日頃見かける便秘薬のTVCMには、たいてい女性の大人のタレントが出演しています(気がつかれている人も多いのではないでしょうか…)。それは、便秘薬の購買層のボリュームゾーンが、成人女性だからです。世の中では、老若男女 沢山の人が便秘に悩まれていますが、思春期から壮年期の長い成人期(およそ50年)においては、便秘の症状は女性にずっと多くあらわれます。便秘は、女性の美容の大敵!というイメージの背景には、こうした統計的な事実があります。しかし、面白いことに、それ以外の年代では、女性の方がずっと便秘になりやすいわけではありません。男女それぞれにおいて、便秘発生の頻度は、人間の一生のあいだの体の変化をうけて、変化していきます。今回の記事では、性別の違いが便秘とどう関わっているのかを、子供時代・成人期・高齢期の3つに分けてみていきます。それぞれの時期について、特徴的な原因や、便秘対策のポイントについても簡単に触れていきたいと思います。
目次
まず最初に、全体を把握するために、全年齢でみる便秘に悩む人の男女比を見ておきましょう。便秘に悩む人がどのくらいいるのかは、統計によって差があり、実態は完全にはわかっていません。今回の記事では、ライフステージによって便秘に悩む人の率が男女で異なることを示していきますから、いくつもある調査のうち、年代・性別ごとに有訴者数(便秘で悩んでいると言っている人の数)が網羅されていて、信頼度も高い「国民生活基礎調査」という国の統計から数字を拾うことにします。この統計から、5歳ごとの男女別の便秘有訴者数(1000人あたり)が出せるので、これを、同じ年の5歳ごとの男女別人口推計にかけ合わせて、日本の全年齢における「便秘で悩む人の男女比」を推計してみました。結果は、下のグラフのとおりです。便秘に悩む人の約2/3が女性であるということが分かります。
令和元年国民生活基礎調査の便秘有訴者数(全国・5歳階級・男女別・症状は複数回答)と、令和元年総務省人口推計(全国・5歳階級・男女別)から筆者作成・以下同
なお、性・年齢別の便秘有訴者数をそのままグラフにすると、次のようになります。パッと見てわかるように、子供のうちは便秘が少なく、男女の差も小さいです。思春期から壮年期は、女性の便秘がぐっと多くなって、男性の便秘はあまり増えません。60代から男性の便秘が増え始め、高齢になると男女ともに便秘の人が急激に増えます。こうした違いがなぜ生じるか、次項以降でくわしく見ていきましょう。
関連リンク:「ニッポン人の便秘事情を俯瞰する」
「国民生活基礎調査」によると、0~9歳の子供の便秘には、男女差はあまり見られません。この統計は、子供の便秘について調べるために設計されたわけではないため、医学的な事実を示しているとは限りません。しかし、海外の研究でも、子供の便秘に男女差はみられないと報告されています注1。ちなみに、当社が独自に実施したインターネット調査注2でも、便秘がちな子供(3歳~12歳)の男女比は女55%、男45%でした。
子供の便秘に男女比がないのは、まだ体のつくりやホルモン分泌に大きな違いがないからです。子供の便秘は、不規則な生活リズムや、食物繊維不足、水分の不足など様々な原因でおきますが、幼児期から学童期の子供の便秘で目立つのは、意識的・無意識的に排便を避けることによる便秘です。例えば、トイレトレーニング期だと、硬い便で痛い思いをしたり、無理なトレーニングで正しい排便習慣が身に着けられなかった場合にそうなります。また、学童期だと、学校のトイレに行きたくなくて便意が来るたびに排便を我慢し、便秘になる場合があります。このような便秘には、男女による発生頻度に大きな違いはないのでしょう。
子供の便秘対策には、男女の違いはなく、①規則正しい生活を心がけ、②食物繊維や乳製品をバランスよく摂り(バナナやリンゴ、おイモ類など、子供の好みに合わせて増やしてみる)、③水分もしっかり摂るようにしましょう(子供は大人よりも体重当たりでより沢山の水分が必要です)。そして④毎朝の排便習慣をつけ、うんちを我慢しないことを教えてあげてください。小さな子供の場合は、トイレが上手にできた時によくほめてあげましょう。
関連リンク:ブログ記事「子供の便秘について」
成人期(思春期~壮年期)の便秘有訴者の性別比は、女性が7割と圧倒的に高くなっています。今回、10歳~15歳の人を成人期に入れたのは、便秘に関係が深い女性の初潮が12.3歳±1.3歳(平均年齢±SD)であることと、元の統計が5歳刻みであることから、成人期の便秘の特徴を捉えるためにより適切だと考えたためです。
便秘に男女差が現れるのは、10代に入ってからです。女性が初潮を迎えると、卵巣から分泌される二つの女性ホルモン、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)が、便秘にも関係してきます。エストロゲンには、排便をよくする働きがあるのですが、プロゲステロンは、流産しないように子宮を守るため、腸の動きを鈍らせるよう作用します。このためプロゲステロンの分泌の増える排卵日から生理前にかけて、便秘になりやすくなるのです。
また、体のつくりの面では、女性は男性と比べると腹筋まわりが弱いことから、排便の際のいきみが弱い場合があるといわれています。さらに、骨盤内の構造上、直腸瘤(ちょくちょうりゅう)などの排便障害がおこりやすいという点も挙げられます。
さらに、ダイエットなどで食事量が減らしてしまうと、便秘になりやすくなります。野菜や穀物に多く含まれる食物繊維は、人間の消化液では消化されないため多くが便の材料になります。また保水性が高いため、水を吸って膨らみ、便のカサを増します。そのため、食物繊維不足は便秘の原因になります。また、食事量の減少は、水分の減少にもつながります。食事量を減らすと便の水分も減り、便のカサが減ってしまいます。
関連リンク:ブログ記事「ダイエットと便秘」
妊娠中・産後の便秘と、便秘薬
妊娠中は、黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が増える影響や、子宮による圧迫で、便秘がひどくなります。また、産後は、いきみにくさや乳汁に水分がとられることなどから便秘になりやすくなります。これらの時期には、運動などの便秘対策も取りづらく、便秘薬に頼りたくなります。ただ、妊娠中や授乳期の服用は、特に注意が必要です。まずは、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。
女性は、黄体ホルモンの影響で大腸の蠕動運動が弱くなりがちです。普段から腸内環境を整えるような「腸活」を心がけ、腸を元気にし、便秘になる日を減らしましょう。善玉菌のえさになるような食品を多く摂ると、大腸の中で善玉菌が増えていきます。すると、これらの善玉菌の助けにより、大腸のエネルギー源となる「短鎖脂肪酸」を、消化中の大腸の内容物から、より多く取り出せるようになり、腸のコンディションがよくなります。
★善玉菌のえさになる食品の例
・ヨーグルト
・発酵食品:ぬか漬け・納豆・キムチ・味噌・醸造酢・酒粕・甘酒・チーズ
・オリゴ糖を多く含む食品:タマネギ・ニンニク・アスパラガス・キャベツ・ネギ・ゴボウ・豆乳・バナナ
・食物繊維を多く含む食品:海藻、果物、さといも、きのこ、オートミール、大豆、ゴボウ、穀類、野菜
それでも腸の動きが悪くなってしまったら、マッサージをしてみましょう。マッサージの効果は、多くの場合、長期間続けることで確認されています。例えば、1日15分・週5回の腹部マッサージを8週間続けたところ、便秘が改善されたというエビデンスがあります注3。マッサージは、すぐに効果がなくても気長にやるようにしましょう。
マッサージの方法は、①腹部を腸の内容物の進行方向に合わ せて「の」の字にマッサージ(上図)、②左右の脇腹を上下に揉む、③下腹部を上に押し上げるように圧迫し、大腸を刺激する、などが一般的です。
女性は腹筋力が弱く、また、体の構造上、排便障害にもなりやすいので、「プランク」や「ヒップリフト」で腹筋や骨盤底筋を鍛えるようにしましょう。下腹部が引き締まることで、ぽっこりお腹も改善できて、一石二鳥です。腹直筋や腹斜筋、腹横筋などの腹筋群を鍛えると、内臓下垂による下腹部のぽっこりは改善します。また、内臓を一番下で支える骨盤底筋も鍛えることで、特に出産を経験した女性の骨盤まわりのゆるみを予防します。
適度な腹圧や運動自体の刺激が、腸の動きを活発にしてくれますし、トイレでの排便時にいきむ力が増すことで、より便秘になりにくくなります。
関連リンク:ブログ記事「ぽっこりお腹と便秘」
たとえダイエット中でも、食物繊維をしっかりとることで、十分な量の便を作れるようにしましょう。食物繊維は、野菜や海藻やキノコ類でもよいですし、穀物ならオートミールもおすすめです。
関連リンク:ブログ記事「野菜と便秘の話」/「便秘を改善する食材:海藻」/「便秘を改善する食材:オートミール」
以上の便秘対策は、男性で便秘がちな人にも有効です。このほかにも(こちらも女性に限ったことではありませんが)、次のような便秘対策も併せて行うことをお勧めいたします。
★1日30分程度の有酸素運動を週2回は行う
★トイレを我慢しない
★腹式呼吸でリラックス
★朝起きてコップ一杯の水を飲む
関連リンク:ブログ記事「便秘と運動」/「便秘と便意」/「便秘とストレスの関係」/「便秘によい飲み物」
老化が始まると、便秘に悩む人の男女比は、再び変動します。女性は、更年期になると、ホルモン分泌が急減し、自律神経の乱れが生じやすくなります。夜になってもイライラ、ドキドキしてよく眠れなくなるのと合わせて、便を押し出す腸の動きも鈍くなります。エストロゲンの減少も、便秘になりやすい方向に作用します。一方、男性は50代から便秘を訴えるひとが多くなり、年を重ねるごとにその割合が増えていきます。男女ともに、便秘に悩む人が急増するのは、筋力の衰えがはげしくなる70代から。80歳をこえると、男女差はもうなく、そのうえ、どの年齢層よりも多くの男女が便秘になっていきます。
70歳を超えると、どんどん便秘の人が増えていくのは何故なのでしょうか。理由は、いくつもあります。
まず、高齢者は、大腸の動きが悪くなっており、内容物が通過するのに時間がかかり、そのため便秘になりやすいです。海外のある報告によると、高齢者16人(平均81歳)と若者16人(平均24歳)の大腸通過時間を調べたところ、高齢者は平均66時間、若者は平均39時間で、1.7倍の差があったといいます注4。大腸には、水分を吸収する働きがあるので、通過時間が長くなると、便がカチコチに硬くなり、便秘になってしまうのです。
また、高齢者は、便意を感じてから排便するまでの機能も衰えており、これも便秘が増える原因に挙げられます。例えば、便が肛門近くまで運ばれてきても、すぐにトイレに行きたいという気持ちにならなくなってしまいます。また、腹筋の衰えで、いきむ力も弱くなってしまいます。
その他に、食事量の減少や、水分不足、運動不足などの生活の変化も、高齢者の便秘の原因になります。
以上の理由は、どれも、男女どちらにも当てはまるので、高齢者の便秘には男女差がないのです。
高齢者の便秘対策は、完全に男女同一です。①特に必要なことは、動くことです。活動量を増やし、長めの距離を歩き、できるだけ筋肉量が減少しない様に心がけましょう。70歳以上の高齢者の、1日の歩数の目標は、男性6,700歩、女性5,900歩です。そして、②食事の量をしっかりととり、③飲み物も1日1.2ℓ飲むのが目安です。老化自体は、避けられないことですから、少しでも遅らせるように、前向きに便秘対策に励むことが大切だと思います。
関連リンク:ブログ記事「高齢者の便秘」
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注1:Maartje M van den Berg et al, Epidemiology of childhood constipation: a systematic review, J Urol. 2004 Jan ; 171(1) : p403-7 . 注2:2007年12月インターネットで実施。3歳から12歳までの子供をもつ母親6700人を対象に、子供の便秘の実態を調査。さらに、子供が便秘がちと答えた人の中から600人を抽出して詳細を調査。注3:Kristina Lämås, et. al., Effects of abdominal massage in management of constipation—A randomized controlled trial, International Journal of Nursing Studies, 2009; 46(6): p. 759-767. 注4:Jan L. Madsen, Jesper Graff, Effects of ageing on gastrointestinal motor function, Age and Ageing, 2004 March ; Volume 33, Issue 2 : p.154–159.
ひとこと
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