うんち(便・お通じ)は、体のコンディションを教えてくれる、大切な自分のお腹からの「お便り」です。うんちについてよく知れば、病気のシグナルに気づくこともできますし、快便を目指す方法も見えてきます。今回は、そんなうんちについてやや詳しくお話しし、便秘や下痢の時の便の状態についても触れていきます。そして、本ブログは便秘対策を目的としていますので、最後に便秘でよいうんちが出ずお悩みの方に、快便にむけたアドバイスもさせて頂きたいと思います。
目次
便の正常な便通の範囲は、重量は80~200gで、排便回数が週3回~日3回とされています注1。
現代日本人のうんちの1日量の実態調査は少なく注2、平均値などはよく分かりませんが、一般的には一日の便量は100~200gと言われています(例えば仮設トイレのタンク量などは大便1日あたり200gで設計されているようです)。そもそもうんちの量が日々変わるのは、皆様お気づきの通りです。難消化性の食物繊維を多く含む食生活(穀物主体など)をしていると、うんちの量は増えていきます。また、腸のコンディションや排便頻度などによって、同じ食生活でもうんちの量は増減します。
排便回数の実態ですが、5155人の日本人を対象にしたインターネット調査に基づく研究論文 注3によると、日本人は平均するとほぼ1日に1回の排便があるようです。但し、排便の頻度は人によってばらつきがあります。
日本人の排便頻度(週あたり) 注3:
8回以上 25.0%
3から7回 66.6%
0から2回 8.4%
平均排便頻度 6.9回
関連リンク:「ニッポン人の便秘事情を俯瞰する」
うんちの所要時間
複数の民間調査結果を見ると、トイレに入ってから排便を終えるまでの所要時間は5~6分の間が多いようです。トイレで一息ついたり、ゲームや読書をする人もいるでしょうから、これを純粋に排便時間ととらえてよいか、微妙です。一方で、実際に便が肛門から出るのにかかる時間は、もっと短いようです。外国での観察研究によると、ネコからゾウまでのさまざまな哺乳動物が、体の大小にかかわらず、ほぼ一定の12+/-7秒で便を排出しているといいます注4。屋外で慌てて排便することを想像してみれば、人間もその程度の時間で済ますことができそうに思えませんか?
うんちは、水分60~70%、腸壁細胞の脱落物15~20%、腸内細菌類10~15%、食物残渣5%で構成されています注1。それぞれの要素を簡単に解説します。
うんちの大半は水分ですが、飲んだ水や食べ物の中の水分がそのままうんちを形作っているわけではありません。人は飲食で1日に約2Lの水分を摂取しますが、消化管内では、口から入るより遥かに多い8L以上の消化液が分泌され、そのうえで小腸と大腸で10L近くの水分が吸収されています(つまり同じ水が内外を何回転も循環しています)。そして最終的な僅かな残りが、うんちに含まれるのです。見えない体内で、ずいぶんダイナミックな出入りが起きていると思いませんか?自分の体から出てくる消化液の量に驚かされますし、腸の調子の変化で下痢や便秘が起きるのも納得できますね。次の腸壁細胞の脱落物とは、主に腸の内側表面の、腸管上皮細胞の死骸です。この腸の内側の細胞の寿命は短く、場所によっては2~3日です。うんちの2割は自分の体のカスなのです。腸内細菌類は、主に腸内に棲みついている100兆個とも言われる細菌の死骸などです。多くの腸内細菌は、腸管表面の粘液層の中にいたり、線毛で粘液にくっついていたりしますが、うんちと一緒に排出されてしまう生きた菌もいます。うんちに菌がいっぱいいるのはそのためです(無害な菌も沢山いますが、感染症を引き起こす病原菌もいます)。食物残渣とは、主に食べ物の中にある難消化性の食物繊維です(それ以外の成分は、ほとんど消化吸収されます)。私たちは毎日10~20g程度の食物繊維を食事から摂取しており、消化液によってはもちろん、腸内細菌によってさえも分解されなかった、最後の残りがうんちの材料になります。食物繊維は保水力が高いので、摂取量を少し増やすだけでも便のかさを増すことができます。
このように、うんちは、前日食べたものの未消化分だけがそのまま出ているわけではなく、もっとダイナミックで複雑な人体と腸内細菌の働きにより作られているのです。
うんちの比重は1より少しだけ大きく、水にゆっくり沈みます。時々うんちが水に浮くことがありますが、大抵のケースは、腸内細菌によって生成されたメタンガスが含まれているからだと考えられます注5。メタンガスは、腸内ではありふれた無臭のガスであり、うんち全体がのどかに浮いていているような場合、健康上別に問題ありません。但し、注意が必要なのは、消化不良の、脂分が残っているように見える便片(脂肪便)が浮いている場合です。暴飲暴食をしていないのにこうした便が続くようでしたら、消化酵素の出が悪くなる病気(例えば慢性膵炎)の可能性がありますので、お医者様に相談してください。
関連リンク:「おならの原因と対策」
私たちが日々感じている印象の中で、うんちを「うんち」たらしめている最大の要素は、やはりニオイではないでしょうか。あの特有で奇妙な便臭の感覚(感覚質、クオリア)には、閉口させられます。このニオイの元は、大腸の悪玉菌(ヒトに悪い影響を及ぼす細菌)が、がタンパク質を構成するアミノ酸の1つ、トリプトファンを分解することで発生するインドールとスカトールという2つの物質です。人間だけでなく、犬猫や、草食哺乳類のうんちもこれらを含んでいます注6。インドールやスカトールが増えて便臭が強くなるのは、(1)肉などタンパク質の多い食事を食べた時や、(2)腸内環境が悪化して悪玉菌が増えてきた時、あるいは(3)便秘でうんちの滞留時間が増えた時です。すなわち、野菜や穀物中心の食事を食べたり、腸内環境を改善したり、便秘を改善すれば、うんちのニオイは良くなります。こうしたニオイを改善する方法は、いわゆる「腸活」の代表的なメニューと重なります。
関連リンク:本ブログの「腸活」記事のタグ
理想的なうんちのニオイは、便臭自体が強くなく、漬物のような発酵臭がほのかにまじっています。大腸の中で、善玉菌が優勢になると、うんちのニオイは変わってきます。善玉菌は、インドールやスカトールのような悪臭物質は出さず、代わりに発酵食品から感じるようなニオイがしてくるようになります。
年齢とともに変わるうんちのニオイ
生まれた瞬間の赤ちゃんの腸内は、無菌状態で、最初のうんちである胎便はニオイがしません。その後、お母さんの産道や環境中から得た細菌が、赤ちゃんの腸内で増殖を始めます。乳児の腸内は善玉菌であるビフィズス菌が優勢で、うんちはヨーグルトのようなニオイです。そして離乳期以降は成人と同じニオイに変わっていきます。やがて時は過ぎ、高齢者になると、ビフィズス菌類が大幅に減少するとともに、悪玉菌のウェルシュ菌が増加し、便臭が強くなります。うんちのニオイは、年齢とともに移り変わっていくのです。
関連リンク:「腸内細菌と、健康・便秘」
うんちの茶褐色の色は、消化液のひとつである胆汁に含まれる濃い黄色の色素・ビリルビンによるものです(ちなみに、ビリルビンは赤血球のヘモグロビンが分解されてできたもので、肝臓の病気などで肌が黄色くなる黄疸の症状は、ビルビリンがうまく胆汁から排出できていない状態です)。うんちの色は、腸内に長くとどまったり、腸内環境が悪玉菌優位になっていると、ビルビリンの酸化が進むことでどんどん濃くなってきます。うんちの色が日々違うのは、主にこのためです。そして理想的な便の色は、黄褐色です。
黄褐色からこげ茶色以外のうんちには、病気が潜んでいる場合があります。なるべく早く受診したほうが良いでしょう。
■ 白・灰色→脂肪のとりすぎによる消化不良や、内臓の病気の可能性があります(バリウム服用後はOK)。
■ 黒色→胃腸から出血している可能性があります(タール便)。
■ 赤色→痔による出血のほか、ポリープや大腸癌など腸の病気が隠れている可能性があります。
但し、服用しているお薬の影響で、うんちの色が変わる場合があります。おかしいなと思ったら、薬を処方してくれた医師や薬剤師に問い合わせてみましょう。
病気のない健康な人も、時々お腹を壊したり便秘になったりします。便秘とは、便を十分かつ快適に出せない状態を言い注7、下痢とは一般的に便の水分が多く便が液状かそれに近い状態を言います。
便秘は様々な原因でおこりますが(詳しくはブログ記事「便秘の種類と原因」をご覧ください)、便秘の時にはうんちは水分を失い、カチコチになってしまいます。食べ物や飲み物、あるいは体から分泌された合計10Lにのぼる水分は、小腸から大腸にかけてみるみるうちに体内に吸収されて行きます。もし便が排出されずに体内に長い時間留まっていたり、飲食で摂取する水分や消化管から分泌される水分が少なかったりすると、うんちはどんどん乾いていき、硬い大きな塊になるか、小さなコロコロ便になっていきます。
関連リンク:「宿便の話」
下痢は、便秘の時と反対に、腸の蠕動運動が激しくなりすぎたり、体内で分泌される水分が多すぎたりすることで起きます。食べすぎ飲みすぎによる消化不良、ストレス、病原菌、腸自体の病気など、こちらも原因は様々です。下痢の場合はうんちに含まれる水分は、80から90%以上にまでなります。そうした時、形はその輪郭を失っていき、最後は水のようになります。
うんちの状態は、「ブリストル便形状チャート(ブリストルスケール)」という表であらわされますので下図も参考にしてください。理想的なうんちの形状は、スムーズなバナナ状です注8。
便秘解消で体重はどのくらい減るの?
便秘を解消した場合、体内に残っていたうんちがなくなるので体重は落ちますが、期待していたほどではないかもしれません。うんちの重量のうち、理想的な状態では7割近くが水ですが、腸内に滞留しているうちに水分が大腸に吸収されて重量も軽くなります。そのため、軽度の便秘なら、たまった便で増えている体重はあまり多くなく、一週間ぶりの排便でも、体重減少が1キロを超えることはないはずです注9。
関連リンク:「ダイエットと便秘」
お話してきたように、理想的なうんちは、あまり臭くなく、茶褐色のバナナ状のものです。そして、十分かつ快適に排便できていると実感できる状態です。便秘で悩んでいる人には、ハードルが高く感じるかもしれません。ただ、これまでうんちについて見てきて分かることは、腸の状態や、その働きのバランスを整えることの大切さです。少しでも状態を良くするために、自分で簡単にできることを挙げてみますので、まだやっていないものがありましたら、日常に摂り入れてみてはいかがでしょうか?
◎腸内環境を改善する
・自分に合ったヨーグルトを見つけて毎日食べる(詳しくは「腸内環境と便秘 ①」)
・発酵食品を摂る(詳しくは「腸内環境と便秘 ②」)
・オリゴ糖を摂る(同上)
・食物繊維を摂る(同上)
・市販の整腸薬を活用する(同上)
関連リンク:毒掃丸整腸薬の製品案内/毒掃丸整腸薬の無料サンプルお申し込みフォーム 毒掃丸整腸薬は、乳酸菌と消化酵素と4種類の生薬を配合した、シナモンのような爽やかな香りがする、のみやすい整腸薬です。
◎便秘を改善するポイント
・腸内環境を改善する
・朝食を食べる
・リラックスして自律神経を整える
・運動をする(詳しくは「便秘と運動」)
・お腹のマッサージをする
・市販の整腸薬や便秘薬を活用する
生活改善で便秘が解消できない時は、便秘薬・毒掃丸の使用も検討してみてください。複方毒掃丸は、6種類の生薬が自然に近いお通じを促す便秘薬です。小さな丸剤なのでのむ量を調節しやすく、ちょうどよいお通じを目指せます。目指せ自然なバナナ便!
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(最終更新日:2023年3月18日)
注1:本間研一 監修, 標準生理学 第9版, 医学書院, 2019; p.880 注2:例えば、坂田由紀子ほか, 女子学生の排便およびその日間変動 第1報, 日本公衛誌. 2000 ; 47(5) : p.385-393. などがある。注3:Tamura A et al. Prevalence and Self-recognition of Chronic Constipation: Results of an Internet Survey, J Neurogastroenterol Motil. 2016 ; 22(4) : p.677-84. 注4:P. J. Yang, et al. Hydrodynamics of defecation. Soft Matter. 2017, 13,4960-4970. 注5:Michael D. et.al., Floating Stools — Flatus versus Fat, N Engl J Med 1972 ; 286 : p973-975. 注6:トリプトファンは植物にはほとんど含まれていないが、草食動物にとっても必須アミノ酸である。例えば牛は、第一胃(ルーメン)での微生物による発酵を通じて、トリプトファンを含む必須アミノ酸を全て得ている。注7:便秘の定義「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」:日本消化器病学会関連研究会,慢性便秘の診断・治療研究会:慢性便秘症診療ガイドライン 2017.南江堂,2017 注8:ブリストルスケールでは、理想的な便は”Like a sausage or snake, smooth and soft”として表現されているが、当社ではやわらかさも同時に表現できる「バナナ状」も理想の便をあらわす表現として採用している。注9:思考実験であるが、仮に、ある人の通常の便量を150g、含水量を70%とすると、水分以外の重量は45g。ひどい便秘で含水量が50%に下がるとすると、便の量は90gとなる。これが7日分集積すると630gであり、あとの方の便に含水量が多いことを考えても、1キロにはならない。
写真:冒頭の「出ると嬉しい」と書かれた写真ですが、これは当社のYoutube動画のキャプチャー写真です。便秘を解消するよろこびを表現した7本の短い6秒動画シリーズのうちの1本です。BGMは、クラシックのピアノ曲・フォーレの「組曲ドリー」です。
シリーズ全7本をまとめたものはこちらです。是非ご覧ください↓
この動画シリーズは、国内最大規模の広告賞「ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」で、2020年度のフィルム部門Bカテゴリーのシルバー賞を受賞しています。
ひとこと
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