いや~な便秘にさようなら!運動で腸を元気に整えましょう
新型コロナウイルスの感染予防やテレワークの普及で、外出の頻度が著しく減ったという人も多いでしょうね。生活スタイルの変化によって、座っている時間が長くなり、生活リズムが不規則になると排便リズムや便の状態にも影響を及ぼしてきます。
体を動かさないでいると、筋肉が減り、筋力は低下していきます。
「座っている時間」と死亡率の関係を調べた研究では、座り時間が長くなり、身体活動量が少なくなるほど死亡率が高くなるという研究報告*もあるようです。
食事や運動、生活習慣、睡眠、排便習慣、精神的なストレスやお薬など、さまざまな原因が重なって起こる「便秘」症状ですが、もっとも多いのは、便を送り出す腸の動き(ぜんどう運動)が弱くなっているタイプです。
一般に弛緩性便秘(しかんせいべんぴ)と言われています。
普段の食事や生活習慣、睡眠以外で便秘の改善に有効なのが「運動」です。
今回は、便秘と運動の関係についてご紹介します。
◎ 便秘におすすめの運動
コロナ禍で外出の機会が減り、家の中でテレビを見続けたり、長時間のテレワークなどで知らず知らずのうちに座っている時間が長くなっています。
実は、この座りっ放しは非常に体に悪いことなのです。
座ってばかりだと全身の血液循環が悪くなり、細胞に酸素と栄養が行き渡らなくなり、老廃物や疲労物質が排出されずに体に溜まってしまいます。また、筋肉は衰え、死亡リスクが高まっていく・・。そうした健康の危機を回避するためにも体を動かすことは大事です。
運動不足が続くと自律神経のバランスが崩れる原因にもなりますし、腸のぜんどう運動も低下してしまいます。そのためにも、とにかく体を動かすことが大事です。
家の中では、家事などでこまめに動くようにしたり、気楽にテレビを見ながらの「ながらエクササイズ」やストレッチもよいでしょうし、ウォーキングもよいでしょう。
ながらエクササイズでは、例えば「ウエストのねじり」
椅子に座ってお腹に軽く力を入れ、ウエストを左右にねじる(左右に各10回ほどくり返す)
「腹筋運動」はあお向けに寝てお腹に力を入れ、十数秒間かかとを浮かせた姿勢を維持する。ひざは軽く曲げてもOKです(数回くり返す)
座ったままの「腹筋運動」もあります。
椅子に座り両手で椅子の座面をつかみます。次に両脚をそろえたまま、床から10cmほど上げて10秒間静止します(これを10回くり返す)
「のの字マッサージ」は、おへそを中心に、時計回りに円をえがくように手のひらで1~2分、痛くない程度におさえながらさすります。
「ながらエクササイズ」やストレッチ、ウォーキングなどは、時間や場所を選ばず、お金もかからず、1人で好きなときに取り組めるので、運動習慣のない人や、忙しい人にもピッタリな運動です。短い時間でもいいので、腹筋を鍛える運動を毎日続けてみましょう。
◎ 運動と腸内環境
近年、腸内環境の乱れは生活習慣病からあらゆる病気との関係が明らかになってきています。腸内環境を整えるには、腸内細菌のエサとなる食物繊維や乳酸菌などを取り入れることが重要ですが、ウォーキングにも腸内環境の改善に有効なことが分かってきました。
腸の動きは、交感神経と副交感神経からなる自律神経によって調節されています。ウォーキングのような軽めの有酸素運動なら自律神経のバランスが整い、腸の動きが良くなることから、腸内環境も整いやすくなってくるのです。
◎ 運動と睡眠
日中にウォーキングなどして活動的に過ごしていると、眠りは整いやすくなります。ヒトには元来、疲れたら眠くなるという性質があるからです。日中できるだけアクティブに過ごしていれば、暗くなれば眠気が高まり、ぐっすり眠れるようになるでしょう。
◎ 運動と免疫
運動をすると、体温が上昇して血行が促されます。血流が改善すると、細胞に必要な栄養や酸素が全身に行き渡るほか、血液中に含まれる免疫細胞が活性化されるため、免疫力アップにつながります。
ストレスが溜まると交感神経が優位に働くため、血管が収縮して血行が悪くなります。血液中には多くの免疫細胞が含まれているため、血行が悪くなると免疫力が低下する恐れがあります。
また、「笑い」は、副交感神経が優位になり血行が促されるほか、がん細胞や病原菌に感染した細胞を死滅させる働きのあるNK細胞が活性化されると言われています。免疫力を下げないためにもストレスをためず、よく笑うようにしましょう。作り笑いでも同じ効果があると言われています。
◎ その他 ウォーキングの効用
生活習慣病の予防・改善
血圧を上げるホルモンの分泌が減って血圧を下げるホルモンの分泌が増える、血糖値を下げるインスリンの働きがよくなる、善玉と呼ばれるHDLコレステロールが増えるなど、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病を予防・改善する効果があります。
骨が強くなる
骨は物理的な刺激が加わると、微量の電流が骨に伝わって骨の強度が増し、骨粗しょう症の予防に役立ちます。
脳が活性化する
運動をすると、血流がよくなって脳細胞が活性化します。また、歩くことで脳の記憶や意欲にかかわる部分が活性化されるなど、認知機能の向上も期待できます。
ストレス解消
ウォーキングのような軽度でリズミカルな運動を続けると、脳内で幸せホルモンと呼ばれるセロトニンが増えてきます。すると、このセロトニンはストレスや不安に対して負けない、しなやかなメンタルを身につけてくれるメリットもありますね。
ウォーキングには健康にうれしい効果がいっぱいです!
ウォーキングは、酸素を取り込みながら行う「有酸素運動」です。心肺機能が高まったり、足腰が鍛えられるほかにも、健康づくりに役立つさまざまなメリットがいっぱいあります。
ウォーキングのような有酸素運動を続けると心肺機能は徐々に高まることからスタミナも向上しますね。
このような運動を毎日続けることで、自然な形で便秘を解消してくれることができます。
楽しく体を動かしてお腹の中(腸内環境)からも外(自律神経)からもお腹の腸を整え、健康な日常生活を送りましょう。
それでも、なかなかお腹の不調が改善に至らない場合は、市販のお薬を用いることも解決の手段になりえると考えます。
すぐにでも辛い便秘を何とかしたいと考えている方には、便秘薬が効果的です。生薬の便秘薬「複方毒掃丸」は、生薬の力で自然に近いお通じを促してくれます。
詳しくは、次のコラムも参考にしてください。
毒掃丸ブランドサイト
https://dokusogan.jp/
*:「座っている時間が長いほど死亡リスクが増加する」J-MICC STUDY(日本多施設共同コーホート研究)
JAHA :Vol.10(13), e018293,2021
Effect of Underlying Cardiometabolic Diseases on the Association Between Sedentary Time and All‐Cause Mortality in a Large Japanese Population: A Cohort Analysis Based on the J‐MICC Study
京都府立医科大学:【論文掲載】座っている時間が長いほど死亡リスクが増加する ~その効果は、余暇時間の運動活動量を増やしても、完全に抑制されない~ (kpu-m.ac.jp)
資料:PDF
株式会社山崎帝国堂 薬剤師。
スポーツファーマシスト/日本薬剤師会、千葉県薬剤師会の会員。
中堅製薬企業にて医薬品開発に従事し、消化性潰瘍治療薬を2品目上市。
現在、専門学術領域は日本微量元素学会、日本微量栄養素学会、日本栄養・食糧学会を中心に活動。 日本微量元素学会の代議員を務める。