イタリア料理やスペイン料理に欠かせないオリーブオイルは、とても健康によい良質なオイルで、便秘を改善することでも知られています。この記事では、オリーブオイルとはそもそもどんなもので、なぜ・どのように健康や便秘に良いのかを、少し詳しく解説します。
オリーブオイルとは、モクセイ科の常緑高木であるオリーブ(学名:Olea europaea)の果実から抽出した、フレッシュな風味と香りが特徴のオイルです。伝統的に、主に地中海沿岸で使われてきました。イタリア料理やスペイン料理の広まりとともに、世界中で消費されるようになり、今では私たち日本人にも、とても身近な存在になっています。
オリーブオイルは、木からとってきたオリーブの果実を、すり潰したり絞ったりし、それを遠心分離などの方法で分離させるだけで抽出できます。簡単に作ることができるため、古くから利用されており、その歴史は数千年(諸説あり)とされ、古代ギリシャや古代ローマでも広く使われていました。
現在、世界での生産量はやはりスペインやイタリアで多く、日本はほぼ全量を輸入に頼っています。なお、日本の植物油の生産量を原料別にみてみると、なたね油・大豆油・とうもろこし油が多いのですが(農林水産省・2019調べ)、これらの原料は、種や、種の一部(胚芽)です。それに対し、オリーブオイルは果実から作られています。そのため、果肉の成分や、皮に含まれるポリフェノールなどもそのまま油に溶け込んでいます。
オリーブの果実を絞っただけのオイルを「バージンオイル」といい、そのうち最高品質(風味がよく酸度が低い)のものを「エクストラバージン」といいます。精製したものは、「オリーブオイル」、または「ピュアオリーブオイル」と言います。オリーブオイルは様々な料理で活用されていますが、オイルそのものの風味がモノをいう料理には、「エクストラバージンオイル」を使うとよさそうです。
オリーブと、ノアの箱舟
オリーブは、ヨーロッパからオリエントにかけての地域では、とても身近な樹木でした。そのため、キリスト教の聖典である聖書においても、オリーブは頻繁に登場します。旧約聖書のノアの箱舟の物語では、大洪水が引きつつあるとき、ノアがまわりの様子を探るために舟から鳩を放ち、やがてその鳩がオリーブの葉をくわえて戻り、陸地があることを知らせるシーンは特に印象的です(『創世記』第8章)。古来ヨーロッパ文明ではオリーブは平和の象徴とされ、その図柄は、現代では国際連合の旗などに使用されています。
オリーブオイルには、腸の動きを良くしてくれる効果と、便をなめらかにする効果が期待できます。結果として、便通がよくなり、便秘を解消・改善してくれるかもしれません。
下の表のように、オリーブオイルには、オレイン酸という物質が多く含まれています。オレイン酸は、長鎖脂肪酸といって、構造が複雑なタイプの脂肪で、そのため他のオイルのように小腸で吸収されず、そのまま大腸に届き、大腸の壁を刺激します。オレイン酸に刺激されると、大腸の動きが活発になり注1、滞っていた大腸の内容物は直腸まで運ばれやすくなります。その結果、便秘の改善が期待できるのです。
また、オレイン酸のような大腸まで届く油分は、便が大腸の中でなめらかに動く滑腸作用があると考えられており、昔からある一部の漢方便秘薬(麻子仁丸、潤腸湯)にも、オレイン酸を含む植物性の脂分が入っています。
関連リンク:「生薬の便秘薬と、漢方の便秘薬」
成 分 | 構成比 |
オレイン酸 | 77% |
パルミチン酸 | 10% |
リノール酸 | 5% |
その他 | 5% |
合計 | 100% |
表:オリーブオイルの成分 日本食品標準成分表2020年版(八訂)
国内で流通している家庭用のオリーブオイルの多くは、風味のよい、最上級のグレードの「エクストラバージンオイル」ですが、やや安価な「ピュアオイル」にも、オレイン酸は同様に入っており、便秘改善効果はあります。なお、オレイン酸だけに着目するなら、ハイオレックスタイプ(オレイン酸が多いタイプ)のベニバナ油にも同じくらいのオレイン酸が含まれており、こちらも便秘改善が期待できそうです。
ただ、便秘を改善してくれるオリーブオイルも、他の食べ物同様、摂りすぎはよくありません。オリーブオイルは風味がよいので食べ物に沢山含まれていてもあまり気になりませんが、他の植物油と同じくらいカロリーが高く、100gで894kcal注2にもなります。オレイン酸以外の含有成分の中には、コレステロールを高めるものもありますので、過剰摂取には気をつけましょう。1日に大さじ1~2杯程度が適量と考えられています。
◇ ◇ ◇ ◇
便秘の解消・改善や予防には、普段の生活の中で、いろいろな工夫や努力を重ねていくことが大切です。オリーブオイルだけを過剰に摂るのではなく、栄養バランスに気を付けながら、下記リンクも参照いただき、便秘に良いと言われる様々な食材を合わせてとるようにしましょう。
★オリーブオイル以外の、便秘によい食べ物と飲み物
「便秘によい食べ物」
参考リンク:「野菜と便秘の話」/「便秘を改善する食材:バナナ」/「便秘を改善する食材:オートミール」/「便秘を改善する食材:海藻」/「便秘によい飲み物」
オリーブオイルは、便秘を改善するだけでなく、健康全般によいことでも知られています。例えば、オリーブオイルを多く摂取している人は、心疾患・がん・神経変性疾患・呼吸器疾患で死亡するリスクが低く、長生きしているという大規模調査の報告があります注3。また、オリーブオイルの主成分であるオレイン酸は、血液中のコレステロール、特に悪玉(LDL)コレステロールを増加させないと考えられているほか、オリーブオイルには血圧を下げる作用があることも報告されています注4。さらには、オレイン酸だけでなく、エキストラバージンオリーブオイルに多く含まれているポリフェノールにも心血管疾患を予防する働きがあることが指摘されています注5。
野菜や食物繊維の摂取に匹敵するような、はっきりとした健康増進効果だと思います。実際、105歳まで医療の現場に立たれた、聖路加国際病院の故・日野原重明医師(2017没)も、毎朝オリーブオイルを飲んでいたそうです。
最後に、オリーブオイル単体ではなく、オリーブオイルを含めた地中海沿岸の食生活そのもの(地中海食)が、長寿をもたらしているという考え方があるので、簡単にご紹介したいと思います。
1980年代のアメリカで、イタリア・スペイン・ギリシャなどの地中海沿岸の国の人々が、高脂肪食を食べているにもかかわらず長寿であることに注目が集まりました。地中海沿岸での食の特徴は、肉などをとりながらも、発酵食品や、魚介類、野菜や果物、穀物などをバランスよく摂り、オリーブオイルを多用することです。こうした食生活を分かりやすく表したものが、下に表にした「地中海食のピラミッド」です。元の図は△型で、食べる頻度が少ないものが△の上に、多いものが下に配されています。
地中海食のピラミッド(元の図は、頻度が多いものを下に配した三角形)
食べる頻度 | 食品 |
月に数回 | 牛肉や豚肉、お菓子やケーキなどのデザート |
週に数回 | 鶏肉、卵、チーズ、ヨーグルト |
毎週少なくとも2回 | 魚、シーフード |
毎日の毎回の食事 | 野菜、果物、全粒粉、オリーブオイル、豆、ナッツ類、マメ科植物および種子、ハーブやスパイス |
毎日 | 運動、誰かと一緒に食事をする |
適度に飲む | ワイン |
毎日飲む | 水 |
出典:OLDWAYS“MEDITERRANEAN DIET”/公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「地中海食の特徴」(2022年11月5日閲覧)の図を参考に作成
この表で面白いところは、食材以外の要素も要素に含まれていることです。バランスの良い食事・オリーブオイルをはじめとした体に良い食材のほかに、日々の運動や、水分の摂取、リラックスの要素(歓談や適度なお酒)も健康食の一部だと考えられていることが分かります。
このピラミッドをご覧になって、皆様はどう思われるでしょうか?たとえ、毎日のオリーブオイル摂取が有意に寿命を延ばしたとしても、その一方で食物繊維が足りなかったり、運動が不足していたり、ストレスがたまったりしていたら、それらが足をひっぱり、その分は寿命を縮めてしまうことに気付かされませんか。
便秘対策と同じで、健康の維持増進も、特定の食材を摂ることに留まらずに、普段の生活の中でいろいろな工夫や努力を重ねていくことが大切です。オリーブオイルを適量摂り、栄養バランス全体にも気を付けながら、よい食生活をおくることを心がけたいものですね。
*オリーブオイルは紫外線で劣化するので、保管する時には冷暗所におくようにしましょう。
◇ ◇ ◇ ◇
複方毒掃丸は、6種類の生薬が自然に近いお通じを促す便秘薬です。小さな丸剤なのでのむ量を調節しやすく、ちょうどよいお通じを目指せます。オリーブオイルだけでは便通が改善しないときや、食生活や生活改善の努力を重ねても便秘が改善しない場合には、薬の力を借りることも必要です。まずはサンプルをお試しください。
関連リンク:複方毒掃丸ブランドサイト/おすすめの服用方法/複方毒掃丸サンプルお申込受付フォーム
関連リンク:「便秘薬をのむ時に大切なこと」
注1:Spiller RC, et al, Decreased fluid tolerance, accelerated transit, and abnormal motility of the human colon induced by oleic acid. Gastroenterology. 1986 Jul;91(1):100-7. 注2:日本食品標準成分表2020年版(八訂)注3:Marta Guasch-Ferré, et al., Consumption of Olive Oil and Risk of Total and Cause-Specific Mortality Among U.S. Adults, Journal of the American College of Cardiology,2022; 79(2): p101-112, 他にもオリーブオイルが様々な疾患のリスクを下げるという報告が多くある。注4:Ruíz-Gutiérrez V, et.al. Plasma lipids, erythrocyte membrane lipids and blood pressure of hypertensive women after ingestion of dietary oleic acid from two different sources. J Hypertens. 1996 Dec;14(12):1483-90. 注5:Francesco Visioli, et al., Oleuropein protects low density lipoprotein from oxidation, Life Sciences, 55(24), 1994, p1965-1971.
ひとこと
最後までお読みいただきありがとうございます。記事がお役に立ちましたら、SNSでもご共有いただけますと幸いです!
毒掃丸のお買い求めは全国のドラッグストア・通販サイトで。見つからない場合は「毒掃丸をください」と申し出てください。こちら(SHOPどくそうがん)でも販売しております→ショップどくそうがん | 便秘薬の毒掃丸 山崎帝國堂のネットショップ (dokusougan.jp)