新生活のストレスによる便秘
新入社員や新入生の皆さん、職場の異動や退職をされた皆さん、いろいろとストレスを抱えていませんか?新生活を迎え生活環境も変わることから、腸の健康、特に「便秘」にはご注意くださいね。
新たな職場や学校等で生活環境が大きく変わり、職場や学校に慣れるまではストレスを感じることが多いことと思います。
また、生活のリズムが乱れることによって疲労や睡眠不足も重なり、知らず知らずのうちに自律神経に変調をきたしてしまいます。
その結果、腸の働きが低下して便秘症を発症することがあるのです。今回は、その予防と対策について紹介します。
なお、その前に便秘であるかどうかを確認するために、投稿記事「便秘のはなし」→「便秘とは?」でチェックしてみてくださいね。
規則正しい日常生活・食生活を心がける
食事
毎朝、同じ時刻に起きて日光を浴びましょう。
そして大事なことは、朝食をしっかりとることです。
特に、起床後、朝食をとることで胃腸が刺激され、腸のぜんどう運動が起こり、便意を感じます。
また、食事は規則正しく3食をとっていますか。食べ物を食べることによって、食べた内容物が胃腸を刺激して胃・結腸反射が起こり、腸のぜん動運動によって便の元が直腸に送り出されます。それによって、便意が生じて排便が促進されます。生活リズムが不規則だと、この様な動きが見られにくくなり、不規則な排便になりかねません。
水分補給
便秘のときは、便の水分が乏しくなって固くなります。固くなった便は腸内の動きが悪くなり排便が困難になります。
水分は、便を軟らかくしてくれますから排便を容易にしてくれる働きがありますので、水分をしっかりとりましょう。
また、朝起きて直ぐにコップ一杯の水を飲むことも腸にはいいことです。朝一番に水を飲むことは、「胃・結腸反射」を誘導します。水を飲むと空の胃に水が入ることで大腸が刺激され、大腸のぜんどう運動にスイッチが入り自然な便意を感じることができるのです。
朝は、副交感神経が優位の状態から交換神経が優位の状態へと切り替わるときです。このときに胃腸を動かすことで自律神経のバランスを整えて、一日のパフォーマンスを上げるスイッチをいれましょう。
トイレタイム
ゆっくりトイレに入る朝のトイレタイムがとれないといった生活習慣、学校や職場でトイレに行くのをためらい我慢してしまうことをくり返していると、便意を感じにくくなってしまいます。
毎日決まった時間にトイレに行く習慣も大切です。そして十分なトイレタイムをとること、便が出なくても数分間は便座に座るように習慣をつけましょう。また、トイレに行くのをためらい我慢してしまうことは避けましょう。
腸はとてもデリケートですから、快適な毎日を迎えるためにも排便するリズムを作る朝の時間をゆったりと過ごすことが大切ですね。毎日のリズムを作るよう心がけましょう。
また、「排便時の姿勢」も意外と重要なポイントです。和式トイレが一般的なときのかがむ排便スタイルは、自然に腹圧がかかる姿勢であり、かつ、前傾姿勢であることが物理的に便を出しやすい姿勢だったのですね。一方、洋式トイレでは、まっすぐに座ってしまうと直腸が「く」の字に曲がってしまい便が出しづらい状態となってしまいます。ロダンの「考える人」のポーズのように、便座に座る際はかかとを上げて上半身を35°程前かがみにすること、併せてお腹のマッサージをすることも効果的ですね。
運動
イライラする、怒りっぽくなったなどの症状が出たときは、体がストレスを感じている証拠です。自律神経の乱れを整える自分に合ったストレス解消法を見つけることが大切です。
例えば、早起きして朝の散歩を楽しんでみてはいかがでしょうか。朝の新鮮な空気を吸うことによって1日を快適に過ごせることと思います。
運動することによって血流が良くなれば、腸の動きも良くなります。運動によって筋力を鍛えることができます。いきむときに体幹の筋肉が鍛えられれば便を排出する力が高められます。
また、定期的に運動することは、睡眠の質を上げることにもつながり快適な睡眠をもたらす効果も期待できますね。
睡眠
食事をしてから便が排出されるまでの排便メカニズムを正常に働かせるには、規則正しい生活習慣が大切です。特に、睡眠と食事は排便習慣に大きな影響を及ぼします。腸の働きは、自律神経(自律的に働く神経で、主として活動時や昼間に活発になる交感神経と、安静時や夜に活発になる副交感神経を合わせた神経)によってコントロールされています。
睡眠中やリラックスした状態のときに副交感神経が優位に働くと、腸の活動は活発になります。そのため、快適な睡眠は便秘改善に効果があります。
ところが、寝つきが悪かったり眠りが浅かったりすると、副交感神経が優位に働かないため、腸の働きも悪くなってしまうのです。便秘を予防し、改善するためには質の良い睡眠を心がけることが大切ですね。
株式会社山崎帝国堂 薬剤師。
スポーツファーマシスト/日本薬剤師会、千葉県薬剤師会の会員。
中堅製薬企業にて医薬品開発に従事し、消化性潰瘍治療薬を2品目上市。
現在、専門学術領域は日本微量元素学会、日本微量栄養素学会、日本栄養・食糧学会を中心に活動。 日本微量元素学会の代議員を務める。