かれます。また、2012年以降、新しいタイプの便秘薬も登場しています(表1参照)。
浸透圧性便秘薬は、成分によって「塩類下剤」「膨張性下剤」「糖類下剤」などがあります。
「塩類下剤」の主成分はマグネシムです。長期にわたって服用しても安心して服用できる薬といえますが、高齢者や腎臓に疾患がある方の場合、副作用として「高マグネシウム血症」を引き起こすことがあります。用法・用量をきちんと守り、定期的に血液検査を受けましょう。
「膨張性下剤」は食物繊維のように薬自体が水分を吸収し、便のカサを増やして排便を促す薬です。緩やかに作用し習慣性も低く、自然な状態に近い排便を促します。
「糖類下剤」も「塩類下剤」と同様、便の水分量を増やして柔らかくし、排便しやすくするお薬です。しかしながら、「塩類下剤」のようなマグネシウムを含んでいないため、高齢者や腎臓疾患をかかえている方も安心して使用でき、子どもにも処方されるほど安全性が確立されています。
刺激性便秘薬は、便秘薬としての効果はとても高く、加齢や運動不足、ストレスなどから腸の動きがにぶくなる「弛緩性便秘」の解消に役立ちます。ただし、長期で服用すると耐性ができてしまい、効きにくくなることがあるので注意が必要です。
刺激性便秘薬には「大腸刺激性便秘薬」「上皮機能変容薬」などがあります。
「大腸刺激性便秘薬」は主に大腸へ作用します。大腸の働きが低下して排便しにくくなっている高齢者に向いているお薬で、「上皮機能変容薬」は、腸の上皮に作用して便秘解消に働くお薬です。

*「高マグネシウム血症」とは・・・
酸化マグネシウム製剤を長期間服用していると、まれに副作用として下記のような症状が現れることがあります。
高マグネシウム血症の初期症状
吐き気、嘔吐、立ちくらみ、めまい、脈が遅くなる、皮膚が赤くなる、力が入りにくくなる、体がだるい、傾眠(眠気でぼんやりする、うとうとする)

このような症状がみられましたら、「高マグネシウム血症」の可能性がありますので、医療機関を受診してください。


表1 主な便秘薬
分 類 一般名
 浸透圧性便秘薬  塩類 酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム
 糖類 ラクツロース
ポリエチレングリコール製剤 マクロゴール4000・Na・K
 上皮機能変容薬 クロライドチャネル刺激薬 ルビプロストン
GC-C作動薬 リナクロチド
胆汁酸トランスポーター阻害薬 エロビキシバット
 刺激性便秘薬 アントラキノン系 センナ、ダイオウ
ジフェニル系 ビサコジル、ピコスルファートナトリウム
(出展:今日の治療薬2022より抜粋)

・便秘薬の選び方

 初めて便秘薬を服用する場合

初めて便秘薬を服用する方は、自分で飲む量を少量から調節できて、お通じの状態をみながら、少しずつ飲む量を増やしたり減らしたりできる刺激性便秘薬がおすすめです。始めは少量から飲み始めましょう。
作用の強い刺激性便秘薬の場合は、大腸の動きが活発となるため人によってはお腹の痛みとなって現れてくることがあります。お腹の痛みに不安な方は、作用がおだやかで痛みの心配がない便秘薬を選びましょう。
また、刺激性便秘薬は長期にわたって使用すると耐性ができることがあると言われています。しかし、刺激性便秘薬は便秘の改善にとても効果があります。「用法・用量」や「使用上の注意」等を正しく守って使用すれば耐性が付くこともないでしょう。
なお、お薬が効きすぎた場合には便が柔らかくなりすぎて水様便になってしまうことがあります。このようなときには服用を中止する、あるいは減量するなどの対応が必要です。

 高齢者の場合

高齢者の方の便秘では、毎日の運動量の低下、食事の量の減少、食物繊維の少ない食事が原因で起こりやすいと考えられています。
腸の動きが鈍くなると、便がスムーズに運ばれなくなり、腸内に長く留まってしまいます。
そうすると、便の素となる内容物の水分が体に必要な水分として取られてしまい、便がますます硬くなってしまいます。
この様な便秘の場合は、浸透圧性便秘薬整腸剤がお勧めです。これらのお薬でも症状が改善しない場合は、刺激性便秘薬に変えてみましょう。

 小児の場合

小児の便秘では、食事の量が少なかったり、消化の良いものばかりを食べていたりすると便の量が不足して便意が起こりにくくなります。
また、水分の摂取量が少ないと、便秘を引き起こしやすくなります。
小児の便秘の場合は、先ずはバランスの取れた食事やトイレトレーニングとして朝食の前後にゆっくり排便できる時間を作る、便意を覚えたらがまんしないようにすることが大切です。
どうしてもお薬が必要な場合は、浸透圧性便秘薬がお勧めです。
このお薬でも症状が改善しない場合は、刺激性便秘薬に変えてみましょう。3歳以上の幼児から服用できる小粒タイプの便秘薬があります。

 その他

ストレスなどによって自律神経が乱れ、腸がけいれんするように収縮してしまい、便がスムーズに肛門の方に進んでいかず、ウサギの糞のようなコロコロとした便になるタイプのの場合は、食事の内容や生活習慣を見直して規則正しい食生活に取り組みましょう。それでもなかなか症状が改善しない方は、刺激性便秘薬がお勧めです。

便秘薬は必ず用法・用量を守って飲むことが大切です。また、自分に合った便秘薬を選ぶには、その便秘薬の成分を充分に理解して使用することが大事です。
自分に合う薬が分からない場合は、薬局や薬店で薬剤師に相談しましょう。
なかなか便秘が解消せず「自分に合う便秘薬が見つからない」と悩んでいる方は、一度、専門の医師に診てもらいましょう。

現在の私たちの生活は、ストレス、睡眠不足や偏った食生活により、腸内細菌のバランスが崩れやすくなっています。
腸内細菌のバランスは非常にデリケートですので、規則正しい食習慣やバランスのよい食生活を心がけるとともに、食物繊維を積極的に取り入れて、おなかの調子を整えることで健康な毎日を送りましょう。
規則正しい食生活は腸内環境を整え、健康の維持増進や私たちの身体にとって多くのプラス効果をもたらしてくれますね。

・便秘改善のアドバイス

その他、チョットした生活習慣の改善の見直し点を以下に列記します。
・食事は三食きちんと食べる
まず朝食を食べることで胃腸が刺激され、ぜんどう運動が活発になって便意が起こりますので、朝食は便秘解消には欠かせません。さらに、毎日三食を規則正しく食べることが排便のリズムを整えます。
・朝起きたら、先ずコップ一杯の水や牛乳などを飲む
朝一番に水を飲むと空の胃に水が入ることで大腸が刺激され、大腸のぜんどう運動にスイッチが入り自然な便意を感じることができるのです。
・適度な運動と休息
適度な運動は、血流を促し腸の働きも活発になります。また、運動後にはリラックスしてストレスが解消されます。
・決まった時間にトイレに行く
トイレタイムを確保する排便習慣は、便秘の予防にとても大事なことです。ただし、便意がないのにいきむのは禁物です。
・こまめに水分を摂りましょう、目安は1日2リットル
食事からの水分以外に便が硬くならないよう水やお茶などを1日2リットル程度とりましょう。ただし、カフェインの多いコーヒーやアルコールは利尿作用があることから、体内の水分が減ってしまうので注意しましょう。

どれも今日からできそうですね。

詳しくは、次のコラムも参考にしてみてください。

便秘のはなし

いや~な便秘にさようなら!運動で腸を元気に整えましょう

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【参考】
厚生労働省生活習慣予防のための健康情報サイト>e-ヘルスネット>便秘と食習慣


厚生労働省生活習慣予防のための健康情報サイト>e-ヘルスネット>食物繊維の必要性と健康

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