運動は便秘解消に効果的で、また運動不足は便秘の原因になる~~皆さまも一度は聞いたことがあるはずです。でも、そうとは知っていながらも、実は十分な運動ができていない…そんな方も多いのではないでしょうか。運動は、便秘のセルフケアの大事な要素で、ご自身の生活スタイルにあう形でしっかり習慣化していくことが大切です。今回は、運動と便秘の関係について、エビデンスに基づいて整理し、どんな運動をどのくらいするのが良いのか、見てみたいと思います。
運動の減少が便秘の悪化につながることと、運動の実行が便秘解消に有効であることを示すデータは、多く存在しています。例えば、食べ物が大腸を通過する時間(大腸通過時間)は、運動をしたほうが短くなること、よく歩くことでカプセル内視鏡の排出率が向上すること、また運動量が減った人に便秘の症状が増えてること、などといった報告があります注1。便秘に悩んでいる人は、積極的に運動をするべきでしょう。運動は、立派な腸活なのです!
運動が便秘を改善する理由としては、(1)運動による刺激が腸管運動を促進し、大腸の内容物が直腸にむけて移動しやすくなることや、(2)運動によりリラックスでき、自律神経のバランスが改善し、それが日々の腸管運動のリズムを整えてくれること、の2つが考えられています注2。加えて、排便のために「いきむ」時に、腹筋で腹圧を高める必要があるため、腹筋を鍛えることも便秘を改善させると、広く一般的に考えられています。
このように、運動が便秘の改善に効果があることはかなり確実だと言える一方で、どんな運動で実際に効果がでるのかは研究が豊富とはいえません。まず、網羅的に様々な運動が便秘をどの程度解消するかを比較した研究はありません。ただし、ジョギングなど有酸素運動が便秘を改善するという研究結果がいくつかあり、気功やウォーキングなどの有酸素運動が便秘を改善したことを示す海外のメタ解析が存在しています注2。コロナ禍という時節柄、運動を室内で行う方も多いと思いますが、その場合は、スペースが限られる中で効率よく運動をしたいものです。先に挙げたように、便秘対策として行う運動は、動作の際の刺激で腸管を動かすことも期待していますから、体幹をひねったり、腹部に圧がかかるような動作がお勧めです。そして運動後でも構わないので、腹式呼吸も組み込むことができたら、より自律神経の働きも整うでしょう。中長期的な便秘対策としては、腹筋を鍛えることも意識してみましょう。
表は本記事の内容より当社作成
また、どれほどの運動を勧めるかについては、明確なエビデンスがなく、従って医学的な目安はありません注1。ただ、ある程度継続的な運動が必要そうであることは、データから推察することができそうです。慢性便秘症の女性患者を対象とした、便秘のリスク因子に関するアメリカの研究注3では、日常の運動の頻度が便秘にどの程度影響するかを統計的に分析しています。論文のデータ(下の表)によると、週に一度も運動しない人が便秘である割合を1とすると、週2~3回運動をする人では0.68、毎日では0.56と、運動の頻度が上がるに従って便秘を訴える人が減っていく傾向が見て取れます。
*multivariate
表は Laurent Dukas, et al: Association between physical activity, fiber intake, and other lifestyle variables and constipation in a study of woman. Am J Gastroenterol 98:1790-1796, 2003より作成
1度に行う運動量については、便秘に特化したエビデンスはまだないようです。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動基準2013」というガイドラインでは、健康全般のために30分以上の運動を週2回以上行うことを推奨しており、一つの目安になりそうです注4。
便秘解消にむけたご提案: ジョギングやウォーキングのような室外の有酸素運動、あるいは気功・ヨガ・室内体操などを、1回30分以上を週2回以上、行うことを心がけてみてはいかがでしょうか。
なかなかハードルが高いように見えますが、最初からこの水準を目指す必要はありません。まずはできることから始めることが大切です。また、腸活や、腸活を含む便秘のセルフケアのメニューは、運動だけではありません。本ブログの腸活のタグと、便秘解消のタグにある各記事もぜひ参照していただき、ご自身に合った便秘対策を行ってみてください。また、毒掃丸整腸薬で腸活をサポートしてあげることや、便秘の症状が気になるようになったら、便秘薬・毒掃丸の助けを借りることも併せてご検討ください!
(最終更新日:2022年3月22日)
注1:日本消化器病学会関連研究会,慢性便秘の診断・治療研究会:慢性便秘症診療ガイドライン 2017.南江堂,2017 p.60 注2 高野 正太: V.慢性便秘症に対する食事療法、運動療法,、理学療法, 日本大腸肛門病会誌 第72巻10号 621-627,2019 注3:Laurent Dukas, et al: Association between physical activity, fiber intake, and other lifestyle variables and constipation in a study of woman. Am J Gastroenterol 98:1790-1796, 2003 注4:前掲の「慢性便秘症診療ガイドライン 2017」でも「健康づくりのための身体活動基準2013」の活用を推奨している。
ひとこと
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