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高齢者の便秘

2022.06.06
高齢者と便秘のアイキャッチ画像

便秘といえば、若い女性の悩みというイメージがあるかもしれませんが、実は、多くのシニア世代(以下、65歳以上を指して高齢者と呼ばせていただきます)が便秘に悩んでいらっしゃいます。ご本人やそのご家族にとって、便秘は深刻な悩みです。また、今はまだ若くて便秘でない方も、いずれ高齢になり、ご自分が便秘に悩まれるかもしれません。今回は、そんな高齢者の便秘について正しく理解するために、実態と原因を概観していきたいと思います。また、便秘が高齢者にもたらす影響や、取りうる対策についても探ってみたいと思います。

 

■高齢者の便秘の状況

 

わが国では、高齢者とは65歳以上の人を指し、65~74歳までを前期高齢者、75歳以上を後期高齢者と呼んでいます。便秘は、老化にともなう「老年症候群」の症状の1つにも数えられているくらいで、高齢者の便秘は、老化現象の表れの1つでもあるのです。便秘に悩む方は、前期高齢者の段階から目に見えて増えはじめ、後期高齢者になると更に増えていきます。

 

下にあるのは、厚生労働省の国民生活基礎調査という国の基幹統計のデータから作成した、性・年齢別の便秘有訴者数(便秘に悩んでいると答えた人)のグラフです。便秘は、若いうちは圧倒的に女性に多い悩みなのですが、中年期以降男性の便秘も増えてきます。そして、前期高齢期を含む70代には男女ともにグンと伸び、性差もほとんどなくなります。後期高齢期の80代になると、更に多くの男女が便秘に悩まれるようになります。

 

 

ご高齢の方にとって、便秘は非常に身近な悩みです。当社は、地域貢献として、地元柏市を中心に、シニアクラブ(老人会)の会合などの場で便秘講座を何度も開催していますが、会場の反応などから、便秘に悩んでいらっしゃる高齢者の割合は過半数に達していると実感しています。

 

関連リンク:「ニッポン人の便秘事情を俯瞰する

 

■高齢者の便秘の原因

 

なぜ、高齢者にはこんなに便秘が多いのでしょうか。高齢になってからの便秘が増えるのは、体の衰えそのものだけが原因ではありません。いくつかの生理機能の衰えに加え、生活の変化、病気や薬の影響など、人によって異なるいくつもの原因が複雑にからみあっています。

 

(1)腸の動きが悪くなる

 

高齢者は、大腸の動きが悪くなっており、内容物が通過するのに時間がかかり、そのため便秘になりやすいです。

 

食事で口から入った食べ物は、胃や小腸で消化吸収されたあとで大腸に到達します。大腸は、自律神経と反射神経の働きによって、無意識のうちに蠕動運動(ぜんどううんどう)を起こすことで、内容物を肛門の方向に時間をかけて送り出していきます。デンマークからの報告によると、高齢者16人(平均81歳)と若者16人(平均24歳)の大腸通過時間を調べたところ、高齢者は平均66時間、若者は平均39時間で、1.7倍の差があったといいます注1。大腸には、水分を吸収する働きがあるので、通過時間が長くなると、便がカチコチに硬くなり、便秘になってしまうのです。こうした便秘は、大腸通過遅延型の便秘、あるいは弛緩性便秘と呼ばれます。

 

関連リンク:「便秘の種類と原因」/「便秘チェックリスト

 

このように加齢で腸の動きが悪くなる理由としては、腸管の運動に関係する神経細胞の数やバランスが変化していることが原因と考えられています注2。ヒトの体には、加齢とともに様々な変化が現れますが、それは大腸も例外ではないのです。

 

加齢による大腸の変化としては、高齢者の大腸は、若年者より長くなっているという統計もあります注3、便秘や大腸通過時間と長さの関係はよくわかっていません。

 

関連リンク:「日本人の腸について 日本人の大腸は長いの?形が変なの?

 

(2)排便機能が衰える

 

高齢者は、大腸の運搬能力だけでなく、便意を感じてから排便するまでの機能も衰えており、これも便秘が増える原因に挙げられます。

 

大腸を通って運ばれてきた便は、最後に直腸と呼ばれる肛門の真上のあたりに到着します。便がやってきて直腸の内側の壁に圧力がかかる(内圧が上る)と、人は直腸にあるセンサーから脳に信号が伝わり、そのことで便意を感じます。便意があると、人はトイレを探し、腹筋力などを使って排便を行います。高齢になると、この一連の機能に問題が生じやすくなります。

 

まず、加齢により、直腸の内圧の上昇を脳に伝える神経の感度が下がりやすくなります。そのため、便が肛門近くまで運ばれてきても、すぐにトイレに行きたいという気持ちにならなくなってしまいます。海外からの報告では、便意を感じ始める内圧、便意が切迫してくる内圧、痛みを感じ始める内圧のいずれも、高齢者は若者よりも高かった~つまり便意を感じにくい~ということです注4

 

トイレでいきむ力も、高齢になると不足してきます。そもそも全身の筋肉量と筋力は、加齢とともに失われてきます。これをサルコペニアと呼びますが、腹筋は筋力が失われやすい部位の一つです。腹筋はいきむときに腹圧を高めるために使いますから、ここが弱ると排便がしにくくなってしまいます。

 

関連リンク:「便秘と便意

 

(3)生活習慣の変化

 

高齢者の生活習慣や生活環境も、便秘を引き起こす原因になっています。若い人の便秘にも言えることですが、便秘は生活習慣と深い関係があります。年を取ると、体の様々な衰えから生活習慣や生活環境が変わってきて、それが便秘をひどくしてしまいます。

 

・食事量の減少

 

高齢者は、食欲減退や、嚥下機能の低下によって、食事の量が減りがちです。食事の量が減ると、よほど気を付けないと、食物繊維の摂取量も減ってしまいます。食物繊維は野菜だけでなく、豆類や果物や穀物など、様々な食材に含まれているからです。

 

食物繊維は、大腸にとって大切です。不足すると、腸内の善玉菌が減ることで腸内環境が悪くなり、結果として、おならやうんちが臭くなったり、大腸の運動に使われるエネルギーの供給が減ったりします。また、食物繊維には便のカサを増す役割があるので、便量が減ることで、大腸の蠕動運動が起きにくくなったり、便意を感じにくくなったりして便秘になったりします。

 

高齢者の腸内環境
70歳くらいから、腸内環境も高齢者型に変化し始めます。ビフィズス菌などの善玉菌が減少し、大腸菌などの悪玉菌が増加してしまうのです。その原因としては、健康状態の変化(例:咀嚼・嚥下・消化機能の低下)、低栄養、お薬の影響、施設入居などの生活環境の変化が考えらえています。こうした腸内環境の変化が、健康状態に直接悪い影響を与えているかどうかまではわかっていません注5。とはいえ、中には若々しい腸内環境を維持する人たちもいて、個人差が大きいようです。腸の中も、いつまでも若くいたいものですね。

 

関連リンク:「うんちと便秘」/「野菜と便秘の話」/「腸内細菌と、健康・便秘」/「便秘によい食べ物

 

・水分摂取量の減少

 

高齢者は、喉の渇きを感じにくいうえに、体の中の水分量も少なく、脱水症状になりやすいです。体内の水分が不足した場合、尿が減るばかりでなく、便が硬くなって出にくくなってしまいます。飲料摂取が500cc以下だと便秘になりやすいことと、便秘の人が脱水傾向にある場合には水分を多くとると便秘が改善することが分かっています注6

 

関連リンク:「便秘によい飲み物

 

・運動量の減少

 

運動量の低下は、直接的に便秘の原因になるだけでなく、筋力の減退や、食欲の減少を通じて、衰弱や便秘悪化の悪循環をつくりだします。特に高齢者の場合は、生活の場が施設に移るような状態では、運動量が更に減少し、便秘を悪化させてしまいます。

 

運動~特に有酸素運動~が便秘を改善することは多くの研究でわかっていますし、運動量が少ない高齢者は便秘しやすいことも報告があります注7。また、便秘の高齢者は自宅暮らし→老人ホーム暮らし→老人病院(geriatric hospital)の順に増えていくことや、1日500m以上歩かないようになると便秘のリスクが高まることも指摘されています注8

 

(4)他の疾患や、飲んでいる薬の影響

 

そして、高齢者の便秘の原因で見逃せないのが、他の疾患で引き起こされる便秘や、飲んでいるお薬の副作用でおきる便秘です。

 

他の疾患で起きる便秘は、二次性便秘と呼ばれています。例えば、大腸がんなどの腫瘍が邪魔をして便の通りが悪くなり、便秘になることがあります。50歳を過ぎて急に便秘になり、便が黒い(出血がある証拠)ような時にはお医者様に相談しましょう。また、うつ病、心気症、糖尿病(自律神経障害を伴うもの)、甲状腺機能低下症など、便秘を引き起こす病気があります注9。記事冒頭で示した性年齢別のグラフで、男性の便秘が50代以降増えているのは、こうした疾患を持つ人が増えてくるからかもしれません(女性の場合は、閉経により、黄体ホルモンが原因の便秘が減ることで、増加が見えにくくなっていると考えられます)。

 

また、飲んでいるお薬の副作用で起きる便秘は、薬剤性便秘とも呼ばれています。副作用で便秘になるお薬は、下の表のように結構多くあります。高齢者は沢山のお薬を服用しているので、薬剤性の便秘になりやすいです。処方薬で便秘になっていると感じたら、医師に相談してみてください。選択肢がある場合は、便秘になりにくいお薬を処方してくれるかもしれません。

 

便秘の原因になる主な薬剤

薬の種類使われる病気の種類
抗コリン薬消化器疾患、うつ病、パーキンソン病など
向精神薬精神疾患、うつ病
抗パーキンソン病薬パーキンソン病
オピオイドがん
化学療法薬がん
循環器用薬高血圧、不整脈など
利尿薬高血圧、腎疾患など
制酸薬消化器疾患
鉄剤貧血
吸着薬、陰イオン交換樹脂脂質異常症
制吐薬がん、悪心・嘔吐
止痢薬下痢、消化器疾患

日本消化器病学会関連研究会 慢性便秘の診断・治療研究会 編, 慢性便秘症診療ガイドライン2017, 南江堂, 2017: p.33 より改変作成

 

■心と体への便秘の影響

 

高齢者の便秘の影響は、生活の質を下げてしまうことと、余命への影響の双方が懸念されています。

 

便秘は、身体的・精神的なQOL(生活の質)を低下させ、日常生活の活動に支障をきたすことがわかっています。高齢者においても、便秘の症状とQOLに相関があることが報告されています注10。高齢者の場合、便秘が食欲不振や更なる活動量の減少に結びつくことで、老化を速めてしまうことも懸念されます。

 

また、近年では、便秘が寿命を縮めるリスクが注目されています。アメリカで行われた4,000人規模の追跡調査では、慢性便秘でない被験者の10年後の生存率が平均で85%だったのに対し、慢性便秘の被験者は73%でした。つまり慢性便秘の患者は、12%も生存率が低かったのです注11。他にも、排便頻度が少ないほうが心血管疾患や脳卒中を起こしやすいという研究も複数あり、現在では高齢者の便秘は、軽視すべきでないと考えられています。

 

注意!すぐに受診が必要なケース
高齢者の便秘は、稀に重篤化するケースがあります。腸の中で大量の便がカチカチに固まってしまうと、腸がふさがってしまい(腸閉塞)、敗血症腸穿孔腹膜炎などの重篤な状態をもたらすことがあります。例えば腸穿孔といって腸に穴が開いてしまうと、人工肛門になったり、命を落としてしまうこともあります。こうしたケースは稀ですが、突発的で急な激しい腹痛がある場合や、吐き気・嘔吐を伴う場合は、早急に受診するようにしてください。

 

関連リンク:「便秘と寿命」/「便秘と腹痛

■高齢者の便秘対策

 

高齢者の便秘は、その程度や原因が、人によって異なります。高齢者の医療・介護全般に共通することですが、老化の進行状況には個人差が大きいです。そして、高齢者は複数の病気を持ち、医療機関を掛け持ちされていたりもします。そのため、誰にとっても安心・安全で、誰にでも効果がみられるような健康アドバイスをするのは簡単ではありません。これからご紹介する便秘対策も、無理のない範囲で行っていただき、疑問が生じたら周囲の専門家に確認することが大切です。弊社のお客様相談窓口でも、ご相談を受け付けております。

 

◎生活に関するアドバイス

〇活動量を増やし、長めの距離を歩き、できるだけ筋肉量が減少しない様に心がける。

国が掲げた指針「健康日本21」では、70歳以上の高齢者の、1日の歩数の目標は、男性6,700歩、女性5,900歩です。

〇あまり歩けない人は、腹式呼吸で深呼吸を心がけましょう。また、お腹を「の」の字にマッサージしてもらったりするのも効果が期待できます。

〇食事の量をしっかりととり、食物繊維を以前より減らさないようにする。

〇水分を1日2.5ℓを目標にしっかり摂る。食事から摂る分を除くと、飲み物で1.2ℓ飲むのが目安注12

 

なによりも、便秘を改善するために継続的に生活を改善するという思いを持つことが大切だと思います。

 

関連リンク:「便秘によい食べ物」/「便秘とマッサージ」/「便秘によい飲み物

 

◎お薬や医療に関するアドバイス

〇大腸の動きが悪いことによる便秘には、大腸を動かすタイプの市販のお薬もあります。当社の複方毒掃丸もそうしたタイプなので後程ご紹介します。

〇直腸に原因がある便秘には、浣腸が有効な場合もあります。市販のものはドラッグストアでも手に入りますので店頭の薬剤師さんに相談してみましょう。

〇市販薬の効き目が良くない場合や、腹痛がひどい場合は、お医者様に相談してみましょう。

 

ご自宅で暮らせるような方や、重い便秘でない方には、毒掃丸はもちろんおすすめですが、困ったら医療(介護)関係者へ相談しましょう。そして、並行して、可能な範囲で生活改善にも取り組むようにしてください。

(最終更新日:2023年1月11日)

 

◇    ◇    ◇    ◇

 

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関連リンク:「便秘薬をのむ時に大切なこと

 

便秘薬を飲むほどでもないという場合は、整腸薬で腸内環境を整えてあげるのもおすすめです。毒掃丸整腸薬は、乳酸菌と消化酵素と4種類の生薬を配合した、シナモンのような爽やかな香りがする、のみやすい整腸薬です。ぜひ一度お試しください。関連リンク:毒掃丸整腸薬の製品案内毒掃丸整腸薬の無料サンプルお申し込みフォーム

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注1:Jan L. Madsen, Jesper Graff, Effects of ageing on gastrointestinal motor function, Age and Ageing, 2004 March ; Volume 33, Issue 2 : p.154–159 注2:日本消化器病学会関連研究会 慢性便秘の診断・治療研究会 編, 慢性便秘症診療ガイドライン2017, 南江堂, 2017, p.31.  注3:永田 浩一ほか 日本人とアメリカ人の大腸の長さは違うのか?―大腸 3D-CT(仮想内視鏡)による 1,300 名の検討 日本消化器内視鏡学会雑誌 55(3), 435-444, 2013-03-20 や、山崎震一ほか 日本人大腸の長 さと内径に関す るX線 学的検討 日本大腸肛 門病会誌 47 : 31-39, 1994 注4:Lagier E, et al. Influence of age on rectal tone and sensitivity to distension in healthy subjects. Neurogastroenterol Motil. 1999 Apr ; 11(2) : p101-7.   注5: 新井 万里ほか,  腸内フローラと老化,  日本老年医学会雑誌  2016;  53 (4 ) : p318~325. 注6:吉良いずみ 便秘ケアとしての水分摂取のエビデンスに関する統合的文献レビュー, 日本看護技術学会誌 2013;12(2):p33-42. 注7:高野正太,  慢性便秘症の診療  Ⅴ.慢性便秘症に対する食事療法,運動療法,理学療法, 日本大腸肛門病会誌  2019 ; 72:p.621-7. 注8:Kinnunen O. Study of constipation in a geriatric hospital, day hospital, old people’s home and at home. Aging (Milano). 1991 Jun;3(2):161-70. 注9:日本消化器病学会関連研究会 慢性便秘の診断・治療研究会 編, 前掲書  p28-29から、頻度が高いとされているものを抜粋。 注10:Rao SS, Seaton K, et al. Psychological profiles and quality of life differ between patients with dyssynergia and those with slow transit constipation. J Psychosom Res. 2007 Oct ; 63(4) : p441-9.   注11:Joseph Y Chang, et al. Impact of functional gastrointestinal disorders on survival in the community. Am J Gastroenterol. 2010 Apr;105(4):822-32.  注11:必要な水分量については、次のサイトを参考にしました。厚生労働省 「健康のため水を飲もう」推進運動  2022年6月6日アクセス.

 

ひとこと

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