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  • ストレスを抱え込むような生活をしていると、排便のリズムは乱れ、便秘が悪化してしまいます。この記事では、便秘の大敵であるストレスについて少し詳しく見ていき、ストレスだらけの現代社会の中で、どんな工夫をすれば便秘を悪化させないで済むか、解説していきたいと思います。  

    ■ストレスってなに?

      ストレスといわれて、思い浮かべるものはなんでしょうか?仕事や人間関係のトラブルに悩んだ時の、つらくて不快な心理状態を思い浮かべる方が多いかもしれません。生理学的には、ストレスというのはもっと広い概念で、外部からの刺激などによって体の内部に生じる様々な反応のことを指します注1。   そうしたストレス反応の原因には、温度、光、音などの物理的なもの、大気汚染や臭いなどの化学的なもの、アレルゲンや病原菌などの生物的なもの、仕事や対人関係のような社会・心理的なものがあります。平たくいうと、ストレス反応は、生体の恒常性(つまり、生命活動を維持すること)が脅かされたときや、脅かされたと認識したときに発生します注2。ストレスに直面すると、人体は脅威に対処するために、免疫反応や、内分泌系の反応、自律神経を通じた反応などを起こします。これらの反応の結果として、体や心(ひいては行動)に様々な変化が起きます。   職場で不快な出来事があれば、その出来事が終わってからも不愉快な気分が長く続いたり、長時間血圧が上がったままになります。そのうち、頭痛や肩こりを感じるかもしれません。喪失や別離などの出来事があれば、長い間活力を失い、後悔にかられ、うつ気味になったり、不眠になってしまうかもしれません。こうした身心の変化には様々なものがあり、便秘もそのうちの1つです(ストレスで便秘になる仕組みは後述)。    
    ストレスによる体の変化
    不眠
    頭痛
    肩こり
    腰痛
    腹痛
    吐き気・嘔吐
    下痢・便秘
    疲労・倦怠感
    過覚醒
    ストレスによる心の変化
    不安
    うつ
    集中力低下
    意欲低下
    乖離
        日常の一つ一つのストレスは、一過性なので、やがて反応も終わって心身は平常に戻ります。しかし、大きなストレスが長期間に渡って続発するような場合は、うつ病などの精神疾患や、便秘や下痢を繰り返す過敏性腸症候群、本態性高血圧症などの心身症になりやすくなるなど、健康に深刻な影響を及ぼすことになります。更に、慢性的なストレスにさらされると心血管疾患のリスクも上がりますし注3、がんの罹患率が上がったという報告もあります注4。    

    ■大腸が動く仕組みと、自律神経のはたらき

      続いて、ストレスが便秘をなぜ悪化させるのかを知るために、大腸が動く仕組みと、自律神経のはたらきについて概観してみましょう。  

    (1)大腸が動く仕組み

      便秘と深い関係がある大腸ですが、他の臓器と同様、自分の意志で動かすことはできません。食事から排便までの流れのなかで、食べ物を飲み込んでから、直腸で便意を感知するまでの長い時間、意思の力は全く及びません。どんなに知能が高い人でも、あるいは体力が充実している人でも、自分の意識で胃や腸を動かしたり、便意をゼロから引き起こし、自在に排便するということはできません。胃や腸は、意識の直接の支配が及ばない神経の働きによって動いているからです。   関連リンク:「便秘と便意」   大腸が動く仕組みは、少し複雑です。まず、大腸は脳の指示(無意識下の指示も含め)がなくても動くことができます。内臓には、中枢神経からの指示なしでも動く仕組みを備えたものがあって、例えば、心臓は自ら動く能力があり、脳からの神経(自律神経・後述)は、心臓自身の動きを調節しているだけです。大腸も、脳からの指示なしに自ら動く仕組みを持っている臓器の一つです。   大腸には、腸管神経系とよばれる、脳と直接つながっていない神経が張り巡らされており、この神経系が、大腸の中を内容物が通過する際の刺激を感知して、中枢神経の指示なしで自ら蠕動運動(ぜんどううんどう・内容物を先に運ぶ運動)を引き起こしています。そのうえで、脳から背骨を通って大腸まで届いている神経(自律神経)が、腸管神経によって引き起こされる蠕動運動の活発さの度合いを調整しています。  

    (2)自律神経のはたらき

      前項の説明の中で、何回か自律神経という用語が出てきました。自律神経とは、血圧や呼吸や発汗、大腸の場合は蠕動運動きなど、生命維持の様々なプロセスを調節するために体中に張り巡らされた神経です。意識的な努力をしなくとも、自動的(自律的)に機能するのが特徴です。自律神経には、交感神経と副交感神経という2種類の系統があり、それぞれの系統の強弱が、各臓器の働きかたに影響を及ぼしています。   ★交感神経:ストレスの多い状況や、緊急事態に対応できるよう、体の状態を整えます(闘争・逃走反応)。交感神経が活発になると、血管は収縮し、血圧が上昇し、心拍も早くなります。一方で、腸の蠕動運動は、抑制されます。緊急事態には、消化吸収にエネルギーを使うことや、排便が促されるような事態はそぐわないのでしょう。   ★副交感神経:日常的な状況下で、体内のプロセスを制御します。体をリラックスさせ、エネルギーを温存し、体力を回復させます。血管は拡張し、血圧は下がり、心拍はゆっくりになります。腸の動きは促進されます。リラックスしていると排便がうながされるのはこのためです。ただし、睡眠中は、副交感神経が優位であっても、大腸の強い蠕動運動は起こりません。
     
    交感神経 副交感神経
    収縮 血管 拡張
    上昇 血圧 下降
    早い 心拍 ゆっくり
    緊張 筋肉 弛緩
    蠕動運動抑制 蠕動運動促進
    促進 発汗 抑制
        ストレス源に直面すると、自律神経系のストレス反応として、交感神経がたかぶります。すると、大腸の蠕動運動が抑制されてしまい、内容物が肛門側にむけて運ばれにくくなるのです。  

    ■ストレスと便秘の関係

      以上から、ストレスで便秘になったり、悪化してしまったりする場合には、次の3つの可能性が考えられます。  

    (1)大腸遅延型便秘

      ストレスに直面した時に、自律神経のうちの交感神経がたかぶり、大腸の蠕動運動が抑制されてしまうと、大腸通過遅延型の便秘になりやすくなってしまいます。これが、ストレスが便秘を引き起こす代表的なパターンの1つです。   大腸通過遅延型便秘というのは、大腸の蠕動運動が十分に起こらないことで、内容物が大腸を通過するのに要する時間が長くなり、引き起こされる便秘です。内容物の通過所要時間が長くなると、その影響は、排便のタイミングが遅くなるだけではありません。通過に時間がかかることにより、本来なら便に含まれるはずだった内容物中の水分が大腸から吸収されてしまい、便がカチカチになってしまい、ますます排出しにくくなってしまうのです。   関連リンク:「便秘の種類と原因」  

    (2)排便リズムの乱れ

      また、2つ目に、ストレスで交感神経が昂ることで睡眠の質が悪くなったりして、排便のリズムが狂うことも考えられます。ストレスにさらされると、睡眠の質が下がってしまいますが、睡眠不足は便秘を悪化させます注5。本来ヒトの体は、睡眠中に徐々に腸を動かして内容物を運んでおき、朝食後に起こる「大蠕動」という大きな大腸の動きで一気に肛門近くまで便を押しやることで、朝の排便を行うようなリズムになっています。睡眠不足は、このリズムを狂わせてしまう恐れがあります。  

    (3)心身症による便秘

      また、3つ目に、心身症による便秘も考えられます。長期間ストレスにさらされることで引き起こされる心身症には、様々なものがありますが、そのうちの1つが過敏性腸症候群(IBS)です。自律神経の失調などで起こるとされ、発症すると、腸が刺激に対して過敏な状態が続きます。そして、ちょっとした緊張やストレスで、便秘や下痢を繰り返すようになります。過敏性腸症候群には、主な症状が便秘のものと下痢のものがあるため、便秘型・下痢型・混合型(便秘と下痢のどちらにもなる)・分類不能型に分類されています。少しのストレスで便秘になってしまう方は、この過敏性腸症候群の便秘型(痙攣性便秘ともいいます)なのかもしれません。  

    腸を整えると、自律神経も整う? 最近、「腸脳相関(ちょうのうそうかん)」という言葉が良く使われるようになっています。これは、腸と脳は互いに影響し合っているという考え方です。腸は、体の中でも神経細胞が多い臓器で、脳に次ぐ数の細胞数があると言われます。そして、腸から脳に信号を届ける神経の経路も多くあることから、腸の調子が、脳や自律神経にも影響を及ぼしている可能性が指摘されています。近年では、腸内環境の乱れが、うつ病や過敏性腸症候群の発症に関係があるのではないか、と考える研究者が増えています。心身の状態を良好に保つためには、ストレスと上手に付き合うことと同様に、腸内環境を守ることも大切なのかもしれません。

      関連サイト:「腸内細菌と、健康・便秘

     

    ■ストレスが多い方のための便秘対策

      ストレスによる便秘を避けるためには、心をリラックスさせる時間を持つことや、睡眠時間をしっかりとること、規則正しい毎日を送って朝のトイレタイムを逃さないことが大切です。数ある便秘対策の中から、ストレスが多い方に特におススメのものを選んでみました。   睡眠が大切   ★腹式呼吸や深呼吸を心がける 吸う時の2倍程度の時間を掛けて息を吐くことで、副交感神経の働きが高まることが多くの実証実験で分かっています注6。まずは5分でも続けて行い、実際にリラックスが得られることを実感してみましょう。リラックスが実感できたら、隙間時間や緊張状態のときにやってみたり、リラックスタイムの質を更に上げるためにどんどん活用してみてください。   関連リンク:「「腸活」について③ 食べる以外の腸活」   ★運動をする 特に、有酸素運動を行うことで、便秘を改善できることがわかっています注7。運動がストレスを発散し、副交感神経のはたらきを良くしてくれるので、睡眠の質の改善と、腸の動きの改善が期待できます。1回30分程度の有酸素運動(ジョギング、ウォーキング、ヨガなど)を週2回行うことを目指してみましょう。   詳しくは:「便秘と運動」   ★睡眠時間を確保する 睡眠不足は便秘を悪化させます注5。眠れるかどうかわからなくても、睡眠のための時間をしっかり確保することは必要です。   ★朝起きてコップ1杯の水をのみ、朝食を抜かず、朝の便意は逃さない この3つの文節は、それぞれ1つだけを行っても効果は期待できますが、3つでワンセットだと考えてください。私たちの体は、食事で胃に食べ物が入ると、その刺激が神経を通して伝わることで、数分以内に大腸(結腸)が動き出し、続いて強い蠕動運動=「大蠕動」が起こるように出来ています。これは胃結腸反射と呼ばれ、朝食後に一番強くおこります。コップ1杯の水と朝食で、大蠕動を引き起こし、大腸の内容物を直腸に送り込みます。直腸に便が入ると便意を感じますので、このチャンスを逃がさず、しっかり出してしまいましょう。   詳しくは:「便秘と便意」/「便秘によい飲み物」   以上のうち、1つを選ぶのではなく、できるだけ沢山生活に取り入れることが大切です。毎日の自然なお通じを取り戻すために、ぜひ頑張ってみましょう!  

    ◇    ◇    ◇    ◇

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      注1:厚生労働省e-ヘルスネット「ストレス」(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-031.html)2022年9月3日参照。注2:Chrousos GP. Stress and disorders of the stress system. Nat Rev Endocrinol. 2009 Jul ; 5(7) : p374-81. 注3:Batty GD, et al. Psychological distress and risk of peripheral vascular disease, abdominal aortic aneurysm, and heart failure: pooling of sixteen cohort studies. Atherosclerosis. 2014 Oct ; 236(2) : p385-8.  注4:Song H, et al. Perceived stress level and risk of cancer incidence in a Japanese population: the Japan Public Health Center (JPHC)-based Prospective Study. Sci Rep. 2017 Oct 11 ; 7(1) : 12964. 注5:例えば、Yamamoto S, et al. Internet Survey of Japanese Patients With Chronic Constipation: Focus on Correlations Between Sleep Quality, Symptom Severity, and Quality of Life. J Neurogastroenterol Motil. 2021 Oct 30 ; 27(4) : p.602-611. 注6:例えば、坂木 佳壽美, 腹式呼吸が自律神経機能に与える影響, 体力科学, 2001, 50 巻, 1 号, p. 105-118.  注7:日本消化器病学会関連研究会,慢性便秘の診断・治療研究会:慢性便秘症診療ガイドライン 2017.南江堂,2017 p.60    ひとこと 最後までお読みいただきありがとうございます。記事がお役に立ちましたら、SNSでもご共有いただけますと幸いです! また、お買い求めは全国のドラッグストア・通販サイトで。 見つからない場合は「毒掃丸をください」と申し出てください。 こちら(SHOPどくそうがん)でも販売しております→ショップどくそうがん | 便秘薬の毒掃丸 山崎帝國堂のネットショップ (dokusougan.jp)

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  • 便秘と便意

    2022.02.23
    便秘に悩む人にとって、ようやくやってきた便意を上手にとらえて排便できたときの喜びは、格別です。便意とは、便が直腸に溜まったときに感じる内臓感覚であり、体が脳(あなたの意識)に対して、排便の時がきたことを知らせるシグナルです。人の体は本来、便意が来た時にトイレに行くことで、快便が出るようにできています。今回は、そんな排便の仕組みを概観しながら、便意の大切さについてお伝えしていきます。また、便秘と便意の関係や、腸と脳が関係しているために起きているかもしれない便意、そして便意を促すコツについても述べたいと思います。  

    ■排便のメカニズムと、便意

     

    (1)朝のできごと

      口から入った食べ物は、ご存知のように、胃と小腸で栄養分が消化吸収され、残ったものが大腸によって肛門の方に運ばれて、最後に便になります(便自体のことについてはブログ記事「うんちと便秘」もどうぞ)。食事で食べたものが便になって排出されるまでの時間は、およそ24~72時間と言われており、その中で、最後の大腸の通過には15から20時間(便秘でなければ)を要します。   大腸は、実は寝ている間はあまり動きません。深夜便意を催すことが少ないのはそのためです。そして、朝起きた時に、一日の中でも最大級の勢いで動きを再開します注1。この動きは無意識に起きる反射的なもので、姿勢結腸反射、あるいは起立大腸反射とよばれています。排便の準備は、便意を感じる何時間か前、朝目が覚めた時から始まっています。  

    (2)朝食で大蠕動が引き起こされる

      それでも、起床時の腸の動きが排便の直接の引き金になる人は多くありません。旅行でも合宿でも、トレイが混みあうのは朝食後というのが相場です。それは、「胃結腸反射」(いけっちょうはんしゃ)という体の仕組みがあって、これが皆に一斉に起こっているからです。私たちは、食事で胃に食べ物が入ると、その刺激が神経を通して伝わることで、数分以内に大腸(結腸)が動き出し、続いて強い蠕動運動=「大蠕動」が起こるように出来ています注2。これが胃結腸反射です。このときに起こる大蠕動で、大腸の内容物が直腸(大腸の一番下の肛門に近い部分)に入り、朝食後の便意をもたらします。被験者を絶食させると、大腸の活発な動きが実際に起きなかったという報告もありますし注3、1日3食のうちでも朝食の後の蠕動運動が一番強かったこと注1も合わせて考えると、朝食は、面倒でも抜かずに毎朝しっかり食べることが、良い便意を得る秘訣と言えるでしょう。    

    (3)直腸と、便意

      大腸内に溜まった便が直腸に送られてくると、それまで空っぽだった直腸は、やってきた便に押されて膨らみ、直腸壁には圧力がかかります。この直腸壁への圧力が一定以上になると、信号が仙髄(背骨と骨盤をつなげる仙骨の中にある中枢神経)にある「排便中枢」という神経組織に伝わり、排便に向けた次の段階が始まります。直腸では、上の方がすぼまり、下の方が緩む動きが起き、便が肛門の近くまで降りてきます。後述しますが肛門でも排便の準備がすすみます。そして、信号が大脳皮質の感覚野に届き、いよいよあなた自身が一種の内臓感覚として、あの「便意」を感じます。   感覚野に便意が伝わると、あなたは前頭前野(計画を立てる脳)でトイレにいくことを計画し始め、行動に移るはずです。高度な大脳のおかげで、落ちついて用を足せるトイレを探し、個室の扉を閉め、服をおろし、便器に腰掛けるなどの人間らしい行動をとることができます。そしてついにあなたは肛門を緩めます。   ここでのポイントは、脳が便意を感じている時には、直腸と肛門も排便体制にあることです。この機会を逃さないことが快便の秘訣です。  

    (4)排便時の肛門と、いきむ時の姿勢

      ここで、肛門で起こる出来事に目を移しましょう。そもそも肛門は、普段は便が漏れないように、3重のバリアが講じられています。まず、普段、肛門は内肛門括約筋(ないこうもんかつやくきん)と外肛門括約筋(がいこうもんかつやくきん)という2段階の筋肉の働きで閉じられています。そして3つ目に、直腸と肛門は、寝ている姿勢や立っている姿勢では一直線にならず、便の圧力で肛門が開いたりしにくくできています。この角度のことを直腸肛門角といいます。日本のお城の門「桝形虎口」が2つの門と直角の動線で敵の侵攻を食い止めようとしている様を連想させます。排便時には、無意識の力と意思の力が合わさって、この3重のバリアが解かれます。   まず、直腸壁への圧が高まると、不随意筋(意識して動かせない筋肉)である内肛門括約筋がゆるみ、随意筋(意識して動かせる)である外肛門括約筋の力だけで、つまり大脳の意思による「我慢」だけで肛門を閉じるような状態に切り替わります。便意があるうちにトイレに到着し、2つ目の肛門バリアである外肛門括約筋を意思の力で緩める時、皆さんは同時に「いきむ」動作をします。ふつうは息を止め、腹圧を高め、直腸にある便を肛門から押し出します。これが排便です。   この時、前かがみの姿勢をとっていることが大切です。理想的な姿勢は、ロダンの「考える人」(写真)のような恰好です。この姿勢だと、肛門の3つ目のバリアである直腸肛門角が一直線に近づき、スムーズな排便が行われます。排便姿勢を改善させることで、便の量が有意に増加したという報告もありますので注4次に便意がやってきたら、いきむ時に意識的に「考える人」を真似てみてください。       このような一連の動作で排便を行い、直腸が空っぽになると直腸壁にかかる内圧が下がり、スッキリ感を得ることができます。しかし、せっかく体から便意としてシグナルが送られているにも関わらず排便を行わないでいると、やがてスッキリしないままに便意は収まり、排便反射も抑制されてしまいます。俗にいう便が「ひっこんでしまった」状態です。こうなるといきんでも便は出ず、再度便意が起こるのを待たなくてはなりません。とにもかくにも、便意がある間にトイレに行くことが大切です。そうすることで、無意識による①直腸での便の下降と ②肛門の不随意的な開きに加え、意思による ③肛門の随意的な開き、④いきみの腹圧、⑤適切な姿勢、の全てを合わせて、スムーズに便を出せるのです。    

    ■便秘と便意

      このように便意は、排便の時が来たことを教えてくれる体からのシグナルです。しかし、便秘で悩む人たちは、次の2つのような悩みを抱えていることが多いです。 ・なかなか便意がこない ・便意が来ても、スッキリと排便できない ここでは、このそれぞれの悩みについて、理由と対策を探っていきます注5。  

    (1)なかなか便意がこない場合

      便秘で悩む人には、なかなか便意がこない人が多いようです。慢性便秘症の条件を満たす人のうち、約6割の人が便意が普通より少ないと自覚しているという学術調査もあります注6。そうした、なかなか便意がこない便秘には、2つのタイプがあると考えられています。  

    ・排便回数減少型の便秘

      なかなか便意がこない場合で、排便の回数も少ない場合は、排便回数減少型の便秘かもしれません。このタイプの便秘の人は、文字通り排便の回数が減っていて、原因別に蠕動運動が弱かったりしておこる大腸通過遅延型(弛緩性便秘ともいいます)の便秘と、便のカサが足りない大腸通過正常型の便秘に分かれます。   関連リンク:ブログ記事「便秘の種類と原因」   蠕動運動が弱まっている大腸通過遅延型の場合は、朝起きて一杯の水を飲む、朝食をしっかり摂る、規則正しい生活をおくる、運動をする、ストレスをためない、といった生活上の工夫が、腸を動かす助けになります。そして、毎日の排便リズムが整うように、便意を感じたらすぐにトイレに行くようにしましょう。こうした工夫だけでは便秘が改善しない時には、市販の便秘薬を活用するのも有効です。   便のカサが足りない大腸通過正常型の便秘の人は、食事の量や、食事の中に含まれる食物繊維が足りていないのかもしれません。ダイエット中にこうした便秘が起きることもあります。食物繊維は、体重を増やさずに便のカサを増す働きがありますので、このタイプの便秘の方は、食事にあと一品食物繊維豊富な副菜を足すなどの工夫をしてみてはいかがでしょうか。   関連リンク:ブログ記事「ダイエットと便秘」/「腸内環境と便秘 ② 発酵食品やオリゴ糖、食物繊維、整腸薬の活用」  

    ・便意が感じにくくなっている

      また、蠕動運動や食事の内容に問題がないのに、便意を感じる直腸のセンサーが鈍くなって便秘になっていることも考えられます。忙しかったりして便意を我慢することを繰り返すうちに、直腸の知覚が低下しているのかもしれません。自覚がある方は、今後はトイレを我慢しないようにしましょう。今溜まってしまっている便を出すためには、市販の便秘薬や、浣腸を活用することもよいかもしれません。このタイプの便秘は、トイレを我慢しがちな学童にもよく見られます。   関連リンク:ブログ記事「子供の便秘について」   高齢者などでは、加齢で直腸の知覚が低下してくるとで、便が漏れるようになることもあります。このタイプの便秘は、排便困難型と呼ばれるカテゴリーに分類されます。直腸性便秘と呼ばれることもあります。  

    (2)便意があっても、スッキリと排便できない場合

      便意があってもスッキリ排便ができないのも、つらいものです。出そうで出ない、こうした場合は、排便困難型の便秘が疑われます。便が硬すぎるか、排便機能自体に問題があるのかもしれません。   便が硬すぎるのは、(1)の中で取り上げた排便回数減少型の便秘と同じで、便が長く大腸内に留まりすぎていることが原因です。朝起きて一杯の水を飲む、朝食をしっかり摂る、規則正しい生活をおくる、運動をする、ストレスをためない、といった生活上の工夫が、腸が動くのを助けになります。市販の便秘薬を活用するのも有効です。また、水分摂取量が足りていない人は、水を積極的に飲むようにしましょう。あと、腹筋が弱っているなどの理由で、いきみの時の腹圧が弱くなっているとスッキリしません。腹筋を鍛えることも、便秘対策の1つです。   色々ためしても便意が感じられるようにならない・便が硬くないのに排便できない場合は、機能性排便障害の可能性があります。 排便に必要な、直腸や肛門の機能自体が損なわれている状態です。この場合には、専門的診療が必要ですので、お医者様に相談するようにしてください。   また、ストレスによって便秘や下痢をくりかえす過敏性腸症候群(IBS)や、直腸瘤などの器質性疾患(組織のかたちが変わってしまうような疾患)に伴う便秘については、本稿で触れられていません。これらについても気になる方はお医者様に相談してください。   ◇◇◇   便秘対策に市販の便秘薬の力を借りる場合は、服用量を上手に調節してバナナ便がでるようにすると、腸に負担が少なくなります。強すぎる薬を漫然と使い続けないようにしましょう。   関連リンク:複方毒掃丸ブランドサイトおすすめの服用方法複方毒掃丸サンプルお申込受付フォーム  複方毒掃丸は、6種類の生薬が自然に近いお通じを促す便秘薬です。小さな丸剤なのでのむ量を調節しやすく、ちょうどよいお通じを目指せます複方毒掃丸    

    ■腸脳相関と便意?~本とコーヒー~

      近年、腸脳相関(ちょうのうそうかん)という言葉が使われることが多くなりました。これは、脳と腸管に存在する神経系と腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)が、自律神経系、内分泌系、免疫系を通じて互いに影響を及ぼし合っていることを言いあらわす言葉です。   便意に関しても、大脳からの信号が影響を与えているのではないかと考えたくなる不思議な現象がいくつかあります。胃結腸反射のような機械的な反射以外にも、腸の運動を促進するか、排便中枢に作用するかして便意を促す「もの」がいろいろあるようです。やや通俗的な話題ではありますが、この項では、そうしたものを2つご紹介します。   日本で良く言われる便意を促す「もの」とは、本の匂いです。古本屋や図書館の匂いで便意を催す人が一定数いるようです。これは本邦において長らく言われていることで、マスメディアやネット上においては「青木まりこ現象」という名前までついています。ちなみにこの言葉は、1985年に雑誌『本の雑誌』(本の雑誌社)で命名されてひろまったもので、青木まりこさんとは、書店で便意を催すことに同誌上で初めて言及した人物のお名前です。この現象は広く共感を集めているようで、定期的に話題に上がりますが、その機序は解明されていません。本の匂いが、気持ちの高ぶりや緊張感、そわそわした気分、ある種の条件反射といったものを引き起こし、これが便意につながっていると考えられますが、もしそうだとしたら、大脳から腸への作用といえそうです。 本の虫のイラスト(男性・触角なし) 欧米においては、本ではなく、コーヒーで便意が引き起こされる人が多いようです。こちらは日本での本の匂い以上にポピュラーなようで、ある程度まで学術研究もおこなわれています。1990年に英国で発表された論文によると、92人の人に事前調査をしたところ、約3割の人が「自分はコーヒーで便意を促される」と答えました。そして事前調査対象者のうち何人かに計測器を直腸から大腸まで挿入して実際にコーヒーを飲んでもらったところ、「便意を促させる」と答えた人たちの腸は飲んだ数分後から動き出し、「便意を促されない」と事前に答えた人たちの腸は動かなかったのです。普通のコーヒーでも、カフェイン抜きのコーヒーでも似た傾向を示しました注7。また、別の研究によれば、1杯のコーヒーが腸を動かす作用は、1000キロカロリーの食事をとったときの胃結腸反射に相当するといいます注8。なぜそんな作用が欧米の人々に(筆者の周りでは聞いたことがありません)起こるのか不思議ですね。機序はわかっていませんが、専門家は恐らく腸脳相関によるものだろうと考えているようです注9コーヒーのイラスト「コーヒーメーカーとコーヒーカップ」   他にも、文化が違えば別の「もの」が便意をさそうのかもしれません。もし大脳の力で便意を呼べるのなら、修行を重ねることによって、実物がなくても、本の匂いやコーヒーの香りを想像するだけで腸を動かすことができるようになるかも…?と思ってしまいますね。    

    ■便意と排便に関するヒント

      最後に、まとめに代えて本稿に登場した便意と排便に関するヒントを箇条書きにしておきます。皆様が毎日スッキリできることを祈っております! 1.朝食をしっかり食べる。 2.便意がきたらトイレを我慢しない。 3.排便時は、直腸と肛門が一直線に近くなるよう、考える人のポーズが良い。 4.ダイエットなどによる食物繊維不足に気をつける。 5.朝起きて一杯の水を飲む。水分が足りない人は水を積極的に飲む。 6.「いきみ」には腹筋力も大切。 番外:人によっては、特定の状況で、大脳からの刺激による便意を感じることが、あるかもしれない。 (最終更新日:2022年2月28日)   注1:  F Narducci et.al., Twenty four hour manometric recording of colonic motor activity in healthy man, Gut1987 Jan ; 28(1) : p17-25. 注2:  Jordan C. Malone, Physiology, Gastrocolic Reflex,  StatPearls [Internet], Last Update: May 9, 2021.(2022年2月22日アクセス)注3:  G Bassotti et. al., Colonic motor response to eating: a manometric investigation in proximal and distal portions of the viscus in man, Am J Gastroenterol. 1989 Feb ; 84(2) : p118-22. 注4, 槌野 正裕 ほか,  排便姿勢と直腸肛門角,排出量の関係  排便造影検査(Defecography)による研究, 理学療法学 2011 ;  Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会抄録集)注5: 本項の参考文献:日本消化器病学会関連研究会ほか編『慢性便秘診療ガイドライン 2017』南江堂 2017年 注6:  H Ohkubo et al., Difference in Defecation Desire Between Patients With and Without Chronic Constipation: A Large-Scale Internet Survey, Clin Transl Gastroenterol. 2020 Sep ; 11(9 ): e00230.  注7:  S R Brown et. al.,  Effect of coffee on distal colon func. Gut. 1990 Apr ; 31(4) : p450-3. 注8:   S S Rao et. al., Is coffee a colonic stimulant?  Eur J Gastroenterol Hepatol. 1998 Feb ; 10(2) : p113-8.   注9:  Oregon Health and Science University 教授のDr. Robert MartindaleのThe New York Timesの取材に対するコメント。Alice Callahan, Why Does Coffee Make Me Poop? The New York Times,   写真:便意は、目に見えない体内から届くありがたいシグナルです。同じようにありがたく感じた、夜桜の合間に見える月の光の写真をタイトルに用いてみました。   とこと 最後までお読みいただきありがとうございます。記事がお役に立ちましたら、SNSでもご共有いただけますと幸いです! 毒掃丸毒掃丸整腸薬のお買い求めは全国のドラッグストア・通販サイトで。見つからない場合は「毒掃丸をください」と申し出てください。こちら(SHOPどくそうがん)でも販売しております→ショップどくそうがん | 便秘薬の毒掃丸 山崎帝國堂のネットショップ (dokusougan.jp)

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  • 便秘と運動

    2021.08.01
    運動は便秘解消に効果的で、また運動不足は便秘の原因になる~~皆さまも一度は聞いたことがあるはずです。でも、そうとは知っていながらも、実は十分な運動ができていない…そんな方も多いのではないでしょうか。運動は、便秘のセルフケアの大事な要素で、ご自身の生活スタイルにあう形でしっかり習慣化していくことが大切です。今回は、運動と便秘の関係について、エビデンスに基づいて整理し、どんな運動をどのくらいするのが良いのか、見てみたいと思います。

    ■運動と便秘の関係

      運動の減少が便秘の悪化につながることと、運動の実行が便秘解消に有効であることを示すデータは、多く存在しています。例えば、食べ物が大腸を通過する時間(大腸通過時間)は、運動をしたほうが短くなること、よく歩くことでカプセル内視鏡の排出率が向上すること、また運動量が減った人に便秘の症状が増えてること、などといった報告があります注1。便秘に悩んでいる人は、積極的に運動をするべきでしょう。運動は、立派な腸活なのです!   運動が便秘を改善する理由としては、(1)運動による刺激が腸管運動を促進し、大腸の内容物が直腸にむけて移動しやすくなることや、(2)運動によりリラックスでき、自律神経のバランスが改善し、それが日々の腸管運動のリズムを整えてくれること、の2つが考えられています注2。加えて、排便のために「いきむ」時に、腹筋で腹圧を高める必要があるため、腹筋を鍛えることも便秘を改善させると、広く一般的に考えられています。  

    ■どんな運動を、どれだけすればよいの?

      このように、運動が便秘の改善に効果があることはかなり確実だと言える一方で、どんな運動で実際に効果がでるのかは研究が豊富とはいえません。まず、網羅的に様々な運動が便秘をどの程度解消するかを比較した研究はありません。ただし、ジョギングなど有酸素運動が便秘を改善するという研究結果がいくつかあり、気功やウォーキングなどの有酸素運動が便秘を改善したことを示す海外のメタ解析が存在しています注2。コロナ禍という時節柄、運動を室内で行う方も多いと思いますが、その場合は、スペースが限られる中で効率よく運動をしたいものです。先に挙げたように、便秘対策として行う運動は、動作の際の刺激で腸管を動かすことも期待していますから、体幹をひねったり腹部に圧がかかるような動作がお勧めです。そして運動後でも構わないので、腹式呼吸も組み込むことができたら、より自律神経の働きも整うでしょう。中長期的な便秘対策としては、腹筋を鍛えることも意識してみましょう。   便秘改善のための運動 表は本記事の内容より当社作成   また、どれほどの運動を勧めるかについては、明確なエビデンスがなく、従って医学的な目安はありません注1。ただ、ある程度継続的な運動が必要そうであることは、データから推察することができそうです。慢性便秘症の女性患者を対象とした、便秘のリスク因子に関するアメリカの研究注3では、日常の運動の頻度が便秘にどの程度影響するかを統計的に分析しています。論文のデータ(下の表)によると、週に一度も運動しない人が便秘である割合を1とすると、週2~3回運動をする人では0.68、毎日では0.56と、運動の頻度が上がるに従って便秘を訴える人が減っていく傾向が見て取れます。 運動頻度と便秘 *multivariate   表は Laurent Dukas, et al: Association between physical activity, fiber intake, and other lifestyle variables and constipation in a study of woman. Am J Gastroenterol 98:1790-1796,  2003より作成   1度に行う運動量については、便秘に特化したエビデンスはまだないようです。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動基準2013」というガイドラインでは、健康全般のために30分以上の運動を週2回以上行うことを推奨しており、一つの目安になりそうです注4   便秘解消にむけたご提案: ジョギングやウォーキングのような室外の有酸素運動、あるいは気功・ヨガ・室内体操などを、1回30分以上を週2回以上、行うことを心がけてみてはいかがでしょうか。   なかなかハードルが高いように見えますが、最初からこの水準を目指す必要はありません。まずはできることから始めることが大切です。また、腸活や、腸活を含む便秘のセルフケアのメニューは、運動だけではありません。本ブログの腸活のタグと、便秘解消のタグにある各記事もぜひ参照していただき、ご自身に合った便秘対策を行ってみてください。また、毒掃丸整腸薬で腸活をサポートしてあげることや、便秘の症状が気になるようになったら、便秘薬・毒掃丸の助けを借りることも併せてご検討ください!   (最終更新日:2022年3月22日)   注1:日本消化器病学会関連研究会,慢性便秘の診断・治療研究会:慢性便秘症診療ガイドライン 2017.南江堂,2017 p.60 注2  高野 正太: V.慢性便秘症に対する食事療法、運動療法,、理学療法,  日本大腸肛門病会誌 第72巻10号  621-627,2019 注3:Laurent Dukas, et al: Association between physical activity, fiber intake, and other lifestyle variables and constipation in a study of woman. Am J Gastroenterol 98:1790-1796,  2003 注4:前掲の「慢性便秘症診療ガイドライン 2017」でも「健康づくりのための身体活動基準2013」の活用を推奨している。   ひとこと 最後までお読みいただきありがとうございます。記事がお役に立ちましたら、SNSでもご共有いただけますと幸いです! 毒掃丸毒掃丸整腸薬のお買い求めは全国のドラッグストア・通販サイトで。見つからない場合は「毒掃丸をください」と申し出てください。こちら(SHOPどくそうがん)でも販売しております→ショップどくそうがん | 便秘薬の毒掃丸 山崎帝國堂のネットショップ (dokusougan.jp)

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  • 3回にわたってお届けしている「腸活」についての話題ですが、初回は腸活全般について、2回目は腸に良い食生活について書かせていただきました。そして3回目にあたる今回は、食べる以外の腸活について、ご紹介してまいります。   「腸活」とは一般に、腸内環境を整えたり腸の働きをよくすることで、便秘を改善したり、より健康な全身状態を目指したりすることを指します。この腸活の中には、リラックス、運動、マッサージ、ツボの刺激…など食べる以外にも、色々な方法があります。その多くは、健康法としての歴史も古く、実践している人も多くらっしゃるのではないでしょうか。こうした活動は、どれも「意思の力では動かすことができない腸に、動いてもらう」ものであるという共通点があります。  

    ■腸への語りかけ

      食べる以外の腸活とは、一言でいうと大腸への語りかけだと思っています(もちろん比喩ですが)。   私たちの腸はいわば筋肉の長~い管みたいなものです。腸の筋肉は、輪状に収縮し、その収縮する場所が食べ物を押し出すように口側から肛門側へと移っていく蠕動(ぜんどう)と呼ばれる運動をして、消化物を運んでいきます。でも、他の多くの内臓同様に、意識して腸を器用に動かし食べ物を運んでいくことはできません。誰もが、便意がおこるまでの長い時間、天から自らに与えられた腸の働きを信じて、任せきりにするしかないのです。   筋肉の管でもある腸は、1.脳とつながっている自律神経と、2.内容物に対して腸に反射的な運動を起こさせる腸壁内の大量の神経、の2種類が、互いに協調することで制御されています(これらの神経系統を、腸管神経系といいます)。私たちが、動いてくれない自らの腸を何とか動かそうとするときには、これらの神経系に信号を与えてあげることが必要です。しかし、何しろ手足のように意識して「動け」と念じても、信号を与えることができません。さてどうするか… 以下に、あの手この手で大腸各所の神経に「おーい、動け、動いてくれ」と呼びかる方法をご紹介します。どれも広く知られていますが、これらは腸への語りかけみたいなものですから、腸との非言語コミュニケーションだと思って自らの腸を慈しむ気持ちで行っていただけたらと思います!   では、代表的なアクティビティを4種類取り上げてみましょう。

    1.リラックスして自律神経を整える

      リラックスして自律神経を整えることで、腸の動きは良くなります。私たちの日々の生命維持を支えてくれている自律神経には、活発に活動しているときに高まる交感神経と、リラックスしているときに高まる副交感神経の二種類があって、両方の神経の活動量のバランスによって、内臓の動き具合を調節しています。腸の活動は、リラックスしているときに高まる副交感神経の働きが優位になっているときに、より活発に動くのです。   お勧めなのが腹式呼吸や深呼吸です。吸う時の2倍程度の時間を掛けて息を吐くことで、副交感神経の働きが高まることが多くの実証実験で分かっています(例えばこちら)。まずは5分でも続けて行い、実際にリラックスが得られることを実感してみましょう。リラックスが実感できたら、隙間時間や緊張状態のときにやってみたり、リラックスタイムの質を更に上げるためにどんどん活用してみてください。自律神経の働きが整ってくると、腸の動きも正常化してくるはずです。   *ストレスで頻繁に便秘や下痢をくりかえす人は、過敏性腸症候群(IBS)かもしれません。リンク先のチェックリストで痙攣性便秘に該当した方は、お医者様に専門的指導を受けることも検討してください。

    2.運動をする

      運動の減少が便秘の悪化につながることと、運動(特に有酸素運動)の実行が便秘解消に有効であることを示すデータは、多く存在しています。体を動かすことで、腸の働きは良くなります。動きが良くなる主な理由としては、運動することで自律神経が整うことと、運動自体で腸管が刺激されることです。   参考文献:高野 正太「V.慢性便秘症に対する食事療法、運動療法,、理学療法.」 日本大腸肛門病会誌 第72巻10号0621頁    また、長期間の運動習慣によってお腹周りの筋肉を鍛えられることも、便秘対策として有効です。私たちは、排便時には意識的に腹圧を高め、その力を利用して便を押し出してしているからです。   運動種目には、ウォーキングが推奨されることも多いですし、ジョギング、ヨガもお薦めです。   当社のお客様相談では、便秘に悩むお客様には体を動かすことを推奨しており、寝たきりやケガなどで運動ができない方には深呼吸だけでも意識的に行うよう伝えています。

    3.マッサージをする

      お腹をマッサージすることも、便秘改善に効果があるとされています(試験報告もあります)。特に「の」の字を描くように大乗をマッサージする方法は広く紹介されていますし、最近は「腸もみ」というコトバもよく見るようになりました。   先にも書いた通り、腸壁の神経は、内容物に対して反射的に運動をおこし、食べ物を運んでいきます。従って、腸をマッサージすることによって蠕動運動をおこすサポートをしたり、もむことの気持ちよさからリラックスできる(→自律神経が整う)ことが期待できそうです。痛みを感じない程度にもむようにしてください。体をねじる動きも、同様におすすめです。     但し、大腸の配置は一般に、皆が皆教科書通りなわけではなく、蛇行していたり、下部によっていたり個性があります。イラスト(「いらすとや」さんより)の通りとは限りません。「の」の字マッサージが効かないこともあるかもしれません。

    4.ツボ押しをする

      東洋医学伝統のツボ(経穴)は、神経経路の反応を通じて、痛みを緩和したり、内臓の働きを正常化させたりしてくれると考えられています。腸から離れている経穴を押して、腸の動きを改善してくれるのだとしたら、生理学的には自律神経の働きを通じてということになるでしょう。公益社団法人日本鍼灸師会のHPでも、
      身体には皮膚や筋肉などに刺激が加えられると自律神経の活動が変化し、自律神経が支配する臓器・器官の働きが反射的に調節される仕組みも備わっています。鍼や灸の刺激はその仕組みを利用して自律神経活動を変化させ、血管の調節をしたり臓器の働きを良くしたりします。 出展: 鍼灸の基礎知識 – 公益社団法人 日本鍼灸師会https://www.harikyu.or.jp/acupuncture/acupuncture-02/#i-8 2021年5月13日アクセス
      とあります。   便秘によいツボの代表的なものとして、2つ挙げておきます。(便秘に効くツボというのは便秘対策本などの定番ではありますが、個別にツボ押しが便秘に効くというエビデンスは見つけられませんでした。)   (1)合谷(ごうこく):万能のツボとも称されている非常にポピュラーなツボです。頭痛や肩こりによいとされていますが、便秘にも良いとされていることから、多くの便秘薬メーカーのおススメのツボになっています。人差し指と親指の合わさるところから少し指先よりの痛みを感じるくぼみを親指で挟むようにして押します。   (2)天枢(てんすう):胃腸の働きを整えてくれる代表的なツボです。おへそから指2~3本分はなれた両側です。やさしく押すだけでも腸が刺激されるのが実感できます。   いかがだったでしょうか?皆さまが考える腸活のイメージからは少し外れているものもあったかもしれませんが、どれも簡単にできるものばかりです。便秘改善への効果がある程度期待できるうえに、賢く楽しむ分には費用もあまりかからず、比較的安心して取り組めます。ぜひぜひ、様々な腸活にはげんでいただきたいと思います!   ◇   ◇   ◇   ◇   過去2回の腸活の記事の内容は下記のとおりです。   第1回 目次 腸活について① ■腸活とは、なにか? 腸活の目的 腸活のアプローチ (A)善玉菌のチカラを借りるための「食べる腸活」 (B)それ以外の方法で腸の動きを正常にする、「食べる以外の腸活」 腸活の具体的な方法 (A)「食べる腸活」(=腸によい食生活) (B)「食べる以外の腸活」   第2回 目次 「「腸活」について② 腸に良い食生活 実践レシピ付き 1.朝食を食べる 2.ヨーグルトなどの乳酸菌を摂る 3.食物繊維を摂る 4.発酵食品を摂る 5.オリゴ糖を摂る 実践!腸活レシピ     写真:腸活を実践していると、美しい景色に出会えることもあります。爽やかな風が吹く日に、ゆっくり東京都の多摩川沿いをジョギングしていた時の写真です。   ひとこと 最後までお読みいただきありがとうございます。記事がお役に立ちましたら、SNSでもご共有いただけますと幸いです! 毒掃丸のお買い求めは全国のドラッグストア・通販サイトで。見つからない場合は「毒掃丸をください」と申し出てください。こちら(SHOPどくそうがん)でも販売しております→ショップどくそうがん | 便秘薬の毒掃丸 山崎帝國堂のネットショップ (dokusougan.jp)

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