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  • 便秘の原因

    2023.03.12
    便秘は誰にとっても憂鬱なもの。便秘とは、本来自然に排出できる便を、十分かつ快適に出せない状態のことをいいます。今この瞬間にも、女性や高齢者を中心に、とても多くの人が便秘に悩んでいます。排便回数が少ないことは精神的に負担で、便秘は私たちの生活の質を大きく下げてしまいます。 私たちは何故、便秘になってしまうのでしょうか。実は、便秘の原因は様々で、人によって原因は異なりますし、同じ人でもその時その時によって原因が違うこともあり得ます。今回の記事では、そうした、便秘を引き起こす様々な原因を、生活習慣と体の機能の両面から、解説していきたいと思います。  

    ■生活習慣と関係した原因

      まずは、イメージがわきやすい日常の生活習慣から、便秘の原因を紐解いていきたいと思います。いずれも比較的簡単に対策が取れる「原因」ばかりです。もしあなたが便秘で、ここに挙げる項目に思いあたるものがあったとしたら、まずは各項目のお勧めの改善策をしっかりと実践してみましょう。  

    (1)食物繊維の不足

      食物繊維とは、ヒトの消化酵素で分解されず、大腸まで届く食品成分のことです。野菜やキノコ、海藻、いも類、穀物など様々な食材に含まれています。食物繊維は、便のカサをふやしてくれて、快便のときの「ドッサリ」感のもととなります。これが不足すると、便秘になることがあります。   大腸の動きや、便の排出機能などに問題がなければ、食物繊維を多く摂ることで便秘が改善します。アメリカでの研究によると、便秘症の人147人に植物性の食物繊維(インドオオバコの種子15〜30g/日:不溶性食物繊維を多く含む)を投与したところ、約4割の65人が治癒または改善しました注1。ダイエットなどで食事を少なくすると便秘になる場合がありますが、そういう時にも食物繊維(多くの食物繊維はカロリー0です)を積極的に食べるようにしましょう。   そもそも、現代の日本人は、食生活の欧米化もあって、食物繊維の摂取量が不足しています。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」(2020年版)では、女性18 g以上、男性21 g以上(ともに18~64歳の場合)を食物繊維の1日の摂取目標量として定めていますが、実際の摂取量は、だいたい15g程度で、2割前後不足しています。せめて毎日あと1品、食物繊維が豊富な食材を摂るようにしたいものです。食物繊維の便秘以外の健康への効果や、詳しい対策は、下記リンク先にあります。   関連リンク:「便秘によい食べ物」/「野菜と便秘の話お勧めの改善策:野菜や食物繊維を多く摂る  

    (2)水分の不足

      人の体の約60%は水でできていますが、便はそれ以上に水を含んでおり、重量のうち60~70%が水分です。便秘の時の便が普段より硬いのは、大腸に長くとどまりすぎることで便の水分が失われているからです。ですから、体の水分不足は、便を固くします。便秘の時のカチコチの便のできあがりです。   人間が1日に必要とする水分は、普通の生活をしている場合、およそ2.5リットルとされています。そのうち1.3リットル程度は食べ物に含まれている水分で、その他に飲み物として1.2リットルの水を飲む必要があります注2。体内の水分が不足した場合、尿が減るばかりでなく、便が硬くなって出にくくなってしまいます。飲料摂取が500cc以下だと便秘になりやすいことと、便秘の人が脱水傾向にある場合には水分を多くとると便通が改善することが分かっています注3。便秘がちの人は、水分を多めにとるようにしましょう。効果的な飲み方や、水以外の飲み物については、下記リンク先をご覧ください。   関連リンク:「便秘によい飲み物お勧めの改善策:1日1.2ℓは水分を飲む・朝起きたらコップ一杯の水  

    (3)運動不足・筋力不足

      運動不足が直接便秘を引き起こすわけではありませんが、運動量(特に有酸素運動や歩行距離)と便秘には関連があることが分かっています注3。運動によるひねりが大腸にちょうどよい刺激になっていたり、あるいは、運動することにより自立神経のバランスが改善されることで便秘が改善されるようです。日々の運動で、特に推奨したいのが、ウォーキングやジョギング、ヨガなどの有酸素運動です。しっかり歩いて便秘を予防しましょう。   また、腹筋などの筋肉量不足も原因になります。私たちは、トイレで排便時に「いきむ」際には、横隔膜と腹筋を意識的に収縮させ、同時に肛門周辺の筋肉を緩めています。そのため、腹筋力が弱いと、排便がうまくいかなくなってしまいます。   詳しくは、下記リンクも参照してください。 関連リンク:「便秘と運動」/「便秘と便意お勧めの改善策:1日30分以上、週2回以上の有酸素運動・腹筋力の維持    

    (4)ストレス

      ストレスを抱え込むような生活をしていると、排便のリズムは乱れ、便秘を引き起こします。ストレスに直面すると、人体は脅威に対処するために、様々な反応が起きるようにできています。その中の一つが、自律神経の反応です。自律神経とは、血圧や呼吸や発汗、大腸の場合は内容物を運ぶ動きである「蠕動運動」など、生命維持の様々なプロセスを調節するために体中に張り巡らされた神経で、意識の支配は及ばず、自動的(自律的)に機能します。   ストレス源に直面すると、自律神経のバランスが崩れてしまい、結果として、大腸の蠕動運動が抑制されてしまいます。すると、内容物は肛門側にむけて運ばれにくくなり、大腸の中に滞留し、便秘になってしまいます。   また、ストレスによって自律神経のバランスが崩れ、睡眠の質が下がることがあります。実は、睡眠不足も便秘を悪化させます注4。本来ヒトの体は、睡眠中に徐々に腸を動かして内容物を運んでおき、朝食後に起こる「大蠕動」という大きな大腸の動きで一気に肛門近くまで便を押しやることで、朝の排便を行うようなリズムになっています。睡眠不足は、このリズムを狂わせてしまう恐れがあります。   このほか、長期間ストレスにさらされることで、心身症の一つである過敏性腸症候群(IBS)になる場合があります。これは、自律神経の失調などで起こるとされ、発症すると腸が刺激に対して過敏な状態が続きます。そして、ちょっとした緊張やストレスで、便秘や下痢を繰り返すようになります。過敏性腸症候群には、主な症状が便秘のものと下痢のものがあるため、便秘型・下痢型・混合型(便秘と下痢のどちらにもなる)・分類不能型に分類されています。少しのストレスで便秘になってしまう方は、この過敏性腸症候群の便秘型(痙攣性便秘ともいいます)なのかもしれません。   下記リンク先にも詳しく書いてあります。 関連リンク:「便秘とストレスの関係お勧めの対策:腹式呼吸でリラックス・有酸素運動・睡眠時間の確保    

    (5)便意を逃している

      普段から便意を我慢していると、直腸(肛門のすぐ上の部分)にある便意を感じるセンサーが鈍くなり、便秘しやすくなります。学校での排便を忌避しがちな学童や、自分のペースでトイレに行けない仕事をしている人は、便意を逃すことによる便秘になりやすいです。また、例えば朝食後には、大腸が力強く動く「大蠕動」が起こりますが、この時に感じる便意を逃してしまうのはとてももったいないことです。便意を感じたら、なるべくすぐにトイレに行くようにしましょう。   便意を感じるメカニズムを含め、詳しくは下記をご覧ください。 関連リンク:「便秘と便意お勧めの対策:便意を我慢しない・しっかり朝食を食べる  

    (6)腸内環境が悪化している

      人間の大腸の中には沢山の細菌が棲んでいて、その数はおよそ100兆個・1000種類注5、全部あわせると、その重さは1~1.5kgあるといわれています。これらの菌の分類は大変複雑で、専門家以外には理解が難しいでしょう。そこで、腸の中には、体に良い働きをする善玉菌、悪い影響をもたらす悪玉菌、どちらにも属さない日和見菌の3つのタイプがいると考えるのが分かりやすいです。   一般に、善玉菌は、主に食物繊維や炭水化物を分解して大腸のエネルギーになる短鎖脂肪酸(酪酸、酢酸など)を作ることで、大腸の働きを助け、我々の健康全体を維持する働きをします。短鎖脂肪酸は、腸の蠕動運動のエネルギー源なので、善玉菌が少ないと、腸の動きが悪くなって便秘になることが考えられます。   ただ、便秘の人の腸内環境が健常者と比べて実際にどう違っているかは、研究によって結果が様々で注6、実はよくわかっていません。なので、善玉菌の減少が実際に便秘を実際に引き起こしているという分かり易い証拠を示すことは残念ながらできません。それでも、各種のヨーグルト、オリゴ糖や食物繊維などの善玉菌のエサになるような食べ物を多く食べると便通が良くなることは、多くの研究から明らかです。便秘の解消・改善や、予防のために、善玉菌を増やすようにしましょう。   腸内細菌については、次のリンクもご覧ください。 関連リンク:「腸内細菌と、健康・便秘お勧めの対策:ヨーグルトや食物繊維等、善玉菌を増やす食品を食べる    

    ■体の機能と関係した原因

        生活習慣を改善してもなお、便秘しやすい方が多くいらっしゃいます。また、生活が乱れると、すぐに便秘になる方がいらっしゃいます。それは、便秘が生活習慣だけではなく体の機能(はたらきの良しあし)に起因している場合もあるからです。ここでは、大腸や肛門の機能に関連した便秘の原因を、ごく簡単にご紹介します。生活改善をしてもひどい便秘に苦しまれている場合は、原因は体の機能面にあるかもしれません。市販薬を上手に服用したり、お医者様の診断・投薬を受けることも検討しましょう。  

    (1)大腸の動きが悪くなっている

      前述したように、大腸の動きが悪くなれば、内容物の通過に長い時間が必要になり、その間に大腸による水分の吸収が進むことから、便はカチコチになってしまいます。大腸の動きを悪くさせる要因として、まず挙げられるのは、女性ホルモンの影響と、加齢の影響です。  

    ①女性ホルモンの影響

      女性が初潮を迎えると、卵巣から分泌される二つの女性ホルモン、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)が、便秘にも関係してきます。エストロゲンには、排便をよくする働きがあるのですが、プロゲステロンは、流産しないように子宮を守るため、腸の動きを鈍らせるよう作用します。このためプロゲステロンの分泌の増える排卵日から生理前にかけて、便秘になりやすくなるのです。   女性におすすめの便秘対策は、次のリンク先にあります! 関連リンク:「女性の便秘・男性の便秘 ~年代による、その変化と対策~」/「便秘とマッサージ」/「便秘薬をのむ時に大切なことお勧めの対策:お腹のマッサージをする、市販の便秘薬を上手に使う  

    ②加齢の影響

      高齢者は、大腸の動きが悪くなっており、内容物が通過するのに時間がかかり、そのため便秘になりやすいです。デンマークからの報告によると、高齢者16人(平均81歳)と若者16人(平均24歳)の大腸通過時間を調べたところ、高齢者は平均66時間、若者は平均39時間で、1.7倍の差があったといいます注6。大腸には、水分を吸収する働きがあるので、通過時間が長くなると、便がカチコチに硬くなり、便秘になってしまうのです。齢で腸の動きが悪くなる理由としては、腸管の運動に関係する神経細胞の数やバランスが変化していることが原因と考えられています注7。ヒトの体には、加齢とともに様々な変化が現れますが、それは大腸も例外ではないのです。   高齢者の便秘や、その対策については、次のリンク先をご覧ください。 関連リンク:「高齢者の便秘お勧めの対策:よく歩き、有酸素運動を心がける  

    (2)直腸や肛門周辺の働きが悪くなっている

      大腸を通って運ばれてきた便は、最後に直腸と呼ばれる肛門の真上のあたりに到着します。便がやってきて直腸の内側の壁に圧力がかかる(内圧が上る)と、直腸にあるセンサーから脳に信号が伝わり、便意を感じます。便意を感じると、私たちはトイレを探し、腹筋力などを使って排便を行います。もし大腸の機能が正常でも、直腸や肛門周辺の機能に異常があると、この一連の動作ができず、便秘になってしまいます。   このような、直腸や肛門周辺の働きが悪くなって引き起こされる便秘は、便秘薬の効果があまりみられないため、治療も大変です。ちゃんとお医者様に診てもらうようにしましょう。   高齢になると、特に直腸の機能に問題が生じやすくなります。まず、加齢により、直腸の内圧の上昇を脳に伝える神経の感度が下がりやすくなります。そのため、便が肛門近くまで運ばれてきても、すぐにトイレに行きたいという気持ちにならなくなってしまいます。海外からの報告では、便意を感じ始める内圧、便意が切迫してくる内圧、痛みを感じ始める内圧のいずれも、高齢者は若者よりも高かく、つまり便意を感じにくかったということです注7。   関連リンク:「高齢者の便秘お勧めの対策:便意を我慢しない・腹筋力を落とさないようにする    

    ■そのほかの原因

        生活習慣や、大腸・肛門の機能以外にも、便秘になる原因はいくつかあります。それは、腸の形などに問題がある場合、薬の副作用、他の病気による便秘、の3つです。これらについては、更に専門性が高いこともあり、別の機会に個別に触れていきたいと思います。  

    ◇ ◇ ◇

      以上、便秘の原因についてかなり網羅的に見てきました。便秘は様々な要因が重なって起こるため、どれか1つだけが原因とは限りません。一方で、複数の原因のうち1つを改善するだけで、便通がよくなる場合もあります。    

    ■まとめに変えて…どんな人が便秘になっているか。

        最後に、実際にどんな人たちが便秘になっているかを概観し、便秘の原因についてのお話を終わることにしましょう。     このグラフは、国の基幹統計の1つである「国民生活基礎調査」から作成したもので、便秘の症状がある人の人数(有訴者)を、性・年齢別に示したものです。このグラフを使って人の一生を俯瞰してみると、便秘の有訴者数が、2度大きく変化していることが分かります。最初は思春期で、便秘に悩む女性が一挙に増加します。2回目の変化は、高齢期です。男女ともに、便秘の人が激増しています。これまで見てきたように、女性や高齢者は、大腸や直腸の機能が低下しやすいです。上のグラフは、こうした機能面の変化が、人々の便秘の主要因になっていることを示唆している…そんなふうにも見えます。   そうだとすると、前半で見てきた、生活習慣に関連した諸々の原因は、あまり便秘改善の役には立たない要素なのでしょうか?いいえ、そんなはずはありません。記事の中で推奨した生活習慣の改善策の殆どは、統計的に便秘改善の効果があることが報告されています。   このデータは、生活習慣の改善「だけ」では便秘が改善しない場合があることや、生活習慣の改善で便秘が解消しても、再び生活が乱れるとすぐに便秘に戻ってしまう方が多いことを示していると思います。生活習慣の改善は当然するべきですが、それ「だけ」では便秘が改善しない場合、市販の整腸薬や便秘薬、場合によっては医師の力を借りてみることも必要なのです。   整腸薬や、便秘薬の選び方・飲み方については、次のリンクも参照してみてください。 関連リンク:「便秘解消を目指して ~便秘のセルフケア~」/「便秘薬をのむ時に大切なこと」  

    ◇ ◇ ◇

      関連リンク:複方毒掃丸ブランドサイトおすすめの服用方法複方毒掃丸サンプルお申込受付フォーム  複方毒掃丸は、6種類の生薬が自然に近いお通じを促す便秘薬です。小さな丸剤なのでのむ量を調節しやすく、ちょうどよいお通じを目指せます複方毒掃丸

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      便秘の病理的な分類に基づいた解説については、こちらもご覧ください。関連リンク:「便秘の種類と原因」   (最終更新日:2023年4月16日)   注1:Voderholzer WA et al.,  Clinical response to dietary fiber treatment of chronic constipationAm J Gastroenterol. 1997 Jan ; 92(1) : p95-8. 注2:必要な水分量については、次のサイトを参考にしました。厚生労働省 「健康のため水を飲もう」推進運動  2023年3月11日アクセス。  注3:吉良いずみ 便秘ケアとしての水分摂取のエビデンスに関する統合的文献レビュー, 日本看護技術学会誌 2013;12(2):p33-42. 注3:   日本消化器病学会関連研究会,慢性便秘の診断・治療研究会:慢性便秘症診療ガイドライン 2017.南江堂,2017 p.60 注4:例えば、Yamamoto S, et al. Internet Survey of Japanese Patients With Chronic Constipation: Focus on Correlations Between Sleep Quality, Symptom Severity, and Quality of Life. J Neurogastroenterol Motil. 2021 Oct 30 ; 27(4) : p.602-611. 注5:Ruth E Ley, et al. Ecological and Evolutionary Forces Shaping Microbial Diversity in the Human IntestineCell. 2006 Feb 24;124(4):837-48.    注6:尾﨑 隼人ほか,  Ⅲ.慢性便秘症の治療 各論(便秘症と腸内フローラ),  日本大腸肛門病会誌 2019;72:p609-614. 注6:Jan L. Madsen, Jesper Graff, Effects of ageing on gastrointestinal motor functionAge and Ageing, 2004 March ; Volume 33, Issue 2 : p.154–159 注7:日本消化器病学会関連研究会 慢性便秘の診断・治療研究会 編, 慢性便秘症診療ガイドライン2017, 南江堂, 2017, p.31.  注7:Lagier E, et al. Influence of age on rectal tone and sensitivity to distension in healthy subjects. Neurogastroenterol Motil. 1999 Apr ; 11(2) : p101-7.    ひとこと 最後までお読みいただきありがとうございます。記事がお役に立ちましたら、SNSでもご共有いただけますと幸いです! 毒掃丸毒掃丸整腸薬のお買い求めは全国のドラッグストア・通販サイトで。見つからない場合は「毒掃丸をください」と申し出てください。こちら(SHOPどくそうがん)でも販売しております→ショップどくそうがん | 便秘薬の毒掃丸 山崎帝國堂のネットショップ (dokusougan.jp)  

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  • 旅行と便秘

    2023.02.05
    旅行に行くのは楽しみだけれど、行くたびに便秘になるのが憂鬱…そんな方も多いのではないでしょうか。実は、旅行には、便秘を引き起こす要素がたくさんあるのです。そのことを知って、少しでも対策を立てることで、旅先での便秘を予防することができるかもしれません。今回は、まず旅行の便秘の原因をざっと解説し、そのあとで、旅の便秘対策について、ご説明したいと思います。    

    ■なぜ、旅行に行くと便秘になるのか

        便秘の症状が長期間(何か月も)みられるような場合を慢性便秘症と呼びますが、それに対し、突発的になってしまう便秘のことを「急性便秘」あるいは「一過性便秘」と呼びます。旅先での便秘は、典型的な「急性便秘」あるいは「一過性便秘」です。旅行に行くことで便秘になり、そして旅行が終わって普段の生活に戻ると、便秘も解消したりします。   ちなみに、旅行で便秘になりやすいのは、なにも私たち日本人に限ったことではありません。英語圏では”Travel constipation(旅行性便秘)”、あるいは” Vacation-induced constipation(休暇による便秘)”などと呼ばれています。おそらく、世界中でたくさんの人が、旅行中に便秘になっています。   旅先での便秘の原因は、複数考えられます。   一つは、旅先での緊張感やストレスです。宿泊先で便秘になる人は、慣れない場所に宿泊することで、何となく落ち着かず、体が緊張しているのかもしれません。あるいは、楽しい旅行で気分がハイになっているなど、興奮状態になっている人もいるかもしれません。こうした状況では、体内の自律神経は緊張状態になっています(自律神経のうちの、交感神経が優位な状態)。人間は、自律神経がリラックスした状態(副交感神経が優位な状態)にあると、大腸がよく動いて、腸内の内容物を肛門の方に押し出してくれるのですが、逆に緊張状態にあると、大腸の動きは抑制され、内容物が肛門まで運ばれなくなり、便秘になってしまいます。旅の緊張感やストレスは、便秘を引き起こすのです。   関連リンク:「便秘とストレスの関係」   もう一つは、旅先での生活リズムの乱れです。旅行に行くと、朝起きる時間や支度の順番などが、普段と違ってくることも多く、それが便秘の原因になります。   実は、朝起きてから、朝食後にかけては、排便においてはとても重要な時間帯です。排便の準備は、便意を感じる何時間か前、朝目が覚めた時から始まっています。大腸は、寝ている間はあまり動かず(深夜便意を催すことは、あまりないですよね)、朝起きた時に、力強く動きを再開します注1。この動きは「起立大腸反射」と呼ばれています。そして、朝食で食べ物が胃に入ると、数分以内に大腸が動き出し、続いて強い蠕動運動(大蠕動)が起きます。この動きは「胃結腸反射」と呼ばれ、一気に内容物が肛門の方に送られ、便意が引き起こされるのです。合宿などでトレイが混みあうのは、朝食後というのが相場ですが、それは、この一連の大腸の動きが、皆に同時に起こっているからです。旅行に行くと、この朝から朝食後にかけてのリズムが狂うことがあります。例えば、時差で睡眠時間が乱れてしまったり、朝食後、宿を出るまでの時間が短かすぎたりすると、自然な排便のリズムが乱れ、急な便秘を引き起こすのです。   また、便意の我慢も旅先での便秘の原因になります。いつもは1人で個室を独占できるのに、同室の同伴者がいたり、共用トイレが混んでいて、タイミングを逃してしまうかもしれません。バスなどでの長時間の移動などで、トイレ休憩の時間が便意のタイミングと合わないことも多いでしょう。便意を感じたら、すぐに排便をするようにしないと、やがて便意は消えてしまいます。   関連リンク:「便秘と便意」   他にも、旅の便秘には、いくつかの原因が考えられます。例えば、観光の途中にトイレに頻繁にいきたくならないようにと、水分の摂取を控えすぎてしまうのもよくありません。体の水分不足は、便を固くし、便秘を引き起こします注2。また、食物繊維が少ない食事も、便秘の原因になります。食物繊維は、小腸・大腸で消化吸収されず、最終的に便の材料になる栄養素です。そのため、食物繊維の摂取量が足りないと、便のカサが小さくなり、大腸が活発に動かなくなる場合があるのです。   このように、旅行中の生活には、便秘を引き起こす要素がたくさん含まれているのです。  

    旅行と下痢の関係は? 旅行にいくと便秘になる人が多い一方、旅先で下痢に悩まされることもあります。こちらは「旅行者下痢症」と呼ばれ、多くの場合、細菌などへの感染によって引き起こされます。海外旅行などで不衛生な食べ物を食べたときに起き、時に吐き気や発熱を伴います。細菌以外にも、水が合わない場合や、ストレスによって下痢が引き起こされることもあります。殆どの場合、時間とともに改善していきますが、熱や下痢が続くようなら病院を受診しましょう。

      温泉旅行のイメージ

    ■旅の便秘対策(お薬編)

        市販の便秘薬の服用は、旅行の便秘対策としては、お勧めです。これが旅行時ではなく、通常の慢性的な便秘の場合は、まず最初にすべきことは、薬の服用ではなく、生活習慣の改善です。しかし、生活習慣の改善は、数週間続けて行うことで効果が感じられるようなものも多く、短期間の旅行中の対策としては、やや即効性に欠けます。その点、便秘薬は、夜飲むと次の朝出るなど、比較的早く結果がでますから、旅先での一時的な便秘対策にはピッタリなのです。   関連リンク:「便秘対策の即効性」   便秘薬は、だいたい夕食前や夕食後に服用すると、次の日の朝、トイレに行きたくなります。旅行でいつも便秘になる人は、朝のトイレタイムにしっかり排便するために、夕食時に便秘薬を服用するようにしましょう。この時、一つ注意したいのは、強い便秘薬を、飲みすぎてしまうことです。便秘薬の効き方は個人差がとても大きく、薬が効き過ぎると、下痢になってしまい、楽しい旅行が台無しです。できれば、旅行の前に便秘になったときに、一度効果を試してみて、適量を把握しておくのがよいでしょう。複方毒掃丸のような、服用量を細かく調節できるタイプの便秘薬なら、下痢をしてしまわないように、服用量を加減することも簡単です。   関連リンク:「便秘薬をのむ時に大切なこと」   また、便秘薬を飲みなれていない人は、毒掃丸整腸薬のような、整腸薬を飲むのもよいかもしれません。整腸薬とは、腸内細菌のうち善玉菌と呼ばれる体によい菌や、食べ物の消化に必要な消化酵素の補充を行うことで、腸の調子を整える薬です。便を直ちに出す効能はありませんが、腸の本来の働きを取り戻す手助けをすることで、便秘や下痢を改善してくれます。    

    ■旅の便秘対策(お薬以外)

        便秘薬を飲む以外にも、旅行中の便秘を防ぐためにできることは、いくつかあります。まず、この記事の前半で挙げた、旅先で便秘になる要因を、つぶしていくことは、有効です。   旅による緊張感やストレスを和らげるためには、腹式呼吸や深呼吸がお勧めです。吸う時の2倍程度の時間を掛けて息を吐くことで、自律神経のバランスが整う(副交感神経の働きが高まる)ことが多くの実証実験で分かっています注3。夜はゆっくりお風呂に入り、リラックスを心がけましょう。また、腹部のマッサージもよいでしょう。腹部への直接的な刺激は、大腸の動きを促進してくれることを期待できますし、マッサージの際の手の温感や触感、筋肉の緊張のほぐれによる心地よさは、心身をリラックスさせてくれ、自律神経のバランスを整えてくれます。   関連リンク:「便秘とマッサージ」   排便リズムを狂わせないためには、朝起きた時にコップ一杯の水を飲み、朝食をしっかり食べることが大切です。旅先でも「胃結腸反射」が起きるようにしましょう。また、朝食を食べてから、宿を出るまでの間に、十分なトイレタイムを確保するようにしましょう。   便意を我慢しないことも大切です。同行者がいても、それぞれがゆっくりトイレを済ませられるよう、やはり十分なトイレタイムの確保が大切です。他にも、水分を十分に摂ることや、食物繊維不足にならないように気を付けることも、有効です。   関連リンク:「野菜と便秘の話」   あと、忘れがちなことですが、旅行に出発する前に便秘になっていないことも重要です。慢性便秘に近いような状態で旅行に出発してしまえば、旅行中の快便は、ますます遠のいてしまうでしょう。快適で楽しい旅行を楽しむためにも、日ごろから、「腸活」を心がけることが大切なのです。   関連リンク:「「腸活」について①」   では、記事の内容を参考にして頂き、しっかり対策をとったうえで、便秘薬や整腸薬を鞄に忍ばせ、楽しいご旅行をお楽しみください!    

    ◇ ◇ ◇

      関連リンク:複方毒掃丸ブランドサイトおすすめの服用方法複方毒掃丸サンプルお申込受付フォーム  複方毒掃丸は、6種類の生薬が自然に近いお通じを促す便秘薬です。小さな丸剤なのでのむ量を調節しやすく、旅先でもちょうどよいお通じを目指せます複方毒掃丸 複方毒掃丸 便秘薬を飲むほどでもないという場合は、整腸薬もおすすめです。毒掃丸整腸薬は、乳酸菌と消化酵素と4種類の生薬を配合した、シナモンのような爽やかな香りがする、のみやすい整腸薬です。ぜひ一度お試しください。関連リンク:毒掃丸整腸薬の製品案内毒掃丸整腸薬の無料サンプルお申し込みフォーム
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      注1:  F Narducci et.al., Twenty four hour manometric recording of colonic motor activity in healthy manGut.  1987 Jan ; 28(1) : p17-25.  注2:吉良いずみ 便秘ケアとしての水分摂取のエビデンスに関する統合的文献レビュー, 日本看護技術学会誌 2013;12(2):p33-42. 注3:例えば、坂木 佳壽美, 腹式呼吸が自律神経機能に与える影響, 体力科学, 2001, 50 巻, 1 号, p. 105-118.    ひとこと 最後までお読みいただきありがとうございます。記事がお役に立ちましたら、SNSでもご共有いただけますと幸いです! 毒掃丸毒掃丸整腸薬のお買い求めは全国のドラッグストア・通販サイトで。見つからない場合は「毒掃丸をください」と申し出てください。こちら(SHOPどくそうがん)でも販売しております→ショップどくそうがん | 便秘薬の毒掃丸 山崎帝國堂のネットショップ (dokusougan.jp)

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  • 腹部のマッサージは、誰にでも簡単にできる、最も手軽な便秘対策の1つです。もちろん、マッサージをすれば「誰でも、すぐに排便がある」というわけではありません。しかし、マッサージの便秘改善効果はある程度実証されており、試してみる価値があります。今回は、なぜマッサージで便秘解消が期待できるのかを解説したうえで、代表的なマッサージ方法をご紹介したいと思います。    

    ■腹部のマッサージが、なぜ便秘に良いのか

       

    1.様々な理由で、大腸の動きが悪くなることがあります。

        便秘には、様々な原因がありますが、原因の1つとして、大腸の動きが悪くなることが挙げられます。   胃と小腸で消化された食べ物は、消化液や大量の水分とともに、ドロドロの状態で大腸へと運ばれてきます。大腸は、成人で1.5m程度の長さがある管状の臓器で、主に水分を吸収する働きがあります。大腸で、消化後の内容物から徐々に水分を吸収して固形状にしながら、ゆっくりと肛門の方へと運ばれていきます。肛門の方に運ばれてきた固形状になった内容物が、便です。   関連リンク:「うんちと便秘」  
    消化器の図
    胃と小腸で消化された食べ物は、大腸に運ばれます。
      まず、大腸がどのようにして内容物(消化済みの食べ物)を肛門の方に運んでいくのかを見てみましょう。大腸に内容物入ってくると、大腸内の神経がそれを感知し、反射的に大腸の収縮を促します。その収縮が先へ先へと順に伝わっていく「蠕動運動(ぜんどううんどう)」と呼ばれる動きによって、内容物は肛門側へ移動していきます。この大腸の蠕動運動がちょうどよく行われていると、適度な硬さの便が期待できます。蠕動運動が低下すると、内容物が停滞したまま大腸による水分の吸収が進むため、便が固くなり、便秘になってしまいます。   蠕動運動は、様々な理由で停滞してしまうことが知られています。例えば、女性ホルモンの1つであるプロゲステロン(黄体ホルモン)は、大腸の蠕動運動を抑制してしまいます。そのため、プロゲステロンが多く分泌される思春期から壮年期までの間、便秘は男性より女性にずっと多くみられるのです注1。また、加齢も蠕動運動を停滞させます。海外からの報告によると、高齢者16人(平均81歳)と若者16人(平均24歳)の大腸通過時間を調べたところ、高齢者は平均66時間、若者は平均39時間で、1.7倍の差があったといいます注2。加齢による蠕動運動低下の理由は、腸管の運動に関係する神経細胞の数やバランスが、加齢とともに変化するからだと考えられています注3。   関連リンク:「女性の便秘・男性の便秘 ~年代による、その変化と対策~」/「高齢者の便秘」/「便秘の種類と原因」   また、ストレスにより蠕動運動が起こりにくくなることもあります。大腸の蠕動運動が、大腸内の神経の働きで反射的に起きていることは、すでに触れたとおりなのですが、その他に、脳から背骨を通って大腸まで届いている「自律神経」という神経系も、蠕動運動の活発さの度合いを調整しています。この自律神経というのは、生命維持の様々なプロセスを調節するために体中に張り巡らされた神経で、意識しなくても自動的(自律的)に機能するのが特徴です。私たちは、緊張すると心拍が早くなり、リラックスすると心拍が遅くなったりしますが、これは、自律神経によって心臓の活発さが調節された結果です。大腸の動きは、心拍とは逆で、緊張すると蠕動運動が抑制されて排便が減り、リラックスすると動きが活発になって排便が促されます。そのため、ストレスなどで緊張状態が続くと、便秘になってしまうことがあります。   関連リンク:「便秘とストレスの関係」   このように、女性ホルモンや、加齢の影響、ストレスによる自律神経の乱れなどは、大腸の動きを抑制し、便秘を引き起こしてしまいます。    

    2.腹部のマッサージは、大腸に直接刺激を与えたり、心身をリラックスさせることで、排便を促します。

        腹部のマッサージは、前項で挙げたような、大腸の動きが悪くなったことによる便秘を改善してくます。まず、マッサージで体の外側からを大腸に刺激を与えることで、蠕動運動が活発になると一般的に考えられています。大腸の蠕動運動は、食べ物が入ってきたことを腸内の神経が感知することで反射的に起こるのですから、押すことで、食べ物をよりはっきり感知してもらおう、そんな発想です。また、腸の内容物の進行方向に向かってマッサージすることで、大腸の運動を補うことも期待しています。   更に、マッサージによるリラックス効果は、自律神経の調子を整え、ストレスなどによる緊張状態が引き起こしていた便秘を改善しれくれると考えれらています。マッサージの際の手の温感や触感、筋肉の緊張のほぐれによる心地よさは、心身をリラックスさせてくれ、腸の動きを促してくれる「副交感神経」という自律神経の働きを高めてくれます。これにより、自律神経のバランスが整い、蠕動運動がおこりやすくなります。   実際に、腹部のマッサージの便秘改善効果は観察されていて、例えば、1日15分・週5回の腹部マッサージを8週間続けたところ、便秘が改善されたという海外からの報告があります注4。    

    体を温める「温罨法(おんあんぽう)」とは? 一般の方には聞きなれない言葉かもしれませんが、体の一部を温めることで刺激を与え、体や心の状態を改善する看護技術のことを、温罨法といいます。温罨法には、血行促進や痛みの緩和等様々な効果があり、便秘改善にも良いことが分かっています。具体的には、例えば、横になった状態で、60℃程度のお湯で絞った蒸しタオルなどをお腹や腰の下に10分程度あてます。これを連日続けることで、便秘の改善が期待できます注5。便秘が改善する理由としては、温めることで体がリラックスし、自律神経のうち、腸の動きを促進する働きがある副交感神経が高まっていることが挙げられます注6。温罨法自体は、温度管理ややけど防止に知識が必要な専門技術であり、一般人にはできませんが、温めることの有用性は参考になります。やけどしないように注意しながら市販のカイロを腰に貼ったり、湯たんぽを抱くなどを、マッサージと合わせて行ってみてはいかがでしょうか。

        話は少しそれますが、当社の独自の調査をみると、便秘改善のために実際にお腹のマッサージをしている人は、かなり多いようです。便秘の症状を経験したことのある人を対象に、これまでやってみたことのある便秘対策を聞いてみたところ、4割近い人が「マッサージの実施」を挙げています(下表)。思い立ったらすぐにできる手軽さが受けているのでしょう。   皆さんの便秘解消法
    Q : あなたが、便秘の対応策としてこれまでにやってみたことがあるものをすべてお答えください。 全体 男性 女性
    食生活の改善 62% 54% 67%
    市販の便秘薬を利用 50% 39% 53%
    運動の実施 43% 44% 42%
    マッサージなどの実施 38% 20% 48%
    健康食品・サプリメントを利用 29% 23% 33%
    特に対策をしたことはない 12% 18%  8%
    医療機関へ通院  6%  6%  6%
    その他  2%  2% 13%
    2018年当社調べ N=8529 現在か過去に便秘の症状を経験した人を対象にした調査   関連リンク:「便秘による不調とは ~便秘に伴う諸症状の話~」  

    ■主なマッサージ方法

      続いて、便秘によいマッサージの具体的な方法を3つご紹介します注7。いずれも、自分ひとりでできる方法です。  

    1.腹部を大腸の進行方向に合わせて「の」の字にマッサージ

      のの字マッサージと呼ばれる、代表的な腹部マッサージです。大腸がある場所を、盲腸(右下)からS字結腸(左下)に向けて、ゆっくり何度もマッサージします。お腹でいうと、おへそ付近を起点に、右鼠径部の上から、右肋骨の下に向けてもみ上げ、そのまま左肋骨の下を経由して、左鼠径部の上のあたりまで「の」の字を描くように移動していきます。   のの字マッサージ  

    2.左右の脇腹を上下にマッサージ

      「腸もみ」とも呼ばれる方法です。両脇腹は、腰骨や肋骨に邪魔をされることがないので、大腸を前後から包み込むようにもみあげることも可能です。上下にマッサージしたり、前後から包み込むようにもんだり、大腸の四隅をもむなどの方法がありますから、やってみて気持ちよのよい方法を探してみてください。  

    3.下腹部を上に押し上げるようにして、「横行結腸」を刺激

      横行結腸とは、大腸のうち、おへそのあたりを右から左に横切るように走っている部分のことです。この部分の大腸は、お腹の中で固定されておらず、真ん中が垂れ下がるようになっています。人によっては内容物の通りが悪くなっている可能性があるので、下腹部から手で押し上げて刺激します。   その他にも、上体をねじることで腸を刺激する方法(立ったままでも、寝た状態でも可)や、仰向けになって膝を抱え、腹部を圧迫することで大腸を刺激する方法もあります。また、高齢者などで自ら動くことが難しい方は、腹式呼吸を繰り返すだけでも、大腸への刺激やリラックス効果が期待できます。   腹部マッサージは、誰でも必ず排便に至るという技法ではありませんし、たとえ施術で大腸が動きはじめても、すぐには便意につながらないことから、即効性も感じられないかもしれません。あまり効果が感じられなければ、食事内容の工夫や、運動などと合わせて行うようにしましょう。   関連リンク:「便秘対策の即効性」/「便秘によい食べ物」/「便秘と運動」    

    ◇ ◇ ◇

      関連リンク:複方毒掃丸ブランドサイトおすすめの服用方法複方毒掃丸サンプルお申込受付フォーム  複方毒掃丸は、6種類の生薬が自然に近いお通じを促す便秘薬です。小さな丸剤なのでのむ量を調節しやすく、ちょうどよいお通じを目指せます。マッサージと合わせてお使いください。 複方毒掃丸

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      注1:例えば、令和元年国民生活基礎調査の便秘有訴者数(全国・5歳階級・男女別・症状は複数回答)と、令和元年総務省人口推計(全国・5歳階級・男女別)から計算すると、10~59歳の便秘有訴者数の男女比は、男23%に対し、女77%である。なお、10歳~15歳の人を成人期に入れたのは、便秘に関係が深い女性の初潮が12.3歳±1.3歳(平均年齢±SD)であることと、元の統計が5歳刻みであることから、成人期の便秘の特徴を捉えるためにより適切だと考えたため。注2:Jan L. Madsen, Jesper Graff, Effects of ageing on gastrointestinal motor functionAge and Ageing, 2004 March ; Volume 33, Issue 2 : p.154–159.    注3:日本消化器病学会関連研究会 慢性便秘の診断・治療研究会 編, 慢性便秘症診療ガイドライン2017, 南江堂, 2017, p.31.   注4:Kristina Lämås, et. al., Effects of abdominal massage in management of constipation—A randomized controlled trial, International Journal of Nursing Studies, 2009; 46(6): p. 759-767. 注5: 日本看護技術学会 技術研究成果検討委員会 温罨法班、便秘症状の緩和のための温罨法 Q&A、2021年2月、一般社団法人日本看護技術学会 注6:江上千代美他,  温罨法が末梢と心臓の自律神経系に及ぼす効果,  日本看護技術学会誌, 2014; Vol. 12(3): p.34-39.     注7:ここで挙げる3つは、次の文献で紹介されていた種目であるが、もみ方の詳細は当社の文責によるもの:高野正太, 慢性便秘症に対する食事療法,運動療法,理学療法, 日本大腸肛門病会誌, 2019; 72: p.621-627.   ひとこと 最後までお読みいただきありがとうございます。記事がお役に立ちましたら、SNSでもご共有いただけますと幸いです! 毒掃丸毒掃丸整腸薬のお買い求めは全国のドラッグストア・通販サイトで。見つからない場合は「毒掃丸をください」と申し出てください。こちら(SHOPどくそうがん)でも販売しております→ショップどくそうがん | 便秘薬の毒掃丸 山崎帝國堂のネットショップ (dokusougan.jp)

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  • ストレスを抱え込むような生活をしていると、排便のリズムは乱れ、便秘が悪化してしまいます。この記事では、便秘の大敵であるストレスについて少し詳しく見ていき、ストレスだらけの現代社会の中で、どんな工夫をすれば便秘を悪化させないで済むか、解説していきたいと思います。  

    ■ストレスってなに?

      ストレスといわれて、思い浮かべるものはなんでしょうか?仕事や人間関係のトラブルに悩んだ時の、つらくて不快な心理状態を思い浮かべる方が多いかもしれません。生理学的には、ストレスというのはもっと広い概念で、外部からの刺激などによって体の内部に生じる様々な反応のことを指します注1。   そうしたストレス反応の原因には、温度、光、音などの物理的なもの、大気汚染や臭いなどの化学的なもの、アレルゲンや病原菌などの生物的なもの、仕事や対人関係のような社会・心理的なものがあります。平たくいうと、ストレス反応は、生体の恒常性(つまり、生命活動を維持すること)が脅かされたときや、脅かされたと認識したときに発生します注2。ストレスに直面すると、人体は脅威に対処するために、免疫反応や、内分泌系の反応、自律神経を通じた反応などを起こします。これらの反応の結果として、体や心(ひいては行動)に様々な変化が起きます。   職場で不快な出来事があれば、その出来事が終わってからも不愉快な気分が長く続いたり、長時間血圧が上がったままになります。そのうち、頭痛や肩こりを感じるかもしれません。喪失や別離などの出来事があれば、長い間活力を失い、後悔にかられ、うつ気味になったり、不眠になってしまうかもしれません。こうした身心の変化には様々なものがあり、便秘もそのうちの1つです(ストレスで便秘になる仕組みは後述)。    
    ストレスによる体の変化
    不眠
    頭痛
    肩こり
    腰痛
    腹痛
    吐き気・嘔吐
    下痢・便秘
    疲労・倦怠感
    過覚醒
    ストレスによる心の変化
    不安
    うつ
    集中力低下
    意欲低下
    乖離
        日常の一つ一つのストレスは、一過性なので、やがて反応も終わって心身は平常に戻ります。しかし、大きなストレスが長期間に渡って続発するような場合は、うつ病などの精神疾患や、便秘や下痢を繰り返す過敏性腸症候群、本態性高血圧症などの心身症になりやすくなるなど、健康に深刻な影響を及ぼすことになります。更に、慢性的なストレスにさらされると心血管疾患のリスクも上がりますし注3、がんの罹患率が上がったという報告もあります注4。    

    ■大腸が動く仕組みと、自律神経のはたらき

      続いて、ストレスが便秘をなぜ悪化させるのかを知るために、大腸が動く仕組みと、自律神経のはたらきについて概観してみましょう。  

    (1)大腸が動く仕組み

      便秘と深い関係がある大腸ですが、他の臓器と同様、自分の意志で動かすことはできません。食事から排便までの流れのなかで、食べ物を飲み込んでから、直腸で便意を感知するまでの長い時間、意思の力は全く及びません。どんなに知能が高い人でも、あるいは体力が充実している人でも、自分の意識で胃や腸を動かしたり、便意をゼロから引き起こし、自在に排便するということはできません。胃や腸は、意識の直接の支配が及ばない神経の働きによって動いているからです。   関連リンク:「便秘と便意」   大腸が動く仕組みは、少し複雑です。まず、大腸は脳の指示(無意識下の指示も含め)がなくても動くことができます。内臓には、中枢神経からの指示なしでも動く仕組みを備えたものがあって、例えば、心臓は自ら動く能力があり、脳からの神経(自律神経・後述)は、心臓自身の動きを調節しているだけです。大腸も、脳からの指示なしに自ら動く仕組みを持っている臓器の一つです。   大腸には、腸管神経系とよばれる、脳と直接つながっていない神経が張り巡らされており、この神経系が、大腸の中を内容物が通過する際の刺激を感知して、中枢神経の指示なしで自ら蠕動運動(ぜんどううんどう・内容物を先に運ぶ運動)を引き起こしています。そのうえで、脳から背骨を通って大腸まで届いている神経(自律神経)が、腸管神経によって引き起こされる蠕動運動の活発さの度合いを調整しています。  

    (2)自律神経のはたらき

      前項の説明の中で、何回か自律神経という用語が出てきました。自律神経とは、血圧や呼吸や発汗、大腸の場合は蠕動運動きなど、生命維持の様々なプロセスを調節するために体中に張り巡らされた神経です。意識的な努力をしなくとも、自動的(自律的)に機能するのが特徴です。自律神経には、交感神経と副交感神経という2種類の系統があり、それぞれの系統の強弱が、各臓器の働きかたに影響を及ぼしています。   ★交感神経:ストレスの多い状況や、緊急事態に対応できるよう、体の状態を整えます(闘争・逃走反応)。交感神経が活発になると、血管は収縮し、血圧が上昇し、心拍も早くなります。一方で、腸の蠕動運動は、抑制されます。緊急事態には、消化吸収にエネルギーを使うことや、排便が促されるような事態はそぐわないのでしょう。   ★副交感神経:日常的な状況下で、体内のプロセスを制御します。体をリラックスさせ、エネルギーを温存し、体力を回復させます。血管は拡張し、血圧は下がり、心拍はゆっくりになります。腸の動きは促進されます。リラックスしていると排便がうながされるのはこのためです。ただし、睡眠中は、副交感神経が優位であっても、大腸の強い蠕動運動は起こりません。
     
    交感神経副交感神経
    収縮血管拡張
    上昇血圧下降
    早い心拍ゆっくり
    緊張筋肉弛緩
    蠕動運動抑制蠕動運動促進
    促進発汗抑制
        ストレス源に直面すると、自律神経系のストレス反応として、交感神経がたかぶります。すると、大腸の蠕動運動が抑制されてしまい、内容物が肛門側にむけて運ばれにくくなるのです。  

    ■ストレスと便秘の関係

      以上から、ストレスで便秘になったり、悪化してしまったりする場合には、次の3つの可能性が考えられます。  

    (1)大腸遅延型便秘

      ストレスに直面した時に、自律神経のうちの交感神経がたかぶり、大腸の蠕動運動が抑制されてしまうと、大腸通過遅延型の便秘になりやすくなってしまいます。これが、ストレスが便秘を引き起こす代表的なパターンの1つです。   大腸通過遅延型便秘というのは、大腸の蠕動運動が十分に起こらないことで、内容物が大腸を通過するのに要する時間が長くなり、引き起こされる便秘です。内容物の通過所要時間が長くなると、その影響は、排便のタイミングが遅くなるだけではありません。通過に時間がかかることにより、本来なら便に含まれるはずだった内容物中の水分が大腸から吸収されてしまい、便がカチカチになってしまい、ますます排出しにくくなってしまうのです。   関連リンク:「便秘の種類と原因」  

    (2)排便リズムの乱れ

      また、2つ目に、ストレスで交感神経が昂ることで睡眠の質が悪くなったりして、排便のリズムが狂うことも考えられます。ストレスにさらされると、睡眠の質が下がってしまいますが、睡眠不足は便秘を悪化させます注5。本来ヒトの体は、睡眠中に徐々に腸を動かして内容物を運んでおき、朝食後に起こる「大蠕動」という大きな大腸の動きで一気に肛門近くまで便を押しやることで、朝の排便を行うようなリズムになっています。睡眠不足は、このリズムを狂わせてしまう恐れがあります。  

    (3)心身症による便秘

      また、3つ目に、心身症による便秘も考えられます。長期間ストレスにさらされることで引き起こされる心身症には、様々なものがありますが、そのうちの1つが過敏性腸症候群(IBS)です。自律神経の失調などで起こるとされ、発症すると、腸が刺激に対して過敏な状態が続きます。そして、ちょっとした緊張やストレスで、便秘や下痢を繰り返すようになります。過敏性腸症候群には、主な症状が便秘のものと下痢のものがあるため、便秘型・下痢型・混合型(便秘と下痢のどちらにもなる)・分類不能型に分類されています。少しのストレスで便秘になってしまう方は、この過敏性腸症候群の便秘型(痙攣性便秘ともいいます)なのかもしれません。  

    腸を整えると、自律神経も整う? 最近、「腸脳相関(ちょうのうそうかん)」という言葉が良く使われるようになっています。これは、腸と脳は互いに影響し合っているという考え方です。腸は、体の中でも神経細胞が多い臓器で、脳に次ぐ数の細胞数があると言われます。そして、腸から脳に信号を届ける神経の経路も多くあることから、腸の調子が、脳や自律神経にも影響を及ぼしている可能性が指摘されています。近年では、腸内環境の乱れが、うつ病や過敏性腸症候群の発症に関係があるのではないか、と考える研究者が増えています。心身の状態を良好に保つためには、ストレスと上手に付き合うことと同様に、腸内環境を守ることも大切なのかもしれません。

      関連リンク:「腸内細菌と、健康・便秘」  

    ストレスで、女性は便秘に、男性は下痢になりやすい理由 過敏性腸症候群の症状の出方には、性差があります。女性は便秘型が多く、男性には下痢型が多いのです。やはり女性ホルモンが関与しているようで、近年の日本発の報告によると、ラットの大腸内に痛みの刺激を与えたところ、その影響でオスは大腸の動きが活発になったものの、メスは性ホルモンの影響からオスと異なる神経伝達物質が放出され、大腸の動きが活発にならなかったそうです注6。ストレスによる便秘にも、性差があるというのは興味深いことです。

      関連リンク:「女性の便秘・男性の便秘 ~年代による、その変化と対策~」  

    ■ストレスが多い方のための便秘対策

      ストレスによる便秘を避けるためには、心をリラックスさせる時間を持つことや、睡眠時間をしっかりとること、規則正しい毎日を送って朝のトイレタイムを逃さないことが大切です。数ある便秘対策の中から、ストレスが多い方に特におススメのものを選んでみました。   睡眠が大切   ★腹式呼吸や深呼吸を心がける 吸う時の2倍程度の時間を掛けて息を吐くことで、副交感神経の働きが高まることが多くの実証実験で分かっています注7。まずは5分でも続けて行い、実際にリラックスが得られることを実感してみましょう。リラックスが実感できたら、隙間時間や緊張状態のときにやってみたり、リラックスタイムの質を更に上げるためにどんどん活用してみてください。   関連リンク:「「腸活」について③ 食べる以外の腸活」   ★運動をする 特に、有酸素運動を行うことで、便秘を改善できることがわかっています注7。運動がストレスを発散し、副交感神経のはたらきを良くしてくれるので、睡眠の質の改善と、腸の動きの改善が期待できます。1回30分程度の有酸素運動(ジョギング、ウォーキング、ヨガなど)を週2回行うことを目指してみましょう。   詳しくは:「便秘と運動」   ★睡眠時間を確保する 睡眠不足は便秘を悪化させます注8。眠れるかどうかわからなくても、睡眠のための時間をしっかり確保することは必要です。   ★朝起きてコップ1杯の水をのみ、朝食を抜かず、朝の便意は逃さない この3つの文節は、それぞれ1つだけを行っても効果は期待できますが、3つでワンセットだと考えてください。私たちの体は、食事で胃に食べ物が入ると、その刺激が神経を通して伝わることで、数分以内に大腸(結腸)が動き出し、続いて強い蠕動運動=「大蠕動」が起こるように出来ています。これは胃結腸反射と呼ばれ、朝食後に一番強くおこります。コップ1杯の水と朝食で、大蠕動を引き起こし、大腸の内容物を直腸に送り込みます。直腸に便が入ると便意を感じますので、このチャンスを逃がさず、しっかり出してしまいましょう。   詳しくは:「便秘と便意」/「便秘によい飲み物」   以上のうち、1つを選ぶのではなく、できるだけ沢山生活に取り入れることが大切です。毎日の自然なお通じを取り戻すために、ぜひ頑張ってみましょう!  

    ◇    ◇    ◇    ◇

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      注1:厚生労働省e-ヘルスネット「ストレス」(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-031.html)2022年9月3日参照。注2:Chrousos GP. Stress and disorders of the stress system. Nat Rev Endocrinol. 2009 Jul ; 5(7) : p374-81. 注3:Batty GD, et al. Psychological distress and risk of peripheral vascular disease, abdominal aortic aneurysm, and heart failure: pooling of sixteen cohort studies. Atherosclerosis. 2014 Oct ; 236(2) : p385-8.  注4:Song H, et al. Perceived stress level and risk of cancer incidence in a Japanese population: the Japan Public Health Center (JPHC)-based Prospective Study. Sci Rep. 2017 Oct 11 ; 7(1) : 12964. 注5:例えば、Yamamoto S, et al. Internet Survey of Japanese Patients With Chronic Constipation: Focus on Correlations Between Sleep Quality, Symptom Severity, and Quality of Life. J Neurogastroenterol Motil. 2021 Oct 30 ; 27(4) : p.602-611. 注6:Horii, K., et al., Sexually dimorphic response of colorectal motility to noxious stimuli in the colorectum in rats. J Physiol, 2020 : 599 :  p1421-1437.    注7:例えば、坂木 佳壽美, 腹式呼吸が自律神経機能に与える影響, 体力科学, 2001, 50 巻, 1 号, p. 105-118.  注8:日本消化器病学会関連研究会,慢性便秘の診断・治療研究会:慢性便秘症診療ガイドライン 2017.南江堂,2017 p.60    ひとこと 最後までお読みいただきありがとうございます。記事がお役に立ちましたら、SNSでもご共有いただけますと幸いです! また、お買い求めは全国のドラッグストア・通販サイトで。 見つからない場合は「毒掃丸をください」と申し出てください。 こちら(SHOPどくそうがん)でも販売しております→ショップどくそうがん | 便秘薬の毒掃丸 山崎帝國堂のネットショップ (dokusougan.jp)

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  • 便秘と便意

    2022.02.23
    便秘に悩む人にとって、ようやくやってきた便意を上手にとらえて排便できたときの喜びは、格別です。便意とは、便が直腸に溜まったときに感じる内臓感覚であり、体が脳(あなたの意識)に対して、排便の時がきたことを知らせるシグナルです。人の体は本来、便意が来た時にトイレに行くことで、快便が出るようにできています。今回は、そんな排便の仕組みを概観しながら、便意の大切さについてお伝えしていきます。また、便秘と便意の関係や、腸と脳が関係しているために起きているかもしれない便意、そして便意を促すコツについても述べたいと思います。  

    ■排便のメカニズムと、便意

     

    (1)朝のできごと

      口から入った食べ物は、ご存知のように、胃と小腸で栄養分が消化吸収され、残ったものが大腸によって肛門の方に運ばれて、最後に便になります(便自体のことについてはブログ記事「うんちと便秘」もどうぞ)。食事で食べたものが便になって排出されるまでの時間は、およそ24~72時間と言われており、その中で、最後の大腸の通過には15から20時間(便秘でなければ)を要します。   大腸は、実は寝ている間はあまり動きません。深夜便意を催すことが少ないのはそのためです。そして、朝起きた時に、一日の中でも最大級の勢いで動きを再開します注1。この動きは無意識に起きる反射的なもので、姿勢結腸反射、あるいは起立大腸反射とよばれています。排便の準備は、便意を感じる何時間か前、朝目が覚めた時から始まっています。  

    (2)朝食で大蠕動が引き起こされる

      それでも、起床時の腸の動きが排便の直接の引き金になる人は多くありません。旅行でも合宿でも、トレイが混みあうのは朝食後というのが相場です。それは、「胃結腸反射」(いけっちょうはんしゃ)という体の仕組みがあって、これが皆に一斉に起こっているからです。私たちは、食事で胃に食べ物が入ると、その刺激が神経を通して伝わることで、数分以内に大腸(結腸)が動き出し、続いて強い蠕動運動=「大蠕動」が起こるように出来ています注2。これが胃結腸反射です。このときに起こる大蠕動で、大腸の内容物が直腸(大腸の一番下の肛門に近い部分)に入り、朝食後の便意をもたらします。被験者を絶食させると、大腸の活発な動きが実際に起きなかったという報告もありますし注3、1日3食のうちでも朝食の後の蠕動運動が一番強かったこと注1も合わせて考えると、朝食は、面倒でも抜かずに毎朝しっかり食べることが、良い便意を得る秘訣と言えるでしょう。    

    (3)直腸と、便意

      大腸内に溜まった便が直腸に送られてくると、それまで空っぽだった直腸は、やってきた便に押されて膨らみ、直腸壁には圧力がかかります。この直腸壁への圧力が一定以上になると、信号が仙髄(背骨と骨盤をつなげる仙骨の中にある中枢神経)にある「排便中枢」という神経組織に伝わり、排便に向けた次の段階が始まります。直腸では、上の方がすぼまり、下の方が緩む動きが起き、便が肛門の近くまで降りてきます。後述しますが肛門でも排便の準備がすすみます。そして、信号が大脳皮質の感覚野に届き、いよいよあなた自身が一種の内臓感覚として、あの「便意」を感じます。   感覚野に便意が伝わると、あなたは前頭前野(計画を立てる脳)でトイレにいくことを計画し始め、行動に移るはずです。高度な大脳のおかげで、落ちついて用を足せるトイレを探し、個室の扉を閉め、服をおろし、便器に腰掛けるなどの人間らしい行動をとることができます。そしてついにあなたは肛門を緩めます。   ここでのポイントは、脳が便意を感じている時には、直腸と肛門も排便体制にあることです。この機会を逃さないことが快便の秘訣です。  

    (4)排便時の肛門と、いきむ時の姿勢

      ここで、肛門で起こる出来事に目を移しましょう。そもそも肛門は、普段は便が漏れないように、3重のバリアが講じられています。まず、普段、肛門は内肛門括約筋(ないこうもんかつやくきん)と外肛門括約筋(がいこうもんかつやくきん)という2段階の筋肉の働きで閉じられています。そして3つ目に、直腸と肛門は、寝ている姿勢や立っている姿勢では一直線にならず、便の圧力で肛門が開いたりしにくくできています。この角度のことを直腸肛門角といいます。日本のお城の門「桝形虎口」が2つの門と直角の動線で敵の侵攻を食い止めようとしている様を連想させます。排便時には、無意識の力と意思の力が合わさって、この3重のバリアが解かれます。   まず、直腸壁への圧が高まると、不随意筋(意識して動かせない筋肉)である内肛門括約筋がゆるみ、随意筋(意識して動かせる)である外肛門括約筋の力だけで、つまり大脳の意思による「我慢」だけで肛門を閉じるような状態に切り替わります。便意があるうちにトイレに到着し、2つ目の肛門バリアである外肛門括約筋を意思の力で緩める時、皆さんは同時に「いきむ」動作をします。ふつうは息を止め、腹圧を高め、直腸にある便を肛門から押し出します。これが排便です。   この時、前かがみの姿勢をとっていることが大切です。理想的な姿勢は、ロダンの「考える人」(写真)のような恰好です。この姿勢だと、肛門の3つ目のバリアである直腸肛門角が一直線に近づき、スムーズな排便が行われます。排便姿勢を改善させることで、便の量が有意に増加したという報告もありますので注4次に便意がやってきたら、いきむ時に意識的に「考える人」を真似てみてください。       このような一連の動作で排便を行い、直腸が空っぽになると直腸壁にかかる内圧が下がり、スッキリ感を得ることができます。しかし、せっかく体から便意としてシグナルが送られているにも関わらず排便を行わないでいると、やがてスッキリしないままに便意は収まり、排便反射も抑制されてしまいます。俗にいう便が「ひっこんでしまった」状態です。こうなるといきんでも便は出ず、再度便意が起こるのを待たなくてはなりません。とにもかくにも、便意がある間にトイレに行くことが大切です。そうすることで、無意識による①直腸での便の下降と ②肛門の不随意的な開きに加え、意思による ③肛門の随意的な開き、④いきみの腹圧、⑤適切な姿勢、の全てを合わせて、スムーズに便を出せるのです。    

    ■便秘と便意

      このように便意は、排便の時が来たことを教えてくれる体からのシグナルです。しかし、便秘で悩む人たちは、次の2つのような悩みを抱えていることが多いです。 ・なかなか便意がこない ・便意が来ても、スッキリと排便できない ここでは、このそれぞれの悩みについて、理由と対策を探っていきます注5。  

    (1)なかなか便意がこない場合

      便秘で悩む人には、なかなか便意がこない人が多いようです。慢性便秘症の条件を満たす人のうち、約6割の人が便意が普通より少ないと自覚しているという学術調査もあります注6。そうした、なかなか便意がこない便秘には、2つのタイプがあると考えられています。  

    ・排便回数減少型の便秘

      なかなか便意がこない場合で、排便の回数も少ない場合は、排便回数減少型の便秘かもしれません。このタイプの便秘の人は、文字通り排便の回数が減っていて、原因別に蠕動運動が弱かったりしておこる大腸通過遅延型(弛緩性便秘ともいいます)の便秘と、便のカサが足りない大腸通過正常型の便秘に分かれます。   関連リンク:ブログ記事「便秘の種類と原因」   蠕動運動が弱まっている大腸通過遅延型の場合は、朝起きて一杯の水を飲む、朝食をしっかり摂る、規則正しい生活をおくる、運動をする、ストレスをためない、といった生活上の工夫が、腸を動かす助けになります。そして、毎日の排便リズムが整うように、便意を感じたらすぐにトイレに行くようにしましょう。こうした工夫だけでは便秘が改善しない時には、市販の便秘薬を活用するのも有効です。   便のカサが足りない大腸通過正常型の便秘の人は、食事の量や、食事の中に含まれる食物繊維が足りていないのかもしれません。ダイエット中にこうした便秘が起きることもあります。食物繊維は、体重を増やさずに便のカサを増す働きがありますので、このタイプの便秘の方は、食事にあと一品食物繊維豊富な副菜を足すなどの工夫をしてみてはいかがでしょうか。   関連リンク:ブログ記事「ダイエットと便秘」/「腸内環境と便秘 ② 発酵食品やオリゴ糖、食物繊維、整腸薬の活用」  

    ・便意が感じにくくなっている

      また、蠕動運動や食事の内容に問題がないのに、便意を感じる直腸のセンサーが鈍くなって便秘になっていることも考えられます。忙しかったりして便意を我慢することを繰り返すうちに、直腸の知覚が低下しているのかもしれません。自覚がある方は、今後はトイレを我慢しないようにしましょう。今溜まってしまっている便を出すためには、市販の便秘薬や、浣腸を活用することもよいかもしれません。このタイプの便秘は、トイレを我慢しがちな学童にもよく見られます。   関連リンク:ブログ記事「子供の便秘について」   高齢者などでは、加齢で直腸の知覚が低下してくるとで、便が漏れるようになることもあります。このタイプの便秘は、排便困難型と呼ばれるカテゴリーに分類されます。直腸性便秘と呼ばれることもあります。  

    (2)便意があっても、スッキリと排便できない場合

      便意があってもスッキリ排便ができないのも、つらいものです。出そうで出ない、こうした場合は、排便困難型の便秘が疑われます。便が硬すぎるか、排便機能自体に問題があるのかもしれません。   便が硬すぎるのは、(1)の中で取り上げた排便回数減少型の便秘と同じで、便が長く大腸内に留まりすぎていることが原因です。朝起きて一杯の水を飲む、朝食をしっかり摂る、規則正しい生活をおくる、運動をする、ストレスをためない、といった生活上の工夫が、腸が動くのを助けになります。市販の便秘薬を活用するのも有効です。また、水分摂取量が足りていない人は、水を積極的に飲むようにしましょう。あと、腹筋が弱っているなどの理由で、いきみの時の腹圧が弱くなっているとスッキリしません。腹筋を鍛えることも、便秘対策の1つです。   色々ためしても便意が感じられるようにならない・便が硬くないのに排便できない場合は、機能性排便障害の可能性があります。 排便に必要な、直腸や肛門の機能自体が損なわれている状態です。この場合には、専門的診療が必要ですので、お医者様に相談するようにしてください。   また、ストレスによって便秘や下痢をくりかえす過敏性腸症候群(IBS)や、直腸瘤などの器質性疾患(組織のかたちが変わってしまうような疾患)に伴う便秘については、本稿で触れられていません。これらについても気になる方はお医者様に相談してください。   ◇◇◇   便秘対策に市販の便秘薬の力を借りる場合は、服用量を上手に調節してバナナ便がでるようにすると、腸に負担が少なくなります。強すぎる薬を漫然と使い続けないようにしましょう。   関連リンク:複方毒掃丸ブランドサイトおすすめの服用方法複方毒掃丸サンプルお申込受付フォーム  複方毒掃丸は、6種類の生薬が自然に近いお通じを促す便秘薬です。小さな丸剤なのでのむ量を調節しやすく、ちょうどよいお通じを目指せます複方毒掃丸    

    ■腸脳相関と便意?~本とコーヒー~

      近年、腸脳相関(ちょうのうそうかん)という言葉が使われることが多くなりました。これは、脳と腸管に存在する神経系と腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)が、自律神経系、内分泌系、免疫系を通じて互いに影響を及ぼし合っていることを言いあらわす言葉です。   便意に関しても、大脳からの信号が影響を与えているのではないかと考えたくなる不思議な現象がいくつかあります。胃結腸反射のような機械的な反射以外にも、腸の運動を促進するか、排便中枢に作用するかして便意を促す「もの」がいろいろあるようです。やや通俗的な話題ではありますが、この項では、そうしたものを2つご紹介します。   日本で良く言われる便意を促す「もの」とは、本の匂いです。古本屋や図書館の匂いで便意を催す人が一定数いるようです。これは本邦において長らく言われていることで、マスメディアやネット上においては「青木まりこ現象」という名前までついています。ちなみにこの言葉は、1985年に雑誌『本の雑誌』(本の雑誌社)で命名されてひろまったもので、青木まりこさんとは、書店で便意を催すことに同誌上で初めて言及した人物のお名前です。この現象は広く共感を集めているようで、定期的に話題に上がりますが、その機序は解明されていません。本の匂いが、気持ちの高ぶりや緊張感、そわそわした気分、ある種の条件反射といったものを引き起こし、これが便意につながっていると考えられますが、もしそうだとしたら、大脳から腸への作用といえそうです。 本の虫のイラスト(男性・触角なし) 欧米においては、本ではなく、コーヒーで便意が引き起こされる人が多いようです。こちらは日本での本の匂い以上にポピュラーなようで、ある程度まで学術研究もおこなわれています。1990年に英国で発表された論文によると、92人の人に事前調査をしたところ、約3割の人が「自分はコーヒーで便意を促される」と答えました。そして事前調査対象者のうち何人かに計測器を直腸から大腸まで挿入して実際にコーヒーを飲んでもらったところ、「便意を促させる」と答えた人たちの腸は飲んだ数分後から動き出し、「便意を促されない」と事前に答えた人たちの腸は動かなかったのです。普通のコーヒーでも、カフェイン抜きのコーヒーでも似た傾向を示しました注7。また、別の研究によれば、1杯のコーヒーが腸を動かす作用は、1000キロカロリーの食事をとったときの胃結腸反射に相当するといいます注8。なぜそんな作用が欧米の人々に(筆者の周りでは聞いたことがありません)起こるのか不思議ですね。機序はわかっていませんが、専門家は恐らく腸脳相関によるものだろうと考えているようです注9コーヒーのイラスト「コーヒーメーカーとコーヒーカップ」   他にも、文化が違えば別の「もの」が便意をさそうのかもしれません。もし大脳の力で便意を呼べるのなら、修行を重ねることによって、実物がなくても、本の匂いやコーヒーの香りを想像するだけで腸を動かすことができるようになるかも…?と思ってしまいますね。    

    ■便意と排便に関するヒント

      最後に、まとめに代えて本稿に登場した便意と排便に関するヒントを箇条書きにしておきます。皆様が毎日スッキリできることを祈っております! 1.朝食をしっかり食べる。 2.便意がきたらトイレを我慢しない。 3.排便時は、直腸と肛門が一直線に近くなるよう、考える人のポーズが良い。 4.ダイエットなどによる食物繊維不足に気をつける。 5.朝起きて一杯の水を飲む。水分が足りない人は水を積極的に飲む。 6.「いきみ」には腹筋力も大切。 番外:人によっては、特定の状況で、大脳からの刺激による便意を感じることが、あるかもしれない。 (最終更新日:2022年2月28日)   注1:  F Narducci et.al., Twenty four hour manometric recording of colonic motor activity in healthy man, Gut1987 Jan ; 28(1) : p17-25. 注2:  Jordan C. Malone, Physiology, Gastrocolic Reflex,  StatPearls [Internet], Last Update: May 9, 2021.(2022年2月22日アクセス)注3:  G Bassotti et. al., Colonic motor response to eating: a manometric investigation in proximal and distal portions of the viscus in man, Am J Gastroenterol. 1989 Feb ; 84(2) : p118-22. 注4, 槌野 正裕 ほか,  排便姿勢と直腸肛門角,排出量の関係  排便造影検査(Defecography)による研究, 理学療法学 2011 ;  Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会抄録集)注5: 本項の参考文献:日本消化器病学会関連研究会ほか編『慢性便秘診療ガイドライン 2017』南江堂 2017年 注6:  H Ohkubo et al., Difference in Defecation Desire Between Patients With and Without Chronic Constipation: A Large-Scale Internet Survey, Clin Transl Gastroenterol. 2020 Sep ; 11(9 ): e00230.  注7:  S R Brown et. al.,  Effect of coffee on distal colon func. Gut. 1990 Apr ; 31(4) : p450-3. 注8:   S S Rao et. al., Is coffee a colonic stimulant?  Eur J Gastroenterol Hepatol. 1998 Feb ; 10(2) : p113-8.   注9:  Oregon Health and Science University 教授のDr. Robert MartindaleのThe New York Timesの取材に対するコメント。Alice Callahan, Why Does Coffee Make Me Poop? The New York Times,   写真:便意は、目に見えない体内から届くありがたいシグナルです。同じようにありがたく感じた、夜桜の合間に見える月の光の写真をタイトルに用いてみました。   とこと 最後までお読みいただきありがとうございます。記事がお役に立ちましたら、SNSでもご共有いただけますと幸いです! 毒掃丸毒掃丸整腸薬のお買い求めは全国のドラッグストア・通販サイトで。見つからない場合は「毒掃丸をください」と申し出てください。こちら(SHOPどくそうがん)でも販売しております→ショップどくそうがん | 便秘薬の毒掃丸 山崎帝國堂のネットショップ (dokusougan.jp)

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  • 便秘と運動

    2021.08.01
    運動は便秘解消に効果的で、また運動不足は便秘の原因になる~~皆さまも一度は聞いたことがあるはずです。でも、そうとは知っていながらも、実は十分な運動ができていない…そんな方も多いのではないでしょうか。運動は、便秘のセルフケアの大事な要素で、ご自身の生活スタイルにあう形でしっかり習慣化していくことが大切です。今回は、運動と便秘の関係について、エビデンスに基づいて整理し、どんな運動をどのくらいするのが良いのか、見てみたいと思います。

    ■運動と便秘の関係

      運動の減少が便秘の悪化につながることと、運動の実行が便秘解消に有効であることを示すデータは、多く存在しています。例えば、食べ物が大腸を通過する時間(大腸通過時間)は、運動をしたほうが短くなること、よく歩くことでカプセル内視鏡の排出率が向上すること、また運動量が減った人に便秘の症状が増えてること、などといった報告があります注1。便秘に悩んでいる人は、積極的に運動をするべきでしょう。運動は、立派な腸活なのです!   運動が便秘を改善する理由としては、(1)運動による刺激が腸管運動を促進し、大腸の内容物が直腸にむけて移動しやすくなることや、(2)運動によりリラックスでき、自律神経のバランスが改善し、それが日々の腸管運動のリズムを整えてくれること、の2つが考えられています注2。加えて、排便のために「いきむ」時に、腹筋で腹圧を高める必要があるため、腹筋を鍛えることも便秘を改善させると、広く一般的に考えられています。  

    ■どんな運動を、どれだけすればよいの?

      このように、運動が便秘の改善に効果があることはかなり確実だと言える一方で、どんな運動で実際に効果がでるのかは研究が豊富とはいえません。まず、網羅的に様々な運動が便秘をどの程度解消するかを比較した研究はありません。ただし、ジョギングなど有酸素運動が便秘を改善するという研究結果がいくつかあり、気功やウォーキングなどの有酸素運動が便秘を改善したことを示す海外のメタ解析が存在しています注2。コロナ禍という時節柄、運動を室内で行う方も多いと思いますが、その場合は、スペースが限られる中で効率よく運動をしたいものです。先に挙げたように、便秘対策として行う運動は、動作の際の刺激で腸管を動かすことも期待していますから、体幹をひねったり腹部に圧がかかるような動作がお勧めです。そして運動後でも構わないので、腹式呼吸も組み込むことができたら、より自律神経の働きも整うでしょう。中長期的な便秘対策としては、腹筋を鍛えることも意識してみましょう。   便秘改善のための運動 表は本記事の内容より当社作成   また、どれほどの運動を勧めるかについては、明確なエビデンスがなく、従って医学的な目安はありません注1。ただ、ある程度継続的な運動が必要そうであることは、データから推察することができそうです。慢性便秘症の女性患者を対象とした、便秘のリスク因子に関するアメリカの研究注3では、日常の運動の頻度が便秘にどの程度影響するかを統計的に分析しています。論文のデータ(下の表)によると、週に一度も運動しない人が便秘である割合を1とすると、週2~3回運動をする人では0.68、毎日では0.56と、運動の頻度が上がるに従って便秘を訴える人が減っていく傾向が見て取れます。 運動頻度と便秘 *multivariate   表は Laurent Dukas, et al: Association between physical activity, fiber intake, and other lifestyle variables and constipation in a study of woman. Am J Gastroenterol 98:1790-1796,  2003より作成   1度に行う運動量については、便秘に特化したエビデンスはまだないようです。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動基準2013」というガイドラインでは、健康全般のために30分以上の運動を週2回以上行うことを推奨しており、一つの目安になりそうです注4   便秘解消にむけたご提案: ジョギングやウォーキングのような室外の有酸素運動、あるいは気功・ヨガ・室内体操などを、1回30分以上を週2回以上、行うことを心がけてみてはいかがでしょうか。   なかなかハードルが高いように見えますが、最初からこの水準を目指す必要はありません。まずはできることから始めることが大切です。また、腸活や、腸活を含む便秘のセルフケアのメニューは、運動だけではありません。本ブログの腸活のタグと、便秘解消のタグにある各記事もぜひ参照していただき、ご自身に合った便秘対策を行ってみてください。また、毒掃丸整腸薬で腸活をサポートしてあげることや、便秘の症状が気になるようになったら、便秘薬・毒掃丸の助けを借りることも併せてご検討ください!   (最終更新日:2022年3月22日)   注1:日本消化器病学会関連研究会,慢性便秘の診断・治療研究会:慢性便秘症診療ガイドライン 2017.南江堂,2017 p.60 注2  高野 正太: V.慢性便秘症に対する食事療法、運動療法,、理学療法,  日本大腸肛門病会誌 第72巻10号  621-627,2019 注3:Laurent Dukas, et al: Association between physical activity, fiber intake, and other lifestyle variables and constipation in a study of woman. Am J Gastroenterol 98:1790-1796,  2003 注4:前掲の「慢性便秘症診療ガイドライン 2017」でも「健康づくりのための身体活動基準2013」の活用を推奨している。   ひとこと 最後までお読みいただきありがとうございます。記事がお役に立ちましたら、SNSでもご共有いただけますと幸いです! 毒掃丸毒掃丸整腸薬のお買い求めは全国のドラッグストア・通販サイトで。見つからない場合は「毒掃丸をください」と申し出てください。こちら(SHOPどくそうがん)でも販売しております→ショップどくそうがん | 便秘薬の毒掃丸 山崎帝國堂のネットショップ (dokusougan.jp)

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  • 3回にわたってお届けしている「腸活」についての話題ですが、初回は腸活全般について、2回目は腸に良い食生活について書かせていただきました。そして3回目にあたる今回は、食べる以外の腸活について、ご紹介してまいります。   「腸活」とは一般に、腸内環境を整えたり腸の働きをよくすることで、便秘を改善したり、より健康な全身状態を目指したりすることを指します。この腸活の中には、リラックス、運動、マッサージ、ツボの刺激…など食べる以外にも、色々な方法があります。その多くは、健康法としての歴史も古く、実践している人も多くらっしゃるのではないでしょうか。こうした活動は、どれも「意思の力では動かすことができない腸に、動いてもらう」ものであるという共通点があります。  

    ■腸への語りかけ

      食べる以外の腸活とは、一言でいうと大腸への語りかけだと思っています(もちろん比喩ですが)。   私たちの腸はいわば筋肉の長~い管みたいなものです。腸の筋肉は、輪状に収縮し、その収縮する場所が食べ物を押し出すように口側から肛門側へと移っていく蠕動(ぜんどう)と呼ばれる運動をして、消化物を運んでいきます。でも、他の多くの内臓同様に、意識して腸を器用に動かし食べ物を運んでいくことはできません。誰もが、便意がおこるまでの長い時間、天から自らに与えられた腸の働きを信じて、任せきりにするしかないのです。   筋肉の管でもある腸は、1.脳とつながっている自律神経と、2.内容物に対して腸に反射的な運動を起こさせる腸壁内の大量の神経、の2種類が、互いに協調することで制御されています(これらの神経系統を、腸管神経系といいます)。私たちが、動いてくれない自らの腸を何とか動かそうとするときには、これらの神経系に信号を与えてあげることが必要です。しかし、何しろ手足のように意識して「動け」と念じても、信号を与えることができません。さてどうするか… 以下に、あの手この手で大腸各所の神経に「おーい、動け、動いてくれ」と呼びかる方法をご紹介します。どれも広く知られていますが、これらは腸への語りかけみたいなものですから、腸との非言語コミュニケーションだと思って自らの腸を慈しむ気持ちで行っていただけたらと思います!   では、代表的なアクティビティを4種類取り上げてみましょう。

    1.リラックスして自律神経を整える

      リラックスして自律神経を整えることで、腸の動きは良くなります。私たちの日々の生命維持を支えてくれている自律神経には、活発に活動しているときに高まる交感神経と、リラックスしているときに高まる副交感神経の二種類があって、両方の神経の活動量のバランスによって、内臓の動き具合を調節しています。腸の活動は、リラックスしているときに高まる副交感神経の働きが優位になっているときに、より活発に動くのです。   お勧めなのが腹式呼吸や深呼吸です。吸う時の2倍程度の時間を掛けて息を吐くことで、副交感神経の働きが高まることが多くの実証実験で分かっています(例えばこちら)。まずは5分でも続けて行い、実際にリラックスが得られることを実感してみましょう。リラックスが実感できたら、隙間時間や緊張状態のときにやってみたり、リラックスタイムの質を更に上げるためにどんどん活用してみてください。自律神経の働きが整ってくると、腸の動きも正常化してくるはずです。   *ストレスで頻繁に便秘や下痢をくりかえす人は、過敏性腸症候群(IBS)かもしれません。リンク先のチェックリストで痙攣性便秘に該当した方は、お医者様に専門的指導を受けることも検討してください。

    2.運動をする

      運動の減少が便秘の悪化につながることと、運動(特に有酸素運動)の実行が便秘解消に有効であることを示すデータは、多く存在しています。体を動かすことで、腸の働きは良くなります。動きが良くなる主な理由としては、運動することで自律神経が整うことと、運動自体で腸管が刺激されることです。   参考文献:高野 正太「V.慢性便秘症に対する食事療法、運動療法,、理学療法.」 日本大腸肛門病会誌 第72巻10号0621頁    また、長期間の運動習慣によってお腹周りの筋肉を鍛えられることも、便秘対策として有効です。私たちは、排便時には意識的に腹圧を高め、その力を利用して便を押し出してしているからです。   運動種目には、ウォーキングが推奨されることも多いですし、ジョギング、ヨガもお薦めです。   当社のお客様相談では、便秘に悩むお客様には体を動かすことを推奨しており、寝たきりやケガなどで運動ができない方には深呼吸だけでも意識的に行うよう伝えています。

    3.マッサージをする

      お腹をマッサージすることも、便秘改善に効果があるとされています(試験報告もあります)。特に「の」の字を描くように大腸をマッサージする方法は広く紹介されていますし、最近は「腸もみ」というコトバもよく見るようになりました。   先にも書いた通り、腸壁の神経は、内容物に対して反射的に運動をおこし、食べ物を運んでいきます。従って、腸をマッサージすることによって蠕動運動をおこすサポートをしたり、もむことの気持ちよさからリラックスできる(→自律神経が整う)ことが期待できそうです。痛みを感じない程度にもむようにしてください。体をねじる動きも、同様におすすめです。     但し、大腸の配置は一般に、皆が皆教科書通りなわけではなく、蛇行していたり、下部によっていたり個性があります。イラストの通りとは限りません。「の」の字マッサージが効かないこともあるかもしれません。   関連リンク:「便秘とマッサージ

    4.ツボ押しをする

      東洋医学伝統のツボ(経穴)は、神経経路の反応を通じて、痛みを緩和したり、内臓の働きを正常化させたりしてくれると考えられています。腸から離れている経穴を押して、腸の動きを改善してくれるのだとしたら、生理学的には自律神経の働きを通じてということになるでしょう。公益社団法人日本鍼灸師会のHPでも、
      身体には皮膚や筋肉などに刺激が加えられると自律神経の活動が変化し、自律神経が支配する臓器・器官の働きが反射的に調節される仕組みも備わっています。鍼や灸の刺激はその仕組みを利用して自律神経活動を変化させ、血管の調節をしたり臓器の働きを良くしたりします。 出展: 鍼灸の基礎知識 – 公益社団法人 日本鍼灸師会https://www.harikyu.or.jp/acupuncture/acupuncture-02/#i-8 2021年5月13日アクセス
      とあります。   便秘によいツボの代表的なものとして、2つ挙げておきます。(便秘に効くツボというのは便秘対策本などの定番ではありますが、個別にツボ押しが便秘に効くというエビデンスは見つけられませんでした。)   (1)合谷(ごうこく):万能のツボとも称されている非常にポピュラーなツボです。頭痛や肩こりによいとされていますが、便秘にも良いとされていることから、多くの便秘薬メーカーのおススメのツボになっています。人差し指と親指の合わさるところから少し指先よりの痛みを感じるくぼみを親指で挟むようにして押します。   (2)天枢(てんすう):胃腸の働きを整えてくれる代表的なツボです。おへそから指2~3本分はなれた両側です。やさしく押すだけでも腸が刺激されるのが実感できます。   いかがだったでしょうか?皆さまが考える腸活のイメージからは少し外れているものもあったかもしれませんが、どれも簡単にできるものばかりです。便秘改善への効果がある程度期待できるうえに、賢く楽しむ分には費用もあまりかからず、比較的安心して取り組めます。ぜひぜひ、様々な腸活にはげんでいただきたいと思います!   ◇   ◇   ◇   ◇   過去2回の腸活の記事の内容は下記のとおりです。   第1回 目次 腸活について① ■腸活とは、なにか? 腸活の目的 腸活のアプローチ (A)善玉菌のチカラを借りるための「食べる腸活」 (B)それ以外の方法で腸の動きを正常にする、「食べる以外の腸活」 腸活の具体的な方法 (A)「食べる腸活」(=腸によい食生活) (B)「食べる以外の腸活」   第2回 目次 「「腸活」について② 腸に良い食生活 実践レシピ付き 1.朝食を食べる 2.ヨーグルトなどの乳酸菌を摂る 3.食物繊維を摂る 4.発酵食品を摂る 5.オリゴ糖を摂る 実践!腸活レシピ     写真:腸活を実践していると、美しい景色に出会えることもあります。爽やかな風が吹く日に、ゆっくり東京都の多摩川沿いをジョギングしていた時の写真です。 (最終更新日:2023年1月11日)   ひとこと 最後までお読みいただきありがとうございます。記事がお役に立ちましたら、SNSでもご共有いただけますと幸いです! 毒掃丸のお買い求めは全国のドラッグストア・通販サイトで。見つからない場合は「毒掃丸をください」と申し出てください。こちら(SHOPどくそうがん)でも販売しております→ショップどくそうがん | 便秘薬の毒掃丸 山崎帝國堂のネットショップ (dokusougan.jp)

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